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【天皇賞(春)AI予想】不安要素が見当たらない!? AIの注目馬は素直に信頼して良さそう

  • 2023年04月24日(月) 18時00分

7番人気ゴールデンハインドが勝利を果たしたフローラS(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

単勝4番人気以内の馬が非常に堅実なレース


AIマスターM(以下、M) 先週はフローラSが行われ、単勝オッズ16.6倍(7番人気)のゴールデンハインドが優勝を果たしています。

伊吹 最終的に◎を打った私が言うのも何ですけど、想像以上にスムーズな競馬でしたね。好スタートを決めて積極的に出していき、2コーナーで早くも単独先頭のポジションを確保。陣営や鞍上の菅原明良騎手にとっても、思惑通りの形だったのではないでしょうか。道中も淡々とした展開になり、2番手を進んだクイーンオブソウル(15着)、キミノナハマリア(11着)に対して1馬身ほどのリードを保ったまま4コーナーを通過。ゴール前の直線ではソーダズリング(2着)が迫ってきたものの、最後までゴールデンハインドの脚色は衰えず、そのまま押し切っています。危ういシーンがまったくありませんでしたし、着差以上の完勝と言って良いかもしれません。

M ゴールデンハインドは前走のフラワーCに続く2度目の挑戦で重賞初制覇。もっとも、オープンクラスのレースで連対を果たしたことがあるのはこの馬だけでしたし、順当と言えば順当な結果ですよね。

伊吹 単純に実績上位だっただけでなく、先週の当コラムで紹介した「重賞を経由してきた馬が強い」「前走で2000m未満のレースを使っていた馬が中心」というフローラSの傾向からも強調できた馬。その割には人気がなかったので、迷わず本命に推すことができました。この馬自身が過小評価されていたというよりも、キャリアの浅い新興勢力が期待され過ぎてしまったように思います。

M ゴールデンハインドはオークスへの優先出走権を獲得。順調に駒を進めてきたら、相応の注目を集めることになるでしょう。

伊吹 同じゴールドシップ産駒のユーバーレーベンが2021年のオークスを勝っているうえ、2020年のオークスでもゴールドシップ産駒のウインマイティーが3着に健闘していますし、コース替わりはまったく問題ないはず。展開次第では十分にチャンスがありそうです。こういう脚質で、しかも人気になりにくいタイプですから、その後のレースでも常に大駆けを警戒しておいた方が良いかもしれません。

M 今週の日曜京都メインレースは、最強ステイヤー決定戦と位置付けられている伝統の一戦、天皇賞(春)。昨年は単勝オッズ4.9倍(2番人気)のタイトルホルダーが優勝を果たしました。堅く収まりがちな印象のあるレースですが、実際のところはいかがでしょうか。


伊吹 3連単の配当を見ると、2009年から2016年にかけての8回はいずれも10万円以上でしたが、2017年以降のここ6回はすべて10万円未満。2022年も3連単6970円の低額配当決着でしたし、荒れにくいレースと見ておいた方が良さそうです。


M 過去10年の単勝人気順別成績にも、その傾向が表れていますね。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝4番人気以内の馬は2013年以降[10-6-6-18](3着内率55.0%)、単勝5〜13番人気の馬は2013年以降[0-4-4-82](3着内率8.9%)、単勝14番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-37](3着内率0.0%)となっていました。わざわざ予想を人気サイドに寄せる必要はありませんが、上位人気グループの馬が揃って崩れる可能性は低いと認識したうえで、最終的な買い目を検討するべきでしょう。

M そんな天皇賞(春)でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、タイトルホルダーです。

伊吹 ある意味、意外なところを挙げてきましたね。この馬自身の期待値が高いと言うより、妙味ある伏兵が見当たらないということなのかもしれません。

M 先程も触れた通り、タイトルホルダーは昨年の優勝馬。他に2021年の菊花賞と2022年の宝塚記念を勝っているうえ、今シーズン初戦となった前走の日経賞も2着のボッケリーニを8馬身も突き放す完勝でした。4歳のジャスティンパレスやボルドグフーシュもそれなりに注目を集めそうな雰囲気ですが、おそらく単勝1番人気かそれに近い支持が集まるのではないかと思います。

伊吹 今年は舞台が京都芝3200m外に戻りますし、もともとまだ重賞では2回しか単勝1番人気になったことのない馬なので、今回も意外と評価が割れるのかも。ただ、これだけの実績馬ですから、断然の1番人気でなければ妙味十分と見ている方も少なくないはずです。Aiエスケープの評価を踏まえたうえで、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを照らし合わせていきましょう。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりだと思いますか?

伊吹 格の高いレースにおける成績ですね。2019年以降の3着以内馬12頭中9頭は“前年以降、かつJRA、かつ3600m未満、かつGI・GIIのレース”において1着となった経験がある馬でした。


M なるほど。GIIIやオープン特別のレースを主戦場としてきた馬は過信禁物と見ておいた方が良いかもしれませんね。

伊吹 なお“前年以降、かつJRA、かつ3600m未満、かつGI・GIIのレース”において1着となった経験がなかったにもかかわらず3着以内となった3頭は、いずれも“前年以降、かつ東京芝2500m未満、かつGI・GIIのレース”において6着以内となった経験があった馬。どちらの経験もなかった馬は2019年以降[0-0-0-39](3着内率0.0%)ですから、ハイレベルなメンバー構成になりがちな東京芝2400m以下のGIやGIIで善戦したことのある馬でない限り、2022年以降のGI・GIIを勝ち切っていない馬は苦戦必至と見るべきでしょう。

M 当然ながら、タイトルホルダーはこの条件をクリアしています。

伊吹 あとは直近のパフォーマンスも素直に評価したいところ。同じく2019年以降の過去4年に限ると、前走の着順が5着以下だった馬は上位に食い込めていません。


M 大敗直後の馬は割り引きが必要ですね。

伊吹 ちなみに、前走の4コーナー通過順が7番手以下だった馬も2019年以降[0-0-0-23](3着内率0.0%)と3着以内なし。京都芝3200m外で施行された2020年以前を含め、近年は前走で積極的な競馬をしていない馬が期待を裏切りがちでした。

M 前走の着順が1着、前走の4コーナー通過順が1番手だったタイトルホルダーにとっては、どちらも心強い傾向と言えます。

伊吹 さらに言えば、馬齢が5歳である点も、特に不安視する必要はないでしょう。


M 2019年以降に好走を果たした馬の大半はキャリア19戦以内。そして、タイトルホルダーはキャリア15戦です。

伊吹 今年はこの条件に引っ掛かっている実績馬が意外と多いので、皆さんも予想を始める前にひと通りチェックしてみてください。

M タイトルホルダーはレースの傾向からも強調できる一頭ということがわかりました。

伊吹 私はより人気のない馬を狙う予定なので、◎にするかどうかはまだわかりませんが、少なくとも対抗格には据えると思います。ただ、Aiエスケープも高く評価しているのならば、素直に連軸を任せた方が良いのかも。オッズなども加味したうえで、好配当が狙えそうな買い目を組み立てたいです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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