スマートフォン版へ

【高松宮記念AI予想】タイミング的には狙い目!? AIの指名した注目馬を徹底分析

  • 2023年03月20日(月) 18時00分

単勝オッズ3.7倍(2番人気)のベラジオオペラが優勝(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

3番人気以内の馬はそれなりの確率で馬券に絡んでいる


AIマスターM(以下、M) 先週はスプリングSが行われ、単勝オッズ3.7倍(2番人気)のベラジオオペラが優勝を果たしました。

伊吹 2着のホウオウビスケッツとは1馬身1/4差でしたが、着差以上にインパクトのある勝利です。行きたい馬を先に行かせ、道中は7番手のやや外めを追走。3〜4コーナーの中間あたりから少しずつポジションを押し上げ、4コーナーを周り切ったところではスムーズに外へ持ち出しています。逃げたグラニット(4着)や終始内ラチ沿いでレースを進めたホウオウビスケッツが粘っていたものの、ゴールの手前であっさり捕らえました。まったく危なげのないレース運びで完勝したわけですし、現時点における能力が頭ひとつ抜けていたと見て良いのではないでしょうか。

M ベラジオオペラはこれでデビュー戦から3連勝。重賞初挑戦となった今回のレースで最高の結果を残し、3歳牡馬クラシック競走への挑戦権を獲得しています。

伊吹 デビュー戦が9頭立て、前走のセントポーリア賞も8頭立てだったので、16頭立ての多頭数にすんなり対応できるものなのだろうかと心配していたのですが、まったくの杞憂でしたね。さらに言うと、デビュー戦は阪神芝1800m外、セントポーリア賞は東京芝1800mのレースでしたから、ゴール前の直線が比較的短いコースを走るのも今回が初めて。このあたりが大きな問題にならないと判断した陣営も、迷いのない競馬でこの馬の力をしっかり引き出した横山武史騎手も、お見事と言うほかありません。

M 皐月賞やその先の大舞台でも注目を集めることになりそうです。

伊吹 道悪や中団からの競馬を含め、未知数だった部分を一気にクリアして見せたわけですから、おそらく1800m以外の距離にも難なく対応してくるでしょう。あとはもうライバルとの力関係がどうかだけ。今年は素晴らしい競馬でクラシック前哨戦を制した馬が他にもたくさんいますし、今のうちから各レースをしっかり復習して、自分なりに序列を整理しておきたいと思います。

M 今週の日曜中京メインレースは、上半期の最強スプリンター決定戦と位置付けられている高松宮記念。昨年は単勝オッズ27.8倍(8番人気)のナランフレグが優勝を果たしました。
なお、その2022年は単勝オッズ12.9倍(5番人気)のロータスランドが2着に、単勝オッズ225.8倍(17番人気)のキルロードが3着に食い込んだこともあって、3連単278万4560円の高額配当決着。やはり波乱含みの一戦と見ておくべきなのでしょうか。

伊吹 2019年にも3連単449万7470円の高額配当が飛び出していますからね。ただ、2012〜2018年の計7回はいずれも3連単の配当が10万円未満でしたし、2021年も3連単9770円の低額配当決着。波乱続きと言えるかどうかは微妙なところです。過去10年の単勝人気順別成績を見ても、上位人気馬の成績が極端に悪いわけではありません。


M 単勝1番人気馬の数字は若干微妙ですが、単勝2〜3番人気馬は比較的堅実と言って良いでしょう。 一方、単勝4番人気以下の馬は好走率もそれなりの水準にとどまっています。

伊吹 より実情に即した区切り方をすると、単勝4〜10番人気の馬は2013年以降[4-3-3-60](3着内率14.3%)、単勝11番人気以下の馬は2013年以降[0-1-2-76](3着内率3.8%)となっていました。単勝二桁人気クラスの伏兵が上位に食い込んだ例はそれほど多くないわけですし、人気薄の馬を積極的に狙う方針であっても、上位人気グループの馬を安易に嫌わない方が良いかもしれません。

M そんな高松宮記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、グレナディアガーズです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。実績上位ですが、今回はかなり人気を落としそう。

M グレナディアガーズは2歳時に朝日杯FSを勝っている馬。その後も2021年の阪神Cを制すなど、芝短距離路線で活躍し続けています。ただし、単勝3番人気の支持を集めた昨年の高松宮記念で12着に敗れてしまったうえ、前走の阪急杯も7着どまり。状態面やコース適性などに対する不安から、懐疑的に見ている方が多いのではないでしょうか。

伊吹 どちらかと言うと注目を集めがちなタイプですが、他にも実績馬や勢いのある馬が出走してくる分、妙味あるオッズがつきそうですね。Aiエスケープが有力視しているという事実を踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M まず、前走の阪急杯で7着に敗れている点はどう評価するべきでしょう?

伊吹 さすがに不安要素と見ざるを得ませんね。決して前走好走馬が強いレースではないものの、2016年以降の3着以内馬21頭中17頭は、前走の着順が5着以内でした。


M なるほど。大敗直後の馬は評価を下げた方が良さそうです。

伊吹 ちなみに、前走の着順が6着以下、かつ“中京、かつ重賞のレース”において1着となった経験がない馬は2016年以降[0-0-1-42](3着内率2.3%)。今回と同じ中京の重賞を勝ったことがなかった馬はさらに苦戦しています。

M グレナディアガーズは2021年のファルコンSで勝ち馬とタイム差なしの2着に好走している馬。これを「勝ちに等しい」と見るなら心配しなくて良さそうな気もしますが、基本的には疑ってかかるべきなのかもしれません。

伊吹 おっしゃる通りですね。一方、1400mのレースに実績がある点や、馬齢が5歳である点は強調材料と言えそう。“前年以降、かつJRA、かつ1200m超1600m未満、かつ出走頭数が15頭以上のレース”において1着となった経験のある馬は2016年以降[2-6-4-19](3着内率38.7%)と堅実でしたし、この条件をクリアしていなかったにもかかわらず3着以内となった9頭は、いずれも馬齢が5〜6歳でした。


M 厳密に言うと前出の条件から外れていますが、グレナディアガーズは2021年末に18頭立ての阪神Cを制覇。同様の実績がない馬や、4歳勢ならびに7歳以上の高齢馬よりは高く評価して良いのではないでしょうか。

伊吹 私もそう思います。今年はこの条件に引っ掛かっている馬が意外と多いので、しっかりチェックしておきたいところです。

M あとはどのあたりに注目しておくべきでしょう?

伊吹 同じく2016年以降の過去7年に限ると、3着以内馬21頭中17頭は馬番が1〜9番。外寄りの枠に入った馬は安定感を欠いていました。


M 枠順が明暗を分けることになるかもしれませんね。

伊吹 なお、馬番が10〜18番、かつ“前年以降、かつJRA、かつ出走頭数が13頭以上、かつオープンクラスのレース”において“着順が1着、かつ4コーナー通過順が1番手”となった経験のない馬は2016年以降[0-0-0-50](3着内率0.0%)。今年は強力な逃げ馬がいないので、例年以上に枠順を重視するべきだと思います。

M 仮にグレナディアガーズが内寄りの枠を引き当てた場合、伊吹さんはどんな評価を下す予定ですか?

伊吹 オッズや他の馬の枠順にもよりますが、まず無印ということはないでしょうね。Aiエスケープが注目馬として挙げてきたことからもわかる通り、少なくともタイミング的には絶好の狙い目。この馬が好走してくれた場合に大きな払い戻しを受けられるよう、買い目上の位置付けを工夫してみます。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング