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【JRA免許受験】M.ミシェル騎手の『私の恩人』(前編) 日本で出会ったふたりの恩人「騎手として人間として、大きく成長させてくれました」

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  • 2023年09月14日(木) 18時01分
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▲ミシェル騎手の恩人とは?(提供:M.ミシェル騎手)


「あの人がいたから今の自分がある」「あの人のあの言葉があったから、ここまでやってこられた」──誰の人生にも“宝物”のような出会いがある。浮き沈みが激しく、つねに“結果”という現実にさらされているジョッキーたちは、そんな“宝物”たちに支えられているといっても過言ではない。そんな出会いや言葉でジョッキー人生がどう変わり、そして今の自分があるのかを、ジョッキー本人の言葉で綴っていく本企画。

昨年に引き続き、今年もJRA通年騎手免許試験の受験を表明しているミカエル・ミシェル騎手。18年にフランス女性騎手の年間最多勝記録を塗り替え、2019年の札幌のWASJ(ワールドオールスタージョッキーズ)に参戦して第3戦を勝利。20年、南関東地方競馬の短期免許を取得して2ヶ月の騎乗で30勝し、地方競馬海外騎手の短期免許期間での最多勝記録を更新した。帰国後、ヴァルデルベとのコンビで伊G2、G3で勝利し、21年、日本でもおなじみのドバイワールドCデーのG2ドバイゴールドCで同馬に騎乗し2着に入る活躍を見せた。

その後も日本での騎乗を切望するもコロナ禍で叶わない中、思い切って環境を一新する。22年春、アメリカ中部に拠点を移し、現在もそこで奮闘中だ。1年間、必ずしも良い環境に恵まれていたとはいえず成績も伸び悩んでいた(1年間の勝率は約5%)が、今年6月末から9月初までの約2か月の勝率は15%と一変!一体何があったのか。

(構成=高橋正和)

この人がいなければ騎手の道はなかった──最初の恩人となる幼馴染のパワー


 ミシェル騎手は南フランスのイエールの一般的な家庭で生まれた。小さなころから動物は好きだったというが、馬との出会いは何がきっかけだったのか。

「私は幼いころから動物、特に馬が大好きでした。理由は説明できません。実家では動物は飼っていませんでした。母はどんな動物も怖いし好きではなかったです。父は犬が好きでしたが、飼うほどではありませんでした。私は動物に会いたくて母にせがんで、毎週日曜、ペットショップに連れて行ってもらっていたことを憶えています。

 8歳の時、隣に引っ越してきた家族に同年代の女の子がいました。私の最初の”恩人”になるジョアンナです。彼女も動物が大好きで、いつも一緒に遊んでいましたが、彼女は乗馬のレッスンを受けていました。うらやましかったですが、乗馬教室は私の両親にはちょっと負担が大きかったんです。

 ある日、ジョアンナが乗馬のための2週間のホリデー・ガール・キャンプに参加すると聞いて、私もこの機会を逃したくないと思いました。ジョアンナも一緒に私の母を説得してくれて、その結果母が参加を許可してくれました。

 キャンプの最初の夜、ベッドの上でジョアンナが手綱の握り方を教えてくれたことを今でも思い出します(笑)。翌日、初めて乗馬を体験し、馬の背中の感触がとても良くて、緊張しながらも楽しくて。夢が叶ったと、とても強く思いました」

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▲当時10歳のミシェル騎手(左)と友人ジョアンナさん(右)(提供:M.ミシェル騎手)


 その後、乗馬教室に通うようになった。15歳、中学卒業を前にミシェル騎手は将来の仕事として、おぼろげながら馬関係を考えていた。ネットで近く(マルセイユ)に競馬学校があることを知り、母親に連れて行ってもらった競馬場で初めて見た競馬にすごく魅力を感じたという。

「中学を卒業して競馬学校に入学しました。母も誰も喜んではくれていなかったと思います。その中でただ一人、私の情熱を理解してくれたのが祖父でした。学校時代、パドックで馬を引く仕事をするのを見るためだけに、競馬場まで車で来てくれていました(笑)。

 2年後、初めて競馬に騎乗した競馬場に、祖父は私の弟を連れて見に来てくれました。家から車で7時間もかかるんですよ! びっくりしましたが、このレース以降、彼は常に私のレースを見てくれています」

 ミシェル騎手は、騎手デビュー以来何度か大きな事故に遭遇している。そのうちのいくつかは、騎手生命に関わるほど深刻なものもあった。

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