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【毎日王冠 AI予想】今週は見解が一致! AIが指名した実績馬はレースの傾向からも強調できる

  • 2023年10月02日(月) 18時00分

スプリンターズSを制したママコチャ(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

近年は堅い決着が続いている点に注意


AIマスターM(以下、M) 先週はスプリンターズSが行われ、単勝オッズ4.9倍(3番人気)のママコチャが優勝を果たしました。

伊吹 恐れ入りましたと言うほかありません。好スタートを決めたうえで行きたい馬を先に行かせ、前を行く各馬のすぐ後ろ、やや外めの好位を確保。その後は積極的にポジションを押し上げ、残り600m地点を3番手前後で通過し、4コーナーでは早くも先頭のジャスパークローネ(4着)に並びかけています。ゴールの直前、ジャスパークローネとの追い比べに決着をつけたところでインを突いたマッドクール(2着)が急襲してきたものの、かわされることなく喰らいつき、最後はハナ差だけ先着。横綱相撲を選択した陣営や川田将雅騎手の判断も、それに完璧な形で応えてみせたママコチャも、本当にお見事です。

M ママコチャは重賞を制したのも今回が初めて。2走前の安土城Sでオープン初勝利をマークし、前走の北九州記念でも勝ったジャスパークローネと1/2馬身差の2着に健闘していましたが、出走メンバー中4頭しかいなかった重量未勝利馬の一頭でした。

伊吹 2着のマッドクールも重賞未勝利馬ですし、それだけ現在の芝短距離戦線が混戦模様だったということなのでしょう。先週の当コラムで指摘した通り、2019〜2022年のスプリンターズSにおいて3着以内となった12頭は、いずれも“同年の、中央場所ならびに中京の、重賞のレース”において1着となった経験がある馬。年明け以降に重賞を勝っていない馬はもちろん、中京を除くローカル場の重賞しか勝っていない馬も上位に食い込めていなかったわけですから、近年の傾向とは異なる決着だったと言わざるを得ません。ただ、ママコチャもマッドクールも素質を高く評価されていた馬であり、初めての大舞台で実績馬たちを完璧に封じ込めたのは紛れもない事実。レースレベルが低かったということはなさそうで、両馬とも素直に評価して良いと思います。

M ママコチャはキャリア13戦の4歳馬。今後が楽しみですね。

伊吹 今春までは1400mや1600mのレースを使われてきましたが、昨日のパフォーマンス、特に道中の行きっぷりを見る限りだと、もともとこのくらいの距離が合っていたのでしょう。この路線に現れた新たなチャンピオンとして、しばらくの間はかなりの注目を集めることになるかもしれません。スプリンターズS当日に引退が発表された全姉ソダシの分まで、今後のビッグレースを盛り上げてくれればと思います。

M 今週の日曜東京メインレースは、天皇賞(秋)やマイルCSなどの前哨戦として親しまれている伝統の一戦、毎日王冠。昨年は単勝オッズ3.0倍(1番人気)のサリオスが優勝を果たしました。なお、その2022年は3連単の配当が8690円どまりでしたし、それ以前も2021年が3連単2820円、2020年が3連単3430円、2019年が3連単1000円、2018年が3連単10170円と、近年は低額配当決着ばかりです。


伊吹 ここ5年連続で単勝1番人気馬が勝っていますし、少頭数になりがちという事情もありますから、基本的には堅く収まりやすいレースと見るべきでしょう。実際、過去10年の単勝人気順別成績を見ても、人気薄の馬はあまり上位に食い込めていません。


M 人気を裏切ってしまった馬もそれなりにいるとはいえ、単勝7番人気以下の馬は好走率がかなり低い水準にとどまっています。

伊吹 より実態に即した区切り方をすると、単勝2〜5番人気の馬は2013年以降[2-8-7-23](3着内率42.5%)、単勝6〜11番人気の馬は2013年以降[1-2-3-52](3着内率10.3%)、単勝12番人気以下の馬は2013年以降[0-0-0-12](3着内率0.0%)となっていました。わざわざ買い目を人気サイドに寄せる必要はありませんが、手を広げ過ぎてしまわないよう心掛けるべきでしょう。

M そんな毎日王冠でAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ソングラインです。

伊吹 意外と言えば意外なところを挙げてきましたね。完全に実績上位で、今回もかなりの支持が集まるはず。

M ソングラインは2022年と2023年の安田記念を連覇した馬。今春にはヴィクトリアマイルも制しています。左回りのレースは11戦6勝、2着2回、3着1回で、残る2戦も上位馬と小差の5着。1600m超のレースを使うのは今回が初めてで、この点が不安視される可能性はあるものの、単勝1番人気の立場でレースを迎えることになるかもしれません。

伊吹 どちらかと言えば穴党であるAiエスケープがこの馬を推しているということは、妙味ある伏兵が見当たらなかったということなのでしょう。そして、その見立ては近年の流れにも合致しているわけです。こうした事実を踏まえたうえで、私は好走馬の傾向から、この馬の信頼度を測ってみたいと思います。

M ソングラインは5歳の牝馬。やや高齢な部類に入るかと思いますが、このあたりは問題ありませんか?

伊吹 若い馬の方が狙いやすいのは事実。2019年以降の3着以内馬延べ12頭中10頭は、キャリア14戦以内でした。


M ソングラインはキャリア15戦。ギリギリではあるものの、この条件に引っ掛かっている点は気掛かりですね。

伊吹 ただし、出走数が15戦以上、かつ前走のコースが東京、かつ前走の着順が2着以内だった馬は2019年以降[0-2-0-0](3着内率100.0%)。東京開催がない期間を休養に充て、この4回東京に照準を合わせてきたと思しき馬なら、評価を下げる必要はないでしょう。

M なるほど。ソングラインは前走の安田記念を勝ち切っている馬。こちらの条件はクリアしています。

伊吹 そもそも、近年の毎日王冠は前走好走馬が圧倒的に優勢。2019年以降に限ると、前走の着順が5着以下だった馬はまったく上位に食い込めていません。


M これはわかりやすい。大敗直後の馬は思い切って評価を下げた方が良さそうですね。

伊吹 2022年は、前走のヴィクトリアマイルで12着に敗れていたレイパパレが単勝オッズ4.7倍(2番人気)の支持を集めたものの、勝ったサリオスから0.3秒差の4着どまりでした。ビッグレースからの直行組であっても、前走の内容がいまひとつだった馬は疑ってかかるべきでしょう。

M 他に注目しておくべきファクターは何かありますか?

伊吹 最大のポイントはコース適性。同じく2019年以降の3着以内馬延べ12頭は、いずれも“東京の、3勝クラス以上のレース”において1着となった経験がある馬です。


M これもなかなか興味深い傾向。ちなみに、特別登録を行った馬のうち、この条件をクリアしている馬は4頭しかいません。

伊吹 たとえ実績上位でも、東京向きと言い難い戦績の馬は、過信禁物と見るべきでしょう。

M これと言った不安要素はないみたいですし、ソングラインは今回も信頼して良いように思えます。

伊吹 何を隠そう、もともと私もこの馬を素直に中心視しようと考えていました。Aiエスケープも同意見なのであれば心強い限り。ただ、高額配当が飛び出す可能性は低そうですから、連軸がすんなり決まった分、相手の絞り込みにじっくり時間をかけるつもりです。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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