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英国オークス展望

  • 2006年05月23日(火) 23時50分
 今週・来週と、6月最初の週末にエプソムで行われる英国3歳クラシックの展望を行いたい。まず今週は、2日(金曜日)に行われる牝馬のオークスから。

 前哨戦がほぼ終了した段階で、ブックメーカー各社が4.5倍から5倍のオッズを掲げて1番人気に推しているのが、エイダン・オブライエン厩舎のアレグザンドローヴァ(父サドラーズウェルズ)だ。2歳時、初勝利を挙げるまで3戦を要したが、3戦めに勝ち上がった際に2着に付けた差が10馬身と勝ち方が派手で、その勢いを駆って次走G1のフィリーズマイルに出走。ここでは既にG3勝ちの実績があったナニーナの短頭差2着と敗れたものの、内容が評価されてオークスのウィンター・フェイヴァリットに推されていた馬である。今季初戦となった、5月17日にヨークで行われたG3ミュージドラS(10ハロン88ヤード)は、圧倒的1番人気を裏切り2着だった。いささか勝ち味に遅いきらいがあるものの、ミュージドラSをあくまでもひと叩きと見るファンが多いようで、敗戦後も依然として1番人気の座を譲らずに本番を迎えようとしている。

 ここへ来て評価急上昇なのが、ミュージドラSでアレグザンドローヴァを破ったショートスカート(父ディクタット)だ。2歳8月にニューマーケットのメイドンでデビュー勝ちした後、同じニューマーケットのG2ロックフェルSでは7着と大敗したショートスカート。姉に、英国オークス2着馬で、母となってアサクサデンエンを産んだホワイトウォーターアフェアがいる良血馬である。アレグザンドローヴァ同様にミュージドラSが今季初戦だったが、ここで見事に重賞初制覇を飾った。馬場状態Good to SoftのミュージドラSを快勝したように、渋り気味の馬場が得意なため、管理するマイケル・スタウト師は「当日馬場が固くなるようなら、使わない」と言っているが、各社ブックメーカーは6倍から8倍のオッズを掲げて2番人気に支持している。

 同じマイケル・スタウトの管理馬ながら、こちらは晴雨に関わらず出走を表明しているのが、1000ギニーと同じ日にニューマーケットで行われたLRプリティーポリーS(10ハロン)を制したリアルマ(父セルカーク)だ。2歳時は、レイスターのメイドンでデビューし2着と敗れた1戦のみで冬休みに突入。プリティーポリーSが今季緒戦だっかから、未勝利の分際でいきなり準重賞を制したことになる。その素質が買われ、各社7倍から8倍のオッズを掲げている。

 5月19日にニューバリーで行われた「オークス最終便」とも言うべLRフィリーズ・トライアル(10ハロン6ヤード)を制したスコティッシュステージ(父セルカーク)も、マイケル・スタウトの管理馬。こちらは、2歳9月にリングフィールドのメイドンでデビュー勝ちした後、ニューマーケットのLRオーソーシャープS(7ハロン)で僅差の2着となり、シーズンオフの間にオークス候補と騒がれていた1頭である。今季初戦を快勝したことで、各社ブックメーカーが7倍から11倍のオッズを掲げているスコティッシュステージだが、フィリーズ・トライアルの後に馬が疲れが出たようで、本番までの間隔が短いことから、スタウト師はこちらも回避の可能性を示唆している。

 オークスを狙う有力馬としてもう1頭忘れてはならないのが、1000ギニー馬のスペシオーサ(父デインヒルダンサー)だ。実はこの馬、今季のシーズン前に設定されていた第1回目のエントリーステージで登録を行わず、従ってオークスに出走するためには、5月27日のエントリーステージで2万ポンド(約420万円)の追加登録料を支払う必要がある。陣営では現在、追加登録を行う方向で準備を進めており、この報を受けたブックメーカー各社は8倍から9倍のオッズを掲げて上位人気の一角にこの馬を挙げている。

 最終的なメンバーがどうなるかを含めて、スタート直前まで動向の定まらぬオークスとなりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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