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北半球イヤリングセール・サーキットまもなく開幕

  • 2006年06月20日(火) 23時50分
 7月17日・18日の両日にケンタッキーで開催される「ファシグティプトン・ケンタッキー・ジュライ・イヤリングセール」を皮切りに、いよいよ北半球における今年のイヤリングセール・サーキットが始まる。

 イヤリングセールと言えば大きな楽しみの1つが、今年の1歳世代が初年度産駒となる新種牡馬たちがどんな仔を出しているかを見る点にある。

 04年にスタッドインし、05年に初仔が生まれた新種牡馬の中で、初年度の種付け料が最も高かったのは、いずれも10万ドルで供用されたマインシャフト(父エーピーインディ)とエンパイアメーカー(父アンブライドルド)の2頭である。

 03年にG1・4つを含めて6つの重賞を制し、全米年度代表馬に選出されたマインシャフトは、実績という点で今年の新種牡馬の中では随一と言えよう。母プロスペラスディライトはG1エイコーンSやG1アッシュランドSを制している活躍馬で、本馬の全姉にはG1パーソナルエンサインSやG1ラフィアンHを制したトミスーズディライトがいるように、牝系も超優秀。唯一の不安は、自身が2歳時不出走で本格したのが4歳時という
「晩成型」だった点で、産駒もエンジンのかかりが遅い懸念はあるが、昨年当歳セールに上場された2頭のマインシャフト産駒が、それぞれ35万ドルと16万ドルという高値で購買されており、産駒の出来も上々のようである。

 一方のエンパイアメーカーは、ファニーサイドの3冠を阻んで03年のベルモントSを制した馬として、御記憶の方が多いであろう。これ以外に、G1フロリダダービー、G1ウッドメモリアルSに勝ち、G1ケンタッキーダービーが2着、2歳G2・3着の成績もあるから、こちらも現役時代の実績は申し分ないものがあると言えよう。更に、母トゥーソードがG1ゲイムリーHの勝ち馬で、兄弟にG1アーリントンミリオン勝ち馬チェスターハウス、G1サンタモニカH勝ち馬オネストレディー、G1セクレタリアトS勝ち馬チセリングと、3頭のG1勝ち馬がいるという極上の牝系をバックボーンに持っている。なおかつ、父アンブライドルド譲りの雄大な馬格は惚れ惚れさせるものがあり、生産者の人気を博している。

 デビューから無敗の4連勝でBCジュヴェナイルを制し、02年の2歳牡馬チャンピオンとなったヴィンディケーション(父シアトルスルー)も、初年度産駒が今年1歳になる。故障で3歳以降競馬が出来なかったという、体質面の弱さが不安材料ではあるが、底知れぬ潜在能力を感じさせてくれた馬だった。自身、1歳夏のサラトガセールで215万ドルという高値がついた馬で、昨年当歳セールに上場されたヴィンディケーション産駒も、8頭中7頭が平均213,857ドルで売却されるという、順調な売れ行きを示している。

 この世代の新種牡馬で、もう1頭忘れてはならないのが日本産馬のサンデーブレイク(父フォーティーナイナー)だ。前田幸治氏のオーナーブリーディングホースとして、アメリカでデビュー。G2ピーターパンSに勝って、G1ベルモントSでも3着となった、あの馬である。昨年の当歳市場では、24頭上場されたサンデーブレイク産駒のうち20頭が売却されており、産駒の評判も上々のようだ。

 先頃、同じフォーティーナイナー産駒のユートピアが、将来の種牡馬としての期待込みでゴドルフィンにヘッドハントされたが、サンデーブレイクが種牡馬として成功すれば、日本は益々種牡馬予備軍の宝庫として、世界の注目を集めることになるだろう。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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