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【京成杯AH AI予想】絶好の狙い時かも!? AIの挙げた伏兵はレースの傾向からも魅力十分

  • 2023年09月04日(月) 18時00分

単勝オッズ5.0倍(2番人気)のノッキングポイントが新潟記念を制覇(撮影:小金井邦祥)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

ハンデキャップ競走らしく人気薄の台頭が目立っている


AIマスターM(以下、M) 先週は新潟記念が行われ、単勝オッズ5.0倍(2番人気)のノッキングポイントが優勝を果たしました。

伊吹 グレード制が導入された1984年から2022年までの新潟記念を振り返ってみると、馬齢が3歳だったにもかかわらず連対を果たしたのは、2018年1着のブラストワンピースのみ。2022年にフェーングロッテンが、1993年にリワードプランダーがそれぞれ3着を確保したものの、1994〜2022年の新潟記念における馬齢が3歳だった馬の成績は[1-0-1-15](3着内率11.8%)だったんです。前回の当コラムで紹介した好走馬の傾向と見比べても比較的不安要素の少ない馬で、私自身も最終的には重いシルシを打ったのですが、期待を裏切りがちな3歳馬である点が若干引っ掛かっていて、心情的には半信半疑だったのもまた事実。そんな中でこれだけのパフォーマンスを見せたわけですから、もうお見事と言うほかありません。

M ノッキングポイントは4コーナー通過順が6番手で、上がり3ハロンタイム順位が3位。2着のユーキャンスマイルは4コーナー通過順が11番手、3着のインプレスは4コーナー通過順が13番手でしたから、展開を考えても強い競馬だったと言って良いのではないでしょうか。

伊吹 積極策の各馬を先に行かせる形となったものの、極端にポジションを下げることもなく、道中は先団寄りのインコースを追走。3〜4コーナーを通過し、ゴール前の直線に入ったところでも最内にいましたが、ほぼすべての馬がやや外めに進路をとったこともあり、前が詰まるような場面はありませんでした。残り200m地点のあたりで1馬身ほど抜け出し、その後も外から迫ったユーキャンスマイル、最内を突いて伸びたインプレスの追撃を凌ぎ切って、リードを保ったまま入線。横綱相撲で古馬勢を退けたわけですから、高く評価して良いと思います。

M 次走は状態を見ながら検討するとのこと。どの路線を選択するかにも注目が集まりそうです。

伊吹 3歳牡馬クラシック最終戦の菊花賞で見てみたい気もしますが、これまでの戦績やレース選択を考えると、天皇賞(秋)を当面の目標に設定する可能性が高いのではないでしょうか。母が現役時代にオークスで2着となったチェッキーノ、母の全兄に朝日杯FS2着のコディーノがいる良血馬で、もともとPOGでも人気を集めていた一頭。このまま順調に成長していけば、そのうちビッグタイトルを射止める日が来るかもしれません。

M 今週の日曜中山メインレースは、サマーマイルシリーズ最終戦の京成杯AH。昨年は単勝オッズ4.7倍(1番人気)のファルコニアが優勝を果たしました。ちなみに、その2022年は単勝オッズ55.3倍(12番人気)のミッキーブリランテが2着に食い込み、3連単23万5180円の好配当決着を演出。ハンデキャップ競走らしい波乱含みの一戦というイメージですが、単勝人気順別成績はどうなっていますか?


