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キングアブドゥルアジーズ競馬場で世界一リッチな競馬が今年も開催!

  • 2023年02月15日(水) 12時00分

6つのサラブレッド重賞に日本馬も参戦


 2月24日(金曜日)・25日(土曜日)の2日間にわたって、サウジアラビアの首都リヤドにあるキングアブドゥルアジーズ競馬場で、総賞金3535万ドル、日本円にして46億9377万円という、世界一リッチな競馬開催「サウジCウイークエンド」が開催される。

 25日に組まれている6つのサラブレッド重賞を、今週と来週の2回に分けて展望していきたい。

 まずは、25日の第3競走に組まれている、総賞金150万ドルのG3ネオムターフC(芝2100m)。昨年はオーソリティが制したレースで、今年はデアリングタクトが招待を受諾していたが、2月7日の調教後に歩様が乱れて遠征を断念。残念ながら今年は、日本馬不在の顔触れで争われることになった。

 最も格上と見られるのが、ジョン&セイディ・ゴスデン厩舎のモスタダフ(牡5、父フランケル)だ。G3ゴードンリチャーズS(芝9F209y)、G3セプテンバーS(AW11F219y)、ダーレーS(芝9F)の3重賞を制している他、ロイヤルアスコットのG2ハードウイックS(芝11F211y)2着など重賞入着が2度ある馬で、昨年秋にはG1凱旋門賞(芝2400m)にも駒を進めている。

 G2ヨークS(芝10F56y)勝ち馬で、G1インターナショナルS(芝10F56y)3着の実績があるサーバスカー(セン7、父サープランスアロット)、G1ジェベルハタ(芝1800m)2着、G1ウッドバインマイル(芝8F)3着などの実績があるファイネストサウンド(セン6、父エクシードアンドエクセル)、アルジェを2着に退けて昨年11月のLRチャーチルS(AW10F)を制したミストザカット(牡4、父クオリティロード)と、ここは英国勢の層が厚い。

 ここに、昨秋のG3バーレーン国際トロフィー(芝2000m)勝ち馬ドバイフューチャー(セン7、父ドゥバウィ)、2月3日にメイダンで行われたG2ケイプヴァーディ(芝1600m)で2着となったホワイトムーンライト(牝6、父メダグリアドーロ)といったUAE勢がどこまで絡んでくるか。

 続いて、第4競走に組まれている総賞金150万ドルのG3 1351ターフスプリント(芝1351m)。

 昨年のこのレースで1着から5着に入った5頭が、こぞって今年も出走するという、リピーターたちによる争いになっている。

 昨年の勝ち馬ソングライン(牝5、父キズナ)は、その後GI安田記念(芝1600m)に優勝。さらに箔をつけての参戦となっている。1月末に右前球節が腫れるアクシデントがあって心配されたが、幸いにして大事に至らず、出国検疫に入る前に追い切りを行なうことも出来たので、状態面での不安はなさそうだ。

 昨年のこのレースがクビ差の2着だった米国調教馬カーサクリード(牡7、父ジミークリード)も、帰国後にG1ジェイパーS(芝6F)、G1フォースターデイヴハンデキャップ(芝8F)を連勝。実績をさらに積み重ねての再挑戦となる。ただし、直近走のG1BCターフスプリント(芝5.5F)は、距離が短すぎたか、9着と大きく崩れている。

 今年がこのレース初参戦になる馬では、ゴドルフィンのクリエイティヴフォース(セン5、父ドゥバウィ)が高い実績を誇る。21年のG1ブリティッシュチャンピオンズスプリント(芝6F)勝ち馬で、22年もG1プラティナムジュビリーS(芝6F)2着、G1ブリティッシュチャンピオンズスプリント3着、G1BCターフスプリント3着と、水準の高いパフォーマンスを続けた。6Fを超える距離を走るのは1年7カ月ぶりになるが、かつてはG3ジャージーS(芝7F)に勝ち、G2レノックスS(芝7F)で2着になっている馬で、距離面での不安はないと見てよさそうだ。

 バスラットレオン(牡5、父キズナ)、レシステンシア(牝6、父ダイワメジャー)、ラウダシオン(牡6、父リアルインパクト)も、それぞれベストのパフォーマンスが出来れば争覇圏に入れる馬たちである。

 続いて、25日の第5競走に組まれた総賞金250万ドルのG3レッドシーターフH(芝3000m)。

 ここは、英国から参戦するサブジェクティヴィスト(牡6、父テオフィロ)の仕上がり状態が、最大のポイントとなる。

 20年のG1ロワイヤルオーク賞(芝3100m)、21年のG1ゴールドC(芝19F210y)を含めて、この路線の重賞を4勝している同馬。5馬身差の楽勝だったG1ゴールドCでレイティング123を獲得し、21年の世界ランキングでEコラム首位タイに立った実力馬である。だがその後、脚部不安が出て戦線を離脱。陣営からは22年シーズン開幕前から、22年は全休し、23年の復帰を目指すとの声明が出ていた。その言葉通り、ここで戦線に戻ることになったわけだが、1年8カ月ぶりの実戦で、果たしてどこまで動けるか。

 対抗馬となるのは、昨秋のG2ブリティッシュチャンピオンズロングディスタンスC(芝15F209y)3着馬トローラーマン(セン5、父ゴールデンホーン)か。

 日本から参戦する、暮れのGIIステイヤーズS(芝3600m)勝ち馬シルヴァーソニック(牡7、父オルフェーヴル)にも充分勝機がありそうだし、前走GIIAJCC(芝2200m)2着のエヒト(牡6、父ルーラーシップ)も、距離さえもてば上位争いに食い込みそうである。

 第6競走のG3サウジダービー以降の3重賞は、来週のこのコラムで展望したい。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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