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【関屋記念 AI予想】このレースは合うはず!? AIの注目馬は好走馬の傾向からも魅力十分

  • 2023年08月07日(月) 18時00分

単勝オッズ11.9倍のライオットガールが優勝(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

超人気薄の馬が波乱を演出した例はそれほど多くない


AIマスターM(以下、M) 先週はレパードSが行われ、単勝オッズ11.9倍(5番人気)のライオットガールが優勝を果たしました。

伊吹 強かったですね。スタート直後から積極的に出していき、道中は単独2番手を追走。離して逃げたルクスフロンティア(3着)との差を少しずつ詰め、4コーナーで早々と並びかけています。ゴール前の直線は、外から迫ったオメガギネス(2着)、内で逃げ粘るルクスフロンティアとの追い比べに。決して楽な形ではなかったと思うのですが、懸命に追った岩田望来騎手の力添えもあり、クビ差だけリードを保ったまま入線しました。4着以下の各馬は大きく引き離していましたし、着差以上の完勝と言って良いのではないでしょうか。

M ライオットガールは2走前のレースで2勝クラスを勝ち上がり、前走のマレーシアCでも3勝クラスの古馬を相手に4着と健闘していた馬。今回のメンバー構成なら実績上位と言える存在でしたから、単勝オッズ11.9倍の5番人気というのは過小評価だったかもしれませんね。

伊吹 まったくもっておっしゃる通り。ダートグレード競走に出走したことがあるのはクレメダンジュ(8着)だけ、ダートのオープン特別で馬券に絡んだことがあるのはエクロジャイト(4着)だけだったわけですから、順当勝ちと言っても良いくらいです。私も想定を見た段階ではそれなりに高く評価していたものの、最終的には◎を打つことができなかったので、もう少しこの馬の実績に敬意を表すべきだったと反省しています。

M 今回の勝利で収得賞金の上積みに成功しましたし、この先の大舞台でも注目が集まるのではないでしょうか。

伊吹 今後は放牧に出て様子を見るようですが、牝馬限定のダートグレード競走をターゲットにしてきたら、この路線の新たなチャンピオン候補として、かなりの支持を集めることになるかもしれませんね。ポテンシャルの高さを証明したとはいえ、馬券的にはしばらく難しい存在となる可能性も。これまでのパフォーマンスや各レースの傾向も参考に、妙味ある買い時を見極めたいところです。

M 今週の日曜新潟メインレースは、サマーマイルシリーズの第3戦、関屋記念。昨年は単勝オッズ3.8倍(1番人気)のウインカーネリアンが優勝を果たしました。なお、その2022年は単勝オッズ62.2倍(12番人気)のシュリが2着に食い込んでいます。荒れやすいというイメージはそれほどないものの、やはり伏兵の一発も警戒しておいた方が良いのでしょうか?


伊吹 過去10年の単勝人気順別成績を見ると、3着以内馬延べ30頭のうち、単勝7番人気以下だった馬は5頭だけ。人気薄の台頭が目立つとまでは言えません。


M 単勝2〜3番人気馬の好走率はいまひとつですが、単勝1番人気馬や単勝4〜6番人気馬はかなり堅実ですね。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2〜7番人気の馬は2013年以降[7-6-6-41](3着内率31.7%)、単勝8〜12番人気の馬は2013年以降[0-2-1-47](3着内率6.0%)、単勝13番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-41](3着内率0.0%)となっていました。好配当決着を演出した馬もそれなりにいるとはいえ、複数の人気薄が上位に食い込む確率はそれほど高くないと見るべきでしょう。

M そんな関屋記念でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、プレサージュリフトです。

伊吹 興味深いところを挙げてきましたね。残念ながら特別登録の時点では除外対象ですが、出走してくればそれなりに人気を集めそう。

M プレサージュリフトはデビュー2戦目でクイーンCを勝った実績がある馬。今年最初のレースとなった京都金杯や、前走の東京新聞杯でもそれぞれ3着に健闘しています。収得賞金は少ないものの、3歳牝馬三冠競走でもそれなりに善戦していましたし、実績上位の一頭と言って良いかもしれません。

伊吹 Aiエスケープもそのあたりを高く評価しているのではないでしょうか。このまま除外となってしまう可能性もありますが、出走できる可能性が極端に低いわけではないと思うので、今回はこの馬のプロフィールと好走馬の傾向を見比べていきます。

M 明暗を分けそうなポイントはどのあたりですか?

伊吹 距離適性や脚質はひと通りチェックしておいた方が良さそう。2017年以降の3着以内馬延べ18頭中15頭は“前年以降の、JRAの、今回と同じ距離のレース”において“着順が2着以内、かつ4コーナー通過順が5番手以内”となった経験のある馬でした。


M 1600mのレースをあまり使ってこなかった馬や、後方からレースを進めるタイプの馬は、扱いに注意した方が良いかもしれませんね。

伊吹 今年もこの条件に引っ掛かっている馬が意外と多いので、該当馬を信頼し過ぎてしまわないよう注意しましょう。

M 厳密に言うとプレサージュリフトもその一頭ですが、2走前の京都金杯は4コーナー通過順が3番手で、最終的な着順が3着。大きな不安要素と見る必要はない気もします。

伊吹 私も同意見です。あとは直近のパフォーマンスも素直に評価したいところ。同じく2017年以降の過去6年に限ると、3着以内馬延べ18頭のうち14頭は前走の着順が6着以内でした。


M 大敗直後の馬はあまり上位に食い込めていませんね。

伊吹 ちなみに、前走の着順が7着以下、かつ前走の4コーナー通過順が3番手以下だった馬は2017年以降[0-1-0-30] (3着内率3.2%)。積極策が裏目に出てしまったパターンでない限り、前走で大きく崩れた馬は過信禁物と見るべきでしょう。

M 前走好走馬のプレサージュリフトにとっては心強い傾向です。

伊吹 もうひとつ強調材料を挙げておくと、この関屋記念は基本的に牝馬が強いレース。性が牝の馬は2017年以降[2-3-3-18](3着内率30.8%)と比較的安定しています。一方、3着以内となった牡馬10頭のうち9頭は、馬齢が5〜6歳、かつ前走の馬体重が480kg以上でした。


M こちらもなかなか面白い傾向。馬格のない牡馬や高齢の牡馬だけでなく、4歳以下の牡馬も苦戦する可能性が高い、と。

伊吹 実際、性が牡・セン、かつ馬齢が4歳以下の馬は2017年以降[0-0-1-16](3着内率5.9%)。注目度の高さを考えれば、物足りない成績と言わざるを得ません。

M ここまでの話を踏まえると、プレサージュリフトはレースの傾向からもそれなりに強調できる存在と言って良いのではないでしょうか。

伊吹 実際、私も出走してきたら押さえておこうと考えていました。より狙いやすそうな馬がいる分、重いシルシを打つかどうかはまだわかりませんが、他ならぬAiエスケープが有力視しているわけですし、この馬を中心に買い目を組み立てても良いのではないかと思います。回避馬が出て出走可能となるかどうかはわからないものの、少なくとも除外が確定するまでは、この馬の動向もしっかりチェックしておきたいところです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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