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【大阪杯予想】牡馬に挑むGI牝馬は買えるか?

  • 2023年03月28日(火) 12時00分

データから見る近年の牝馬評



 今週の大阪杯では、4歳牝馬のスターズオンアースが1番人気になるかもしれない。5歳牝馬のジェラルディーナも上位人気に食い込むだろう。

 ここ10年ほどの間に競馬を始めた方には想像できないだろうが、日本の競馬ではかつて、牝馬が牡馬を相手に中長距離のGIを勝てない時代があった。

 1200mや1600mではそれなりに走れていたのだが、芝2000m以上のJRA全性・牡牝GIとなると、1989年ジャパンカップのホーリックスから1997年天皇賞秋のエアグルーヴまで8年飛び、そこから2005年宝塚記念のスイープトウショウまでまた8年飛んでいる。

 ホーリックスは外国調教馬だから、日本調教馬に限るとエアグルーヴの前は1980年天皇賞秋のプリテイキャストまで遡り、これはグレード制導入前の話になる。

 そういった時代を経験すると、どうしても「牡馬相手のGIで人気の牝馬」には身構えてしまう。では、実際のところ「牡馬に挑む牝馬」はどの程度の成績をあげているのだろうか?

 ウオッカがダービーを勝った2007年を起点に数えると、3歳GI(NHKマイルCを除く)を勝った牝馬はのべ50頭・重複があるので実頭数は37頭。それらの馬の成績は、

回収率向上大作戦



となっており、データを見るといまの時代に嫌う必要はないということが分かる。ただ牡馬を相手に芝2000m以上のGIに出た馬の絶対数が18頭、連対したのは7頭で「超のつく限られた名牝が数字を引き上げた」とも考えられる。あとはスターズオンアースがそのような名牝の1頭なのかどうか、ということになるだろう。

 ここまで書いておいても古い人間である筆者はスターズオンアースを本命にする勇気は出ないかもしれないし、本命にするとジェラルディーナと牝馬が2頭絡む買い目が多くなるので、それを避けるため敢えて本命にしないかもしれない。それでもとりあえず、「昔のイメージを引きずって牝馬を侮ってはいけない」ということを確認できたのはよかった。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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