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念願の重賞タイトルを獲得したプログノーシス

  • 2023年03月13日(月) 18時00分

■先週の血統ピックアップ


・3/12 金鯱賞(GII・中京・芝2000m)
 後方を追走したプログノーシスが外から伸び、粘るフェーングロッテンをとらえて初の重賞タイトルを獲得しました。これで通算8戦5勝。3歳時から素質を高く評価されてきたものの、体質面の弱さと気性面の難しさを抱え、なかなかトップクラスに上がることができませんでした。今回も道中力むロスがありました。スムーズに力を出し切ることができればGIでも楽しみな存在です。

 ディープインパクト産駒はライトクオンタム(シンザン記念)に次いで今年重賞2勝目。母ヴェルダはイタリアで走って2勝しか挙げられませんでしたが、繁殖牝馬として成功し、チェヴァリーパークS(英G1・芝6ハロン)を勝ったヴォルダを産みました。母はヨーロッパ血統ですが、サドラーズウェルズやデインヒルといった本格派の主流血統を含んでいないため素軽さがあり、プログノーシスは日本の高速芝に対応しています。

 母の父オブザーヴァトリーはクイーンエリザベス二世S(英G1・芝8ハロン)、イスパーン賞(仏G1・芝1850m)の勝ち馬で、種牡馬としてトワイスオーヴァー(英チャンピオンS2回など英G1を4勝)を、母の父としてネイティヴトレイル(カルティエ賞最優秀2歳牡馬)を出しています。日本の高速馬場に対応できる血です。プログノーシスはまだまだ伸びしろがあるので春のビッグレースでもいいところがありそうです。

・3/12 フィリーズレビュー(GII・阪神・芝1400m)

 好位を追走したシングザットソングが残り200mで先頭に立ち、ムーンプローブの追撃をクビ差抑えました。スタートに難のある馬がロケットスタートを切った時点で大きく勝利を引き寄せたといえます。通算4戦2勝。父ドゥラメンテはタイトルホルダー(天皇賞・春、宝塚記念、菊花賞)、スターズオンアース(桜花賞、オークス)の父で、3歳牝馬戦線には昨年の2歳女王リバティアイランド(阪神ジュベナイルフィリーズ)がいます。

 母ザガールインザットソングはラカナダS(米G2・ダ8.5ハロン)の勝ち馬。母方にアンブライドルズソングを持つドゥラメンテ産駒にはディナースタ(現3勝クラス)がいます。今回は速い流れを前に行って粘る強い内容。2着以下とは着差以上に力の開きがあると思います。ドゥラメンテ産駒はビッグレースに強いので、本番も出遅れなければおもしろいでしょう。血統的には1600mはもちろん2400mでも問題ないタイプです。

■今週の血統注目馬は?



・3/18 若葉S(L・阪神・芝2000m)

 阪神芝2000mと相性のいい種牡馬はドゥラメンテ。連対率31.8%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した51頭の種牡馬のなかで第2位。若葉Sに産駒が登録している種牡馬のなかではナンバーワン。産駒のアイザックバローズは3戦目の前走、未勝利戦(芝2000m)を勝ち上がったばかりですが、後続に2馬身半差をつける楽勝でした。今回はメンバーが一気に強化されますが、ハイペース耐性があり底力あふれる血統構成なので楽しみです。仮に馬場が渋ってもやれるでしょう。

■今週の血統Tips


 今週は阪神大賞典が行われます。芝3000mの長距離戦です。JRAでは年間に芝3000m以上の平地競走は8つしか組まれていません。特殊な条件なので得意とする馬は繰り返し好走する傾向があります。2013年以降の10年間では、13〜15年にゴールドシップが3連覇、21、22年にディープボンドが2連覇しています。この他、シュヴァルグラン、ユーキャンスマイルが二度連対を果たしています。

 今年は、3連覇を狙うディープボンド、昨年2着のアイアンバローズ、過去2回連対しているユーキャンスマイルが登録しています。アイアンバローズは芝3000m以上のGIIで3回走って2、2、4着。前走、ダートの東海Sにチャレンジし、10着と大敗したので人気を落とすかもしれません。ただ、今回の条件は合っており、芝長距離戦における父オルフェーヴルの適性も素晴らしいものがあります。侮れません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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