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【フェブラリーS AI予想】不安要素は見当たらない! 人気の盲点になりそうなAIの注目馬

  • 2023年02月13日(月) 18時00分

単勝オッズ2.5倍(1番人気)のドウデュースが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

単勝1番人気の馬は優秀な好走率をマークしている


AIマスターM(以下、M) 先週は京都記念が行われ、単勝オッズ2.5倍(1番人気)のドウデュースが優勝を果たしました。

伊吹 スタート直後から後方に控え、向正面で早くも大外に持ち出し、3コーナーの手前からじわりと進出。ゴール前の直線に入ってすぐ先頭のユニコーンライオン(7着)らをかわし、そのまま後続を突き放しています。上がり3ハロンタイムは34.0秒で、最後の最後に伸びてきたマテンロウレオ(2着)の34.5秒を大きく上回る断然のトップ。

 他馬の挙動に影響されるリスクを極限まで減らしたレース運びで、ドウデュース自身の立場からすると楽な競馬ではなかったと思うのですが、それでも2着以下の各馬に0.6秒以上のタイム差をつけたわけですから、お見事と言うしかありません。おそらく鞍上の武豊騎手も、ドウデュースの持ち味を最大限に引き出すことができるのはこの形であると、レース前の段階から確信していたのでしょう。

M ドウデュースは前走の凱旋門賞で19着に、2走前のニエル賞でも7頭立ての4着に敗退。残念ながら昨秋の海外遠征では結果を残せませんでしたが、完全復活と見て良さそうですね。

伊吹 凱旋門賞は帰国後のコンディションまで心配になってしまうような負け方でしたし、そのうえ今回は休養明け。これまでの戦績を見る限りだと阪神芝2200m内がベストというタイプではなく、馬場のコンディションもどちらかと言えば内枠有利・先行有利という印象でしたから、私は最終的にやや評価を下げてしまいました。この短い期間でしっかり立て直した陣営の手腕も、当然ながら大きな勝因のひとつだと思います。

M 次走はドバイターフを予定しているとのことですが、この調子なら期待して良いのではないでしょうか。

伊吹 パリロンシャン競馬場の馬場はまったく合わなかったものの、メイダン競馬場の芝コースならば問題なくこなせる可能性が高そう。国内ではまだ大きく崩れていないように、どちらかと言うと苦手条件が少ないタイプなので、1800mの距離が堪えるとも思えません。その後のレースも含め、2023年の日本競馬界をしっかりと盛り上げていってほしいですね。

M 今週の日曜東京メインレースは、今年最初のJRAGIとなる上半期のダート王決定戦、フェブラリーS。昨年は単勝オッズ5.1倍(2番人気)のカフェファラオが優勝を果たしました。
なお、そのカフェファラオは2021年のフェブラリーSも単勝オッズ3.3倍(1番人気)の支持に応えて快勝しています。やはり基本的には上位人気グループの馬を重視した方が良いのでしょうか。

伊吹 2014年のフェブラリーSを制した当時のコパノリッキーは単勝オッズ272.1倍(16番人気)の超人気薄でしたし、2020年のフェブラリーSでも単勝オッズ142.6倍(16番人気)のケイティブレイブが2着に好走。伏兵の台頭が期待しづらいレースと言うわけではありません。ただ、上位人気の馬はそれなりに堅実です。


M 単勝1番人気馬の3着内率は8割。昨年のレッドルゼルは6着に敗れてしまいましたが、長いスパンで見ると安定していますね。

伊吹 ちなみに、より細かく見ていくと、単勝2〜5番人気の馬は2013年以降[5-5-3-27](3着内率32.5%)、単勝6〜9番人気の馬は2013年以降[0-2-5-33](3着内率17.5%)、単勝10番人気以下の馬は2013年以降[1-1-0-66](3着内率2.9%)でした。無理に絞り込む必要はないと思いますが、手を広げ過ぎてしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M そんなフェブラリーSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、レッドルゼルです。

伊吹 連軸候補としてはちょうど手頃なところかもしれませんね。単勝10番人気以下ということはまずないでしょうし、おそらく5番人気前後のグループには加わってくるはず。

M レッドルゼルは2021年のJBCスプリントを勝っている実績馬。先程も触れた通り、昨年のフェブラリーSでは6着に敗れてしまったものの、2021年のフェブラリーSでは勝ったカフェファラオと0.5秒差、3着のワンダーリーデルとは1/2馬身差の4着に健闘しました。明け7歳とはいえ、今年もある程度の支持は集まると思います。

伊吹 ここ2年のフェブラリーSは、この馬なりに善戦したという見方も、人気を集めながら馬券に絡めなかったという見方もできる微妙な結果。見解が割れそうな一頭ですよね。ただ、少なくともAiエスケープは前者寄りの立場を取っている模様。この見立てを踏まえたうえで、フェブラリーSの傾向とレッドルゼルのプロフィールを比較していきましょう。

M 最大のポイントはどのあたりだと考えていますか?

伊吹 コース適性ですね。2018年以降の3着以内馬15頭中13頭は、左回り、かつ1800m以下のJRA重賞を勝ったことがある馬でした。


M なるほど。重賞未勝利馬はもちろん、右回りの重賞しか勝ったことがない馬も強調できませんね。

伊吹 さらに付け加えるなら、地方のダートグレード競走を主戦場としてきた馬も、扱いに注意するべきでしょう。

M レッドルゼルはこれまでに重賞を3勝している馬。2021年のJBCスプリントは金沢ダ1400mの、2022年の東京盃は大井ダ1200mのレースでしたが、2021年に東京ダ1400mの根岸Sを制しています。

伊吹 あとは血統も見逃せないポイント。2018年以降の3着以内馬15頭中7頭は、父にミスタープロスペクター系種牡馬を持つ馬でした。


M レッドルゼルの父はミスタープロスペクター系種牡馬のロードカナロア。こちらも心強い傾向ですね。

伊吹 なお、父がミスタープロスペクター系以外の種牡馬だった馬のうち、“JRA、かつ2000m未満、かつGIのレース”において4着以内となった経験がない馬は2018年以降[0-0-0-37](3着内率0.0%)とまったく上位に食い込めていません。よほどの実績馬でない限り、他父系の種牡馬を父に持つ馬は疑ってかかるべきだと思います。

M 7歳となった点についてはいかがでしょうか?

伊吹 確かにちょっと気掛かりですね。2018年以降の3着以内馬15頭中10頭はキャリア20戦以内でした。


M レッドルゼルはキャリア23戦。残念ながらこの条件には引っ掛かっています。

伊吹 ただし、出走数が21戦以上、かつ“東京、かつ今回と同じ距離、かつGIのレース”において5着以内となった経験がある馬は2018年以降[0-1-3-11](3着内率26.7%)とまずまず。前年以前のフェブラリーSや、東京芝1600mのビッグレースで善戦したことのある馬なら、高齢でも評価を下げる必要はありません。

M 繰り返しになりますが、レッドルゼルは2021年のフェブラリーSで4着に食い込んでいる馬。不安要素は特にないと見て良いのではないでしょうか。

伊吹 実は、もともと私もそれなりに重いシルシを打つつもりでした。確かにここ2年のフェブラリーSを見る限りだと心配な部分もありますが、今年はメンバー構成に恵まれた印象。Aiエスケープが有力視しているのであれば心強い限りです。あとは実際のオッズを見ながら、最終的な買い目上の位置付けを検討したいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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