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【大阪杯予想】不安要素は皆無!? AIの指名馬を素直に中心視した方が良さそう

  • 2023年03月27日(月) 18時00分

単勝オッズ32.3倍(12番人気)のファストフォースが優勝(c)netkeiba.com


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

人気薄の馬が上位に食い込んだ例はそれほど多くない


AIマスターM(以下、M) 先週は高松宮記念が行われ、単勝オッズ32.3倍(12番人気)のファストフォースが優勝を果たしました。

伊吹 波乱を演出した形ではあるものの、レース自体は完勝と言って良いのではないでしょうか。スムーズに先手を取ることはできませんでしたが、スタート直後から積極的に促していき、道中は先団の外めを追走。残り200m地点のあたりで先行勢をかわし、そのままさらに外から伸びてきたナムラクレア(2着)、一頭だけ内ラチ沿いを突いたトゥラヴェスーラ(3着)らの追撃を凌ぎ切っています。ゴールの手前で自ら外のナムラクレアに併せていき、そこからさらにもうひと踏ん張りして1馬身の差をつけたわけですから、見た目以上に余力の差があったのかも。最後の最後まで的確に導いた鞍上の団野大成騎手も、それに完璧な形で応えてみせたファストフォースも、お見事と言うほかありません。

M 2〜6着馬はいずれも3コーナー通過順が10番手以下でした。馬場のコンディションや外枠がプラスに働いた部分はあるとしても、ファストフォースは3コーナー通過順が7番手、4コーナー通過順が5番手。自ら動いていっての勝利ですからね。

伊吹 ファストフォースは小倉芝1200mで施行された2021年のCBC賞を当時の日本レコードで勝っている馬。道悪や時計の遅い決着に対する適性を不安視する向きもありましたが、結果的にはまったくの杞憂でした。これで中京芝のレースは6戦4連対。1分7秒3の走破タイムで決着した前走のシルクロードSも勝ったナムラクレアとアタマ差の2着だったわけですし、全体の時計ではなく道中のペースやコース形態がパフォーマンスに影響するタイプなのでしょう。

M ちなみに、前走のシルクロードSは単勝オッズ35.7倍の10番人気どまりで、2021年のCBC賞を制した当時も単勝オッズ18.2倍の8番人気。もともと過小評価されがちなところがあります。

伊吹 晴れてGIウイナーとなったわけですから、さすがに次走以降は注目が集まると見ておいた方が良いかもしれませんね。ただ、こういう馬は一度や二度の大敗でダイナミックに評価が下がってしまいがち。狙い時はまだまだありそうですし、競走生活を終えるまでしっかりマークしておきたいところです。

M 今週の日曜阪神メインレースは、2017年からGIとして施行されている春の古馬中距離チャンピオン決定戦、大阪杯。昨年は単勝オッズ58.7倍(8番人気)のポタジェが優勝を果たしました。2021年には単勝オッズ12.2倍(4番人気)のレイパパレが、2019年には単勝オッズ22.2倍(9番人気)のアルアインが勝っていますし、やはり波乱含みの一戦と見ておくべきなのでしょうか。


伊吹 GIIとして施行されていた2016年以前を含め、単勝1番人気の馬は2013年以降[3-1-3-3](3着内率70.0%)、単勝2番人気の馬は2013年以降[3-2-1-4](3着内率60.0%)。人気の中心となっていた馬はそれなりに健闘しています。



M 単勝7番人気以下で馬券に絡んだ馬はわずか4頭。伏兵の台頭が目立つとまでは言えませんね。

伊吹 単勝10番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-43](3着内率0.0%)ですし、単勝7〜9番人気の馬も2013年以降[2-1-1-25](3着内率13.8%)と、好走率が物足りない水準にとどまっていました。あえて超人気薄の馬を狙っても良いと思うのですが、上位人気勢の取捨も重要なポイントであると心掛けるべきでしょう。

M そんな大阪杯でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、スターズオンアースです。

伊吹 どちらかと言えば“穴党”のAiエスケープらしからぬ、意外なところを選んできましたね。おそらく、単勝1番人気かそれに近いくらいの支持が集まりそう。

M ご存じの通り、スターズオンアースは昨年の桜花賞とオークスを勝っている馬。故障からの復帰初戦だった前走の秋華賞でも、勝ったスタニングローズと0.1秒差の3着に食い込んでいます。実績上位の4歳馬ということで、相応の注目を集めることになるでしょう。

伊吹 Aiエスケープがこの馬を指名してきたということは、妙味ある伏兵が見当たらないということなのかもしれませんね。まぁ、素直に連軸を任せて良いのであれば買い目作りは楽になるわけですし、私はレースの傾向からこの馬の信頼度を測ってみたいと思います。

M 最大のポイントと見ているのはどのあたりですか?

伊吹 馬齢でしょうね。GIとして施行された2017年以降の3着内馬18頭中17頭は、5歳以下の馬でした。



M これはわかりやすい。6歳以上の高齢馬はほとんど上位に食い込めていません。

伊吹 馬齢が6歳以上だったにもかかわらず3着以内となったのは、現在のところ2017年2着のステファノスのみ。ここ5年の該当馬はすべて4着以下に敗れているわけですし、思い切って評価を下げるべきだと思います。

M スターズオンアースはキャリア8戦の4歳馬。年長の実績馬よりも高く評価して良さそうです。

伊吹 あとはビッグレースにおける実績も重要なファクターのひとつ。同じく2017年以降の3着以内馬18頭中16頭は“前年以降、かつJRA、かつ1600m超3000m未満、かつGIのレース”において6着以内となった経験がある馬でした。



M まだGIで上位に食い込んだことがない馬はもちろん、2021年以前のGIや、今回と大きく異なる距離のGIでしか善戦したことがない馬も、あまり強調できませんね。

伊吹 なお“前年以降、かつJRA、かつ1600m超3000m未満、かつGIのレース”において6着以内となった経験がなかったにもかかわらず3着以内となった2頭は、いずれも馬齢が4歳、かつ前走の着順が1着。若さや勢いのある馬でなければ疑ってかかるべきでしょう。

M 昨年の3歳牝馬クラシック競走を2勝したスターズオンアースにとっては心強い傾向です。逆に、何か不安要素はありますか?

伊吹 2017年以降の3着以内馬18頭中12頭は、前走の着順が2着以内。一方、前走の着順が3着以下だった馬は3着内率12.0%とやや安定感を欠いていました。



M なるほど。確かにこの条件はクリアできていません。

伊吹 ただし、前走の着順が3着以下、かつ前走のコースがJRA、かつ前走の上がり3ハロンタイム順位が2位以内だった馬は2017年以降[1-3-0-10](3着内率28.6%)とまずまず。スターズオンアースは前走の上がり3ハロンタイム順位が1位でしたし、そもそも2着のナミュールとはハナ差だったわけですから、減点する必要はまったくないはずです。

M 要するに、レースの傾向からも特に不安要素は見当たらないということでしょうか。

伊吹 おっしゃる通り。スターズオンアース自身がこのレースに向いていそうなだけでなく、今回は他の出走予定馬がそれぞれ何かしらの条件に引っ掛かっていますからね。Aiエスケープも同じように考えているのであれば心強い限り。この馬を中心とした、コンパクトな買い目で勝負するつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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