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伸びる若手、伸びない若手──「この子は確実に上手くなるな」と感じた若手騎手と後輩への思いを語る【In the brain】

  • 2023年04月27日(木) 18時01分
“VOICE”

▲見どころある若手騎手と後輩への思い (撮影:稲葉訓也)


近年、若手騎手の勢いが目立つ競馬界ですが、武豊騎手や福永祐一騎手のように「毎年GIを勝ち、トップクラスを超えてトップに何度も立てるような存在は10年に一人レベル」だと話します。

周期的にも、次は自分がその存在でなければならないと自身に強く課している川田騎手。そして、その次の世代にも目を向けています。川田騎手が感じている「伸びる若手、伸びない若手」の顕著な違いとは?

(取材・構成=不破由妃子)

トップクラスまでいける若手が数年に一度必ず出てきて、新陳代謝が行われる


 「ここ2、3年、若手ジョッキーの勢いがすごいですよね。そこで、川田さんが思う“伸びる若手と伸びない若手”をテーマにしていただきたい」

 今回、編集部サイドからこんなリクエストをいただきました。確かに、昨年のトップ10にも4人の20代が名を連ねていますし(3位・横山武史騎手、6位・岩田望来騎手、8位・坂井瑠星騎手、10位・鮫島克駿騎手)、瑠星や(荻野)極が初めてGIを勝つなど、大きな舞台での活躍も目立ちました。

 でも、僕からすると、この現象は至極当たり前であり、取り立てて言及するほど、これまでと違う特別な風が吹いているとは思いません。毎年のように優れたジョッキーが出てくるほど簡単な世界ではありませんが、毎年若手の誰かが目立つ活躍をして、数年に一度はトップクラスまでいける若手が必ず出てきて、新陳代謝が行われます。だからこそ、こうして競馬が発展してきたわけですし、そうでなければ、この世界は成り立ちません。

 GIにしても、一撃を決めたからといって、そのジョッキーの立ち位置がガラッと変わるほど甘い世界ではありません。僕が初めてGIを勝たせてもらったのは5年目であり(2008年皐月賞・キャプテントゥーレ)、その3年後に初めて全国リーディングのトップ3(3位)に入れたものの、そこから昨年リーディングを獲るまでに10年掛かりましたからね。

“VOICE”

▲GI初制覇となった2008年皐月賞 (撮影:下野雄規)


 もちろん、GI初制覇がいいきっかけとなり、そのジョッキーの世界は変わります。ですが、そこからトップクラスまで這い上がれるかどうかはまた別の話。這い上がったとして、そこに長年留まり、毎年GIを勝つような存在になれるかといったら、一握りどころの話ではなく、トップクラスを超えてトップに何度も立てるような騎手の存在は、10年に一人レベルだと思います。
 
 近年のJRAの生え抜きでそういう存在といったら、なんといっても(武)豊さん、そして(福永)祐一さんです。実際、豊さんから9年後に祐一さんがデビューしています。僕は昨年リーディングを獲らせてもらったばかりなので、そういう存在になれるかどうか

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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