スマートフォン版へ

【AJCC AI予想】今週は見解が完全に一致! AIの注目馬はこのレースが合うはず

  • 2023年01月16日(月) 18時00分

単勝オッズ3.8倍(2番人気)のヴェルトライゼンデが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

1番人気馬の好走率がそれほど高くない点に注意


AIマスターM(以下、M) 先週は日経新春杯が行われ、単勝オッズ3.8倍(2番人気)のヴェルトライゼンデが優勝を果たしました。

伊吹 わずか8219票(82万1900円)の差でロバートソンキー(5着)に単勝1番人気の座を譲ったものの、GIで馬券に絡んだことがあったのはこの馬だけ。貫録勝ちと言って良いでしょう。出遅れてしまった馬もいる中で好スタートを決め、道中は枠なりに先団のインコースを追走。少しずつ進路を外に取りながら4コーナーを周り、ゴール前の直線では難なく馬場の外めに持ち出しています。

 その後も脚色は衰えず、外から迫ってきたプラダリア(3着)の追撃を封じ切り、内で粘ったキングオブドラゴン(2着)をクビ差かわして入線。陣営や手綱を取ったD.イーガン騎手にとっては、プラン通りのレース展開だったかもしれませんね。もちろん、このような横綱相撲で勝ち切ることができたのは、それなりの能力差があったからこそ。期待に応えてみせたヴェルトライゼンデもお見事です。

M 2歳時のホープフルSで2着に、3歳時の日本ダービーや前走のジャパンCで3着となった実績があるものの、重賞を制したのはこれが2度目。GI・GIIのレースは前走までに9戦して0勝、2着4回、3着2回という成績でした。

伊吹 前走の時点で本賞金が3億円を超えていたにもかかわらず、勝ち切った重賞はGIIIの2022年鳴尾記念のみ。より高いグレードの、実績に見合ったタイトルが加わったという意味では、この馬にとって大きな勝利と言えるのではないでしょうか。ひとつ上の半兄にGI2勝のワールドプレミアがいる良血馬ですし、ポテンシャルの高さは証明済み。GIウイナーまで上り詰める可能性も十分にあると思います。

M 明け6歳とはいえ、まだキャリア13戦ですしね。

伊吹 さらに付け加えておくと、今回も断然の1番人気とはならなかったように、どちらかと言えば支持が集まりにくいタイプである点も見逃せません。次走はともかく、不発に終わった直後のレースなどでは、実績のわりに妙味あるオッズがつきそう。今後も安易に評価を下げてしまわないよう心掛けましょう。


M 今週の日曜中山メインレースは、古馬中長距離戦線の精鋭が集うこの時期の名物重賞、AJCC。昨年は単勝オッズ7.8倍(3番人気)のキングオブコージが優勝を果たしました。ちなみに、その2022年は3連単72万760円の高額配当決着。単勝オッズ87.9倍(11番人気)のマイネルファンロンが2着に食い込んでいます。

伊吹 昨年は大荒れでしたが、少頭数になりがちなこともあって、2011年以降の過去12回中8回は3連単の配当が4万円未満。どちらかと言えば堅く収まりがちなレースです。ただし、上位人気馬の好走率が極端に高いわけではありません。


M 単勝1番人気馬の3着内率は50.0%どまり。昨年も単勝オッズ2.0倍(1番人気)の支持を集めたオーソクレースが6着に敗れてしまいました。

伊吹 2017〜2021年の単勝1番人気馬がすべて連対を果たした一方で、2013〜2016年の単勝1番人気馬はすべて4着以下に敗退。人気の中心となっているような馬を含め、各馬の取捨を慎重に見極めるべきでしょう。ちなみに、単勝4〜7番人気の馬は2013年以降[3-3-6-28](3着内率30.0%)だったものの、単勝8番人気以下の馬は2013年以降[0-2-1-70](3着内率4.1%)。超人気薄の馬も扱いに注意するべきだと思います。

M そんなAJCCでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ユーバーレーベンです。

伊吹 話の流れからすると、ちょうど良いポジションに収まりそうな馬を挙げてきましたね。上位人気グループの一角を占めそうですが、単勝1番人気ということはまずないはず。

M ユーバーレーベンは2021年オークスの勝ち馬。GIウイナーは他にいません。しかし、3歳秋以降は7戦して5着が最高。格の高いレースばかり使われてきたとはいえ、最近は見せ場をあまり作れていないわけですから、懐疑的に見ている方も多いのではないでしょうか。

伊吹 評価が割れそうな一頭ですよね。狙うにしても嫌うにしても予想上の位置付けをはっきりさせたいところですが、Aiエスケープの評価は“買い”とのことなので、これを踏まえつつレースの傾向からこの馬の好走確率を見極めていきたいと思います。

M ユーバーレーベンは明け5歳の牝馬。近走成績だけでなく、この点も不安要素と見ている方が多いかもしれません。

伊吹 確かに少々気掛かりなポイントですが、評価を下げる必要はないでしょう。2018年以降の過去5年に限ると、3着以内馬15頭のうち13頭はキャリア20戦以内でした。


M これはわかりやすい。キャリア21戦以上の馬は評価を下げた方が良さそうですね。

伊吹 なお、出走数が21戦以上だったにもかかわらず3着以内となったのは、2018年3着のマイネルミラノと2022年2着のマイネルファンロン。この2頭はラフィアンターフマンクラブの所属馬である点、ビッグレッドファームの生産馬である点、ステイゴールドの産駒である点が共通しています。

M ユーバーレーベンはキャリア14戦ですし、マイネルミラノやマイネルファンロンとの共通点も多い馬。馬齢を心配する必要はまったくないと考えて良いのではないでしょうか。

伊吹 あとは、中長距離向きの重賞ウイナーが強いレースである点も見逃せません。同じく2018年以降の3着以内馬15頭中12頭は、2000m以上、かつ12頭立て以上のJRA重賞を勝ち切ったことがある馬でした。


M こちらもはっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 ちなみに“JRA、かつ1800m超、かつ出走頭数が12頭以上、かつ重賞のレース”で1着となった経験がなかった馬のうち、前年の菊花賞において8着以内となった経験もなかった馬は2018年以降[0-0-0-31](3着内率0.0%)。菊花賞で善戦した4歳馬でない限り、重賞未勝利馬は割り引きが必要です。

M 先程も触れた通り、ユーバーレーベンはオークス馬。単純に実績上位ですし、この傾向からも有力な一頭と言えるでしょう。

伊吹 もうひとつ挙げておきたいのは前走の4コーナー通過順別成績。2018年以降の3着以内馬15頭中11頭は、前走のコースが国内、かつ前走の4コーナー通過順が3〜9番手でした。


M 前走の4コーナーを10番手以下で通過した馬は3着以内なし。さらに、2番手以内で通過した馬もやや安定感を欠いています。

伊吹 極端な競馬がハマる可能性は、それほど高くないと見ておいた方が良いかもしれませんね。

M ユーバーレーベンは前走の4コーナー通過順が7番手です。

伊吹 前走のジャパンCは最終的な着順こそ10着でしたが、仕掛けたタイミングや通ってきたコースを考えれば、それなりに高く評価できる内容でした。これといった不安要素が見当たらないだけでなく、今回はメンバー構成にも恵まれた印象。そのうえAiエスケープも有力と見ているわけですから、強気に狙って良いのではないでしょうか。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング