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【チャンピオンズC AI予想】不利な枠さえ引かなければ狙い目!? AIの注目馬は波乱を演出できるか

  • 2023年11月27日(月) 18時00分

単勝オッズ1.3倍(1番人気)のイクイノックスが優勝(撮影:下野雄規)


netkeibaにある膨大な競走成績を人工知能によって機械学習するAiエスケープを開発したAIマスター・Mと、レースデータの分析を専門とする競馬評論家・伊吹雅也による今週末のメインレース展望。コンピュータの“脳”が導き出した注目馬の期待度を、人間の“脳”がさまざまな角度からチェックする。
(文・構成=伊吹雅也)

上位人気馬の成績が極端に悪いわけではない


AIマスターM(以下、M) 先週はジャパンCが行われ、単勝オッズ1.3倍(1番人気)のイクイノックスが優勝を果たしました。

伊吹 この馬自身のパフォーマンスに関してはあちこちで語り尽くされていますし、私が改めて解説するまでもないでしょう。スタート直後から好位でレースを進めたうえ、最後も出走メンバー中トップの上がり3ハロンタイムをマーク。こんな競馬をされてしまったら、他の馬はなす術がありません。本当にとんでもない馬です。

M ただ、結果的にはワンサイドゲームだったものの、非常に見応えのあるレースでしたね。

伊吹 おっしゃる通り。イクイノックスに真っ向勝負を挑みながらも他馬の先着を許さなかったリバティアイランド(2着)、枠順の不利をものともせずに最後の最後まで脚を使ったスターズオンアース(3着)は、それぞれ非常に高く評価できる内容だったと思います。どちらも次走以降はさらに強い競馬を見せてくれるのではないでしょうか。

 あとはドウデュース(4着)やタイトルホルダー(5着)も、展開やレース条件を考えれば大健闘と言って良さそう。チャンピオンホースらしい底力を発揮し、大きく崩れなかったあたりはさすがです。もちろん、宣言通りの大逃げでレースの緊張感を高めたパンサラッサ(12着)も、この一戦を語るうえでは欠かせない立役者。この馬が出走していなかったらもう少し淡白な展開になっていたはずで、これほどまでには感銘を受けなかったかもしれません。すべての出走馬が無事に帰ってきた点を含め、本当に素晴らしいレースでした。

M イクイノックスの今後は未定とのこと。有馬記念への参戦や来年以降までの現役続行を望む声もありますが、「これだけの馬なので早く種牡馬入りしてほしい」という意見も多く見かけます。

伊吹 有馬記念は年末の風物詩として長く親しまれてきた国民的行事。普段は競馬をあまり観ないという方も関心を寄せるイベントですし、そういった方にもぜひこの馬の走りを見てほしいですから、参戦してくれると嬉しいですね。あとは、例えば来春のドバイシーマクラシックあたりを使って他国が誇るトップホースたちの挑戦を受けるというのも、世界チャンピオンらしくて非常に格好良いのではないでしょうか。ただ、このまま引退するのならそれはそれで安心できますし、これだけの偉業を成し遂げた直後でもあるので、現役生活を終えるにはベストのタイミングかもしれません。どれも前向きな選択だと思いますから、陣営の発表を楽しみに待ちたいと思います。

M 今週の日曜中京メインレースは、現役トップクラスのダートホースが覇を競う注目の一戦、チャンピオンズC。昨年は単勝オッズ7.9倍(3番人気)のジュンライトボルトが優勝を果たしました。ちなみに、その昨年は単勝オッズ1.5倍(1番人気)のテーオーケインズが4着に敗退。今年も波乱の決着を警戒しておいた方が良いのでしょうか?


伊吹 ジャパンCダートの名称で施行されていた2013年を含む過去10年の単勝人気順別成績を見ると、単勝1番人気馬は連対率が5割、3着内率が6割。高いとまでは言えないものの、極端に低いわけではありません。



M ただ、単勝7番人気以下で馬券に絡んだ馬も8頭います。

伊吹 より細かく区切ってみると、単勝7〜10番人気の馬は2013年以降[1-2-3-34](3着内率15.0%)、単勝11番人気以下の馬は2013年以降[1-0-1-55](3着内率3.5%)でした。単勝二桁人気クラスの超人気薄はともかく、妙味ある伏兵が馬券に絡んでくる可能性は高いと見るべきでしょう。

