「なんでこんなに進まないの？」ではなく、「やっぱり進まないね」

──桜花賞優勝、おめでとうございます！ まずは、川田さんとリバティアイランドに「ごめんなさい」をしなくちゃ。「これはさすがに厳しいわー」と思いながら見ていたので。

川田　誰もがそう思ったでしょうね。

──正直、枠順が出た時点で「2枠3番か…」と。川田さんの脳内シミュレーションはどういったものだったのでしょうか？

川田　今回は、さほど具体的なイメージは描きませんでした。人気馬が内に固まったなかで、どういう競馬になるんだろう…という程度で。もちろん、「こうなったら嫌だな」という形は想像しましたよ。ただ、やはり競馬は流れのなかでほかの馬の動きがどうなるかによって形は変わりますからね。実際のレースの中で、ほかの馬の雰囲気を含めたその瞬間の空気感、そして流れ。大事なのはそこなので。

──そこから想像して判断すると。

川田　そう、その後をイメージする。瞬間的な判断の繰り返しである以上、レース前に考えるよりも、このレースがこれからどうなっていくのかレース中にイメージしたり、状況を理解する力のほうが確実に必要なので。あとはやっぱり、どうしようもないですからね、あれだけ進まなかったら(苦笑)。

──川田さんにとっても想定外だった？

川田　当日の様子、ゲートの中のリバティの気配からして、これは進んで行かないだろうなと思っていました。ゲートが開く直前まで、そういう雰囲気をしていたんです。だから、「なんでこんなに進まないの？」ではなく、「やっぱり進まないね」と。

──なるほど。とはいえ、スタートから道中、川田さんが何を考えていたのか知りたいです。

川田　進まないであろうことはわかっていたので、ゲートが開いた瞬間から、僕にしては結構出して行きました。出た後も、横から捉えた映像以上に、動かしに行ってます。その証拠のひとつとして、ジョッキーカメラが音を拾っていますが