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ドバイワールドCナイトの注目馬を徹底検証

  • 2023年03月15日(水) 12時00分

バスラットレオンの連覇なるか? 日本馬4頭出走のUAEダービーの勝機は?


 23年3月15日ドバイワールドCナイトの開催が、来週の土曜日(25日)に迫っている。

 日本でも馬券は発売がある後半4レースについては、さまざまなメディアで展望や予想がなされることと思うので、このコラムでは、日本では馬券発売がない、開催前半に組まれたサラブレッド4レースの見どころをご紹介したいと思う。

 まずは、ダート1600mのG2ゴドルフィンマイル(d1600m)だ。最大の焦点は、日本調教馬バスラットレオン(牡5、父キズナ)による、前年に続く連覇がなるかどうかにある。

 1番枠から出た後、200mほど進んだ辺りで先頭に立って、そのまま逃げ切ったのが昨年のこのレースだった。その後は欧州のマイル戦に矛先を向け、英国における真夏のマイル王決定戦G1サセックスS(芝8F)で4着に入着する健闘を見せた。この後は年末まで勝てない競馬が続いたが、今季初戦となった前走サウジのG3・1351ターフスプリント(芝1351m)に優勝。海外2度目、通算3度目の重賞制覇を果たした。その後は、2月28日にサウジから直接ドバイに入り、メイダン競馬場で順調に調整されていると聞く。

 英国からドバイに移籍して今季が2シーズン目で、1月27日にメイダンで行われたG3ファイアブレイクS(d1600m)を制し重賞初制覇を果したプリンスエイジ(セン7、父ドバウィ)、スーパーサタデーのG3バージナハールを制しての参戦となるディスカバリーアイランド(セン6、父ドバウィ)あたりが相手となりそうだ。

 続いて、芝3200mのG2ドバイゴールドC。

 同じ路線のG3レッドシーターフH(芝3000m)をシルヴァーソニック(牡7、父オルフェーヴル)が快勝したが、ここは残念ながら、日本馬不在の顔触れとなった。

 中心はゴドルフィンのシスカニー(セン5、父ドバウィ)か。4歳秋から上昇を見せている馬で、昨年9月にニューマーケットのLRゴドルフィンS(芝12F)を制すると、G1初挑戦となったG1バイエルン大賞(芝2400m)で3着に好走。芝の平地シーズンがオフに入った後、ケンプトンのLRワイルドフラワーS(AW11F219y)に出走して3着になると、5歳初戦となったメイダンのG3ナドアルシバトロフィー(芝2810m)を2馬身差で快勝し、重賞初制覇を果たしている。

 そのG3ナドアルシバトロフィーで2着となったアーダカン(牡4、父リライアブルマン)も、3歳だった昨年、G2伊ダービー(芝2200m)に勝ち、G1ベルリン大賞(芝2400m)3着の実績があるだけに、侮れない存在だ。

 評価が難しいのが、英国から参戦するサブジェクティビスト(牡6、父テオフィロ)だ。20年のG1ロワイヤルオーク賞(芝3100m)、21年のG1ゴールドC(芝19F210y)という2つのG1を含めて、この路線の重賞を4勝している同馬。しかし、21年のG1ゴールドC後に屈腱炎を発症。1年8カ月の戦線離脱を経て、サウジCデーのG3レッドシーターフHでカムバックしたのだが、13頭立ての12着敗退に終わった。1つ使われて、心身両面のチューンアップを図ることが出来ているのか、直前の調教をじっくり見てみたい馬である。

 続いて、芝1200mのアルクオーツスプリント。ここも、残念ながら日本調教馬の参戦はない。

 ブックメーカー各社が3.5〜4.5倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのは、3歳馬のアルダシム(牡3、父ハリーエンジェル)だ。

