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【皐月賞】記憶に残る2頭の伏兵とナリタブライアン

  • 2023年04月15日(土) 12時00分

今年はブライアンズタイムのような種牡馬を父に持つものがいるだろうか


 2歳GI馬2頭が不在の皐月賞は、ホープフルSがGIになってから初めて。過去5年は勝ち馬は必ず出ていて、3戦3勝のサートゥルナーリア、コントレイルが一番人気に応えて無敗で皐月賞馬になっていた。

 一方の朝日杯FSの勝ち馬は、この5年で3頭が出走して2、3、4着に終っていた。2000米と1600米の違いがはっきりしていると考えていいだろう。それと、2011年から昨年までの12年間、産駒が必ず複数出走していたディープインパクトの名前が無くなったことも時の流れを感じさせる。18頭の父馬を見て新しい時代をどう受けとめるか、今後も含めて注目していきたい。

 皐月賞は三冠レースの中でもスピードのある馬と言われているが、大波乱を制した伏兵馬の中に、このタイプがいたことも忘れられない。2002年に15番人気で勝ち、単勝11590円の記録をつくったノーリーズンを思い出すが、勝ちタイム1分58秒5でナリタブライアンの記録を0秒5更新した皐月賞レコードだった。

 6月4日生まれで年明けデビュー、わずか3戦のキャリア、前走の若葉Sで他馬と接触して7着と大敗していて、7分の2の抽選をクリアして出走していたが、ケガで負傷した武豊騎手にかわり、英国のブレット・ドイル騎手が手綱を取っていた。中団でもひるまず、4角で外に出して末脚を伸ばしていたが、伏兵と言えば、逃げ馬も忘れられない。

 ノーリーズンより5年前、1997年のサニーブライアンだ。18番の大外枠から出て逃げ切ったのだが、年明けの4戦は全て中山の2000米だった。1月のジュニアCは逃げ切りだったが、その後の2戦は控えてレースを進め、好位からヨーイドンで3、4着に終っていた。

 大西騎手はこの結果から逃げるしかないと心に決めていた。このときは11番人気。堂々たるレース振りで、この後ダービーでも大外18番枠から逃げ切ったのだから、この春の二冠は、見事なレース運びだったと記憶されている。

 この2頭の伏兵とナリタブライアンは、どれも種牡馬ブライアンズタイムの産駒。スピードに加えパワーもあり、皐月賞勝利の条件を満たしていた。今年の顔ぶれの中から、このような種牡馬を父に持つものがいるだろうか。

 今では王道の前哨戦と言える共同通信杯だが、この10年で5頭もの皐月賞馬を生んでいる。今年もそれにふさわしく、勝ち馬ファントムシーフは好位からラップを落とさず走破していた。ルメール騎手も「長く速いペースを維持できる」と言っている。

 出遅れてこれに少し遅れをとったタッチウッドは、キャリアはまだ2戦。武豊騎手の手綱でどう先行するか、可能性を感じる。

 スプリングS組は10年で2勝しているが、今年は重馬場の中厳しいペースで、ベラジオオペラの3連勝は価値がある。そして京成杯を勝って2戦2勝のソールオリエンスの決め手を少し。

「戦国で してやったりの 大仕事」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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