M そんなチャンピオンズCでAiエスケープが指名した特別登録時点の注目馬は、ハギノアレグリアスです。

伊吹 ちょうど手頃なところを挙げてきましたね。超人気薄ということはまずないでしょうが、支持が集中するということもなさそう。

M ハギノアレグリアスは前走のシリウスSを快勝している馬。2走前の帝王賞でも4着に健闘しています。今年1月の東海Sで2着となった実績もありますから、コース適性は高いと見て良いはず。伏兵として狙っている方はそれなりに多いのではないでしょうか。

伊吹 6歳とはいえまだキャリア15戦ですから、新興勢力としての魅力は十分。また、重賞を使うようになってからもあまり大きく崩れていません。あとはGIで勝ち負けしてきた馬たちとの力関係がどうかといったところ。Aiエスケープが高く評価していることを踏まえたうえで、私はレースの傾向からこの馬の好走確率を見積もっていきたいと思います。

M 真っ先に注目しておくべきポイントはどのあたりですか?

伊吹 中心視したいのはノーザンファーム生産馬と前走好走馬。生産者がノーザンファームの馬は2016年以降[4-4-0-12](3着内率40.0%)とまずまず堅実でした。一方、生産者がノーザンファーム以外、かつ前走の着順が2着以下、かつ前走の1位入線馬とのタイム差が0.5秒以上だった馬はあまり上位に食い込めていません。



M 大敗を喫した直後の非ノーザンファーム生産馬は、疑ってかかった方が良さそうですね。

伊吹 見た目の着順はまずまずでも、勝ち馬にある程度の差を付けられてしまった馬は期待を裏切りがちだったので、扱いに注意しましょう。

M 前哨戦のシリウスSを勝ち切っているハギノアレグリアスにとっては心強い傾向と言えます。

伊吹 あとは前走の格やコース適性もしっかりチェックしておいた方が良さそう。前走の条件がGI・GII、かつ前走のコースがダートだった馬は2016年以降[6-5-3-31](3着内率31.1%)とそれなりに安定していました。そして、前走の条件がGI・GII以外、もしくは前走のコースがダート以外だったにもかかわらず3着以内となった7頭のうち5頭は、同年の、フェブラリーSならびに中京ダ1800m以上の重賞”において3着以内となった経験があった馬です。



M フェブラリーSは東京ダ1600mで施行されるGI競走。左回りである点は共通していますから、フェブラリーSで好走できるくらいの馬なら、中京ダ1800mも問題なくこなせると見て良いのでしょうね。

伊吹 そういうことだと思います。いずれにせよ、コース適性の高さを十分に証明している馬でない限り、GIIIやオープン特別のレースを経由してきた馬は強調できません。

M ハギノアレグリアスはGIIIのシリウスSから直行してきた馬ですが、先程も触れた通り、5走前の東海Sで2着となっている馬。相応に高く評価して良さそうです。

伊吹 もともと私も、この馬には重いシルシを打つ予定でした。ただし、近年のチャンピオンズCは極端に外寄りの枠を引いてしまった馬が不振。枠順もチェックしたうえで最終的な評価を下すべきでしょう。



M “フルゲート”の16頭立てになったとしても、馬番が14〜16番となる確率は16分の3で、確率にすると2割弱。決して高くはありませんが……。

伊吹 無視できるほど低くはないんですよね(笑)。

M 心置きなく買えるよう、無難な枠に入ることを祈りたいと思います。

伊吹 一応補足しておくと、近年の中京ダ1800〜1900mはキズナ産駒の活躍が目立っていました。他ならぬAiエスケープが有力と見ているわけですし、もし枠順に恵まれなかったとしても、極端に評価を下げる必要はないはず。本当に楽しみな一頭です。

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競馬評論家。JRAの公式ホームページ内「今週の注目レース」にて“データ分析”のコーナーを、TCK(東京シティ競馬)の公式ホームページ内「分析レポート」にて重賞競走のデータ分析を担当しているほか、グリーンチャンネル、JRAのレーシングプログラム、『週刊アサヒ芸能』、『競馬王』などさまざまなメディアを舞台に活動している。主な著作に『WIN5攻略全書 回収率150%超!“ミスターWIN5”のマインドセット』、『コース別 本当に儲かる騎手大全』シリーズ、『コース別 本当に儲かる血統大全』シリーズ、『ウルトラ回収率』シリーズ(いずれもガイドワークス)など。

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