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【レパードS AI予想】不安要素は比較的少ない!? AIの注目馬をさまざまな角度から分析

  • 2023年07月31日(月) 18時00分

アイビスSDは単勝オッズ39.2倍(9番人気)のオールアットワンスが優勝(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

人気薄の馬を絡めた買い目で勝負した方が良いかも


AIマスターM(以下、M) 先週はアイビスSDが行われ、単勝オッズ39.2倍(9番人気)のオールアットワンスが優勝を果たしました。

伊吹 お見事と言うほかありません。スタート直後は内ラチ沿いを狙うような挙動も見せていたのですが、1ハロン目の手前あたりで大きく進路を切り替え、馬群の後方に。2ハロン目のあたりでは早くも外ラチから数えて2頭目のポジションを確保しています。そこから前を行くトキメキ(2着)らが外に寄せてきたこともあって、一旦は進路が塞がってしまったものの、ロードベイリーフ(3着)をかわして外ラチ沿いに辿り着き、逃げたシンシティ(6着同着)やトキメキの直後を追走する形でゴール前へ。残り100mほどの地点でトキメキの内に持ち出し、最後は一気に抜き去りました。C.ホー騎手の落馬負傷を受けた急遽の参戦だったこともあり、鞍上の石川裕紀人騎手にとってはいろいろな意味で難しい一戦だったはず。逆境を乗り越えて手にした、素晴らしい勝利です。

M オールアットワンスは2021年のアイビスSDに続く自身2度目の重賞制覇。内寄りの枠に入ってしまった点だけでなく、丸一年の休養明けという点も嫌われた印象ですが、さすがに舐められ過ぎだったかもしれませんね。

伊吹 昨年のアイビスSDは勝ったビリーバーから0.6秒差の6着どまり。ただ、内ラチから数えて3〜4頭目のコースをずっと走らされてしまいましたから、着順以上に高く評価するべきだったのでしょう。休養明けは苦にしないタイプですし、5歳牝馬とはいえ今回がキャリア11戦目。同じ新潟芝1000m直で施行された前日の新潟12Rを2枠3番のダンシングニードルが快勝しており、例年ほど外枠有利な馬場コンディションではないような気もしていたので、この馬の実績にもう少し敬意を表すべきだったと反省しています。

M 今回の勝利により、オールアットワンスはサマースプリントシリーズの獲得ポイントランキングで2位タイに浮上しました。シリーズ対象レースはまだ3レース残っていますし、チャンピオンの座も十分に狙えるポジションです。

伊吹 今後は放牧に出て様子を見るようですが、状態次第ではタイトル獲得を狙ってくるかもしれませんね。2歳時に中山芝1200m外のカンナSを勝っているうえ、3歳時には中京芝1200mの葵Sで3着となった実績もある馬ですから、コーナーのあるコースをこなせないということはないはず。安易に嫌ってしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M 今週の日曜新潟メインレースは、3歳世代限定のダート重賞、レパードS。昨年は単勝オッズ21.6倍(7番人気)のカフジオクタゴンが優勝を果たしました。比較の難しいメンバー構成になりがちですし、やはり波乱の決着を警戒しておいた方が良さそうですか?


伊吹 そうした方が良いかもしれませんね。過去10年の3着以内馬30頭中12頭は単勝7番人気以下。伏兵の台頭が目立つ一戦と言えます。



M 単勝1番人気馬は3着内率80.0%と比較的堅実ですが、単勝2〜3番人気馬や単勝4〜6番人気馬の好走率は、物足りない水準と言って良いのではないでしょうか。

伊吹 一応補足しておくと、単勝2番人気の馬は2013年以降[1-1-2-6](3着内率40.0%)とまずまず。一方、単勝3〜4番人気の馬は2013年以降[0-2-0-18](3着内率10.0%)とかなり苦戦していました。ちなみに、単勝5〜12番人気の馬は2013年以降[5-4-7-64](3着内率20.0%)、単勝13番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-28](3着内率0.0%)。上位人気グループの馬を無理に嫌う必要はないと思うのですが、手頃な人気薄が1〜2頭くらいは馬券に絡んでくる前提で買い目を組み立てるべきかもしれません。

M そんなレパードSでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、クールミラボーです。

伊吹 意外なところを挙げてきましたね。単勝1〜2番人気の支持を集めるかどうかはわかりませんが、上位人気グループの一角には入ってきそう。

M クールミラボーは前走の加古川特別で勝ち馬と3/4馬身差の2着に健闘。今年2月のきさらぎ賞で3着となった実績もあります。まだダートのレースでは底を見せていませんし、積極的に狙おうと考えている方は少なくないでしょう。

伊吹 どちらかと言うと穴党のAiエスケープがこの馬を推してきたということは、妙味ある伏兵が見当たらなかったのかもしれませんね。この見立てを踏まえたうえで、私はレースの傾向からクールミラボーの好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先にチェックしておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 実績馬が強いレースである点は押さえておきたいところ。2020年以降の過去3年に限ると、3着以内馬9頭のうち8頭は“JRAの、2勝クラス以上のレース”において3着以内となった経験がある馬でした。



M はっきりと明暗が分かれていますね。

伊吹 伸びしろがありそうな戦績であっても、1勝クラスを勝ち上がったばかりの馬は強調できません。

M 先程も触れた通り、クールミラボーは2勝クラスの加古川特別で2着に食い込んでいる馬。実績上位の一頭と考えて良いのではないでしょうか。

伊吹 あとはコース適性も素直に評価した方が良さそう。同じく2020年以降の過去3年に限ると、3着以内馬9頭のうち7頭は“JRAの、左回りの、1勝クラス以上のレース”において“着順が1着、かつ2位入線馬とのタイム差が0.1秒以上”となった経験がある馬でした。



M 左回りのレースにこれと言った実績がない馬は、疑ってかかりたいところですね。

伊吹 新馬や未勝利を勝ち上がった後も積極的に左回りのレースを使ってきたような、新潟ダ1800mへのコース替わりがマイナスにならなさそうな馬を重視するべきだと思います。

M 残念ながら、厳密に言うとクールミラボーはこの条件をクリアしていません。ただし、2走前には東京ダ2100mで施行された1勝クラスのレースを勝利。2着馬とはアタマ差でしたが、左回り自体は問題ないと見て良いのではないでしょうか。

伊吹 おっしゃる通り。そのレースは3着馬に0.7秒の差をつけていましたし、殊更に不安視する必要はないはずです。もともと私も、好枠に入ったら重いシルシを打とうと考えていました。



M こちらもなかなか興味深い傾向。内外極端な枠に入った馬の活躍が目立っていますね。

伊吹 ちなみに、馬番が3〜13番、かつ前走のレースがジャパンダートダービー以外だった馬は、2020年以降[0-0-0-30](3着内率0.0%)とまったく上位に食い込めていません。今年はジャパンダートダービーから直行してきた馬がいませんし、枠順次第で柔軟に構えた方が良いでしょう。

M 馬番の発表が楽しみですね。

伊吹 もっとも、Aiエスケープが有力視しているうえ、今年は表Bと表Cで挙げた傾向を両方ともクリアしている馬がほとんどいませんから、仮に好枠を引けなかったとしても、押さえておくに越したことはないはず。オッズも踏まえたうえで最終的な位置付けを決めたいと思います。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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