 G1ジュライC(芝6F)やG1スプリントC(芝6F)を含めて、6F以下の距離で5重賞を制した父の、初年度産駒の1頭となる同馬。2歳4月という早いデビューで、2歳時は8戦を消化。走るたびに競馬を覚えていき、終盤にウルヴァーハンプトンでオールウェザーの条件戦を連勝して2歳シーズンを終えた。3歳初戦となったのが、1月13日にメイダンで行われた条件戦(芝1200m)で、ここを3馬身差で快勝。続いて2月10日にメイダンで行われた条件戦(芝1200m)に出走すると、ここも3.3/4馬身差で優勝。重賞初挑戦となったスーパーサタデーのG3ナドアルシバターフスプリント(芝1200m)も2.1/4馬身差で制し、重賞初制覇を果たすとともに、昨秋からの連勝を5に伸ばしている。

 これを追う2番手評価が、ゴドルフィンのアルスハイル(セン6、父ドバウィ)だ。2歳時から重賞戦線で活躍し、4歳3月にはメイダンのG1ジェベルハッタ(芝1800m)で3着となっている同馬。4歳シーズン後半から7F以下のレースに特化し、4歳10月にニューマーケットのチャレンジS(芝7F)を制し重賞初制覇。5歳時は未勝利に終わったが、今季初戦のG2アルファヒディフォート(芝1400m)、前走条件戦(芝1400m)を、いずれも2着以下に4馬身差をつけて連勝。上場気流に乗っての参戦となっている。

 昨年のこのレースの3着馬マンオブプロミス(セン6、父イントゥミスチフ)、昨年のG2ブルーポイントスプリント(芝1000m)勝ち馬ラズライ(セン6、父ドバウィ)らが3番手候補だ。

 興味深いのは、ここの香港のスプリンター2頭の参戦があることだ。2頭の中では、昨年12月のG1香港スプリント(芝1200m)で2着に入り、前走G1センテナリースプリントカップ(芝1200m)が3着だったサイトサクセス(セン6、父マグナス)の方が格上だろう。

 最後に、3歳馬によるダート1900mのG2UAEダービー。

 中心と見られているのは、愛国のA.オブライエンが送り込むカイロ(牡3、父クオリティロード)だ。クールモアによる愛国における自家生産馬で、2歳8月にデビュー。カラの芝のメイドン(8F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げると、次走はダンドークのオールウェザーを舞台としたLRスターアピールS(7F)に出走し、ここで2着となった。続いて出走したのは、芝のG3キラヴーランS(7F)で、ここを勝って重賞初制覇。3歳初戦となったのが、3月3日にダンドークで行われたLRパットンS(AW8F)で、ここも勝って3勝目を挙げている。

 米国からここに参戦してくるのが、B.バファート厩舎のワースター(牡3、父エンパイアメーカー)だ。昨年12月にデビュー。サンタアニタのメイドン(d6.5F)を制しデビュー2戦目で初勝利を挙げると、重賞初挑戦となった前走G3ロバート・B・ルイスS(d8.5F)が3着だった。

 ここに、4頭の日本勢がどう絡むか。G3サウジダービー(d1600m)で3着と5着だったデルマソトガケ(牡3、父マインドユアビスケッツ)とコンティノアール(牡3、父ドレフォン)が、もう1段階ギアを上げてくれば、充分に勝負になる相手だろう。LRヒヤシンスS(d1600m)を勝っての参戦となるペリエール(牡3、父ヘニーヒューズ)、G1ホープフルS(芝2000m)勝ち馬で、初勝利をダートであげているドゥラエレーデ(牡3、父ドゥラメンテ)も、本来の力を出せば勝ち負けだと思う。

 ここをステップに、G1ケンタッキーダービー(d10F)に向かう日本調教馬が現れてくれることを、切に期待する。

 ドバイワールドCナイトの模様は、グリーンチャンネルで生中継されるが、馬券発売のない前半の競走からしっかりカバーする予定となっている(25日21時〜26時放送予定)。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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