伊吹 過去10年の3着以内馬30頭中13頭は単勝7番人気以下の伏兵。積極的に穴を狙っていくべきレースと言えるのではないでしょうか。



M 単勝1番人気馬や単勝2〜3番人気馬の好走率が極端に低いわけではないものの、単勝4〜6番人気馬の3着内率は単勝7番人気以下の馬とほぼ同じで、物足りない水準と言わざるを得ません。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝4〜7番人気の馬は2013年以降[3-2-4-31](3着内率22.5%)、単勝8〜13番人気の馬は2013年以降[1-5-3-51](3着内率15.0%)、単勝14番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-21](3着内率0.0%)となっていました。魅力のある連軸候補が見つかったら、たとえその馬が単勝オッズ数十倍クラスの人気薄であっても、強気に攻めて良いと思います。

M そんな京成杯AHでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、メイショウシンタケです。

伊吹 面白いところを挙げてきましたね。少なくとも、上位人気グループの一角を占めることはないはず。

M メイショウシンタケは5走前の戎橋Sを勝ってオープン入りした5歳馬。3走前の米子Sでは単勝オッズ93.1倍(10番人気)の低評価を覆し優勝を果たしています。サマーマイルシリーズのポイントランキングでは首位のセルバーグと1ポイント差の2位につけており、チャンピオンも十分に狙える立場ですが、2走前の中京記念で8着に、前走の関屋記念で5着に敗れたこともあって、中心視しようと考えている方はさほど多くなさそう。タイミング的には絶好の狙い目かもしれません。

伊吹 そのうえAiエスケープも有力と見ているわけですから、シンプルにこの馬から買うのもひとつの手ですね。第三者である私から見た参考意見として、好走馬の傾向とこの馬のプロフィールを見比べていきましょう。

M 最大のポイントはどのあたりだと考えていますか?

伊吹 2018年以降の過去5年に限ると、この京成杯AHは関西馬と牝馬が優勢。調教師の所属が美浦の馬は2018年以降[1-2-1-34](3着内率10.5%)と安定感を欠いていたうえ、3着以内となった4頭のうち3頭は牝馬でした。



M 関東所属の牡馬はほとんど上位に食い込めていませんね。

伊吹 今年も注目を集めそうな該当馬がいるので、扱いに注意しましょう。

M メイショウシンタケは栗東所属の千田輝彦調教師が管理している関西馬。この馬にとっては心強い傾向です。

伊吹 あとは基本的に前走好走馬が強いレースである点も押さえておきたいところ。前走の着順が1着だった馬、前走の1位入線馬とのタイム差が0.2秒以内だった馬は比較的安定しています。



M メイショウシンタケは前走の1位入線馬とのタイム差が0.3秒。厳密に言えばクリアしていないものの、減点の必要があるとは思えません。

伊吹 おっしゃる通り。人気を集めてしまうようなら疑ってかかりたいところですが、それなりのオッズがつきそうなら大目に見ても良いでしょう。ちなみに、前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.3秒以上、かつ“同年の、中山の、オープンクラスのレース”において2着以内となった経験がない馬は2018年以降[0-0-2-39](3着内率4.9%)。大敗直後だったにもかかわらず一変した馬の大半は、中山のレースに十分な実績がある馬でした。

M メイショウシンタケはまだ中山のレースを使ったことがない馬。コース適性も不安視されそうですよね。

伊吹 こればかりは走ってみないとわかりませんが、スムーズにレースを進められそうな枠を引いた場合は、あまり心配しなくて良いかも。近年の京成杯AHは、外寄りの枠に入った馬の活躍が目立っています。



M 過去5年の連対馬10頭のうち9頭は枠番が5〜8枠。内枠不利・外枠有利なレースと言って良いのではないでしょうか。

伊吹 なお、枠番が1〜4枠、かつ“JRAの、GIのレース”において3着以内となった経験がない馬は2018年以降[0-0-1-25](3着内率3.8%)でした。

M なるほど。ビッグレースで上位に食い込んだことのないメイショウシンタケとしては、好枠を引き当てたいところですね。

伊吹 まぁ、そもそも少頭数がプラスに働きそうな脚質ですし、枠順やオッズ次第ではさらに加点できる――くらいの認識で良いと思います。私はより不安要素の少ない馬を◎に据える予定ですが、Aiエスケープが推しているのであれば、この馬の評価をもう少し引き上げた方が良いのかもしれませんね。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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