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ハリウッドパークの日本馬奮戦せり

  • 2006年07月04日(火) 23時50分
 先週末にハリウッドパークで走った日本馬2騎は、満足度で言えば99%のファンが充足感を味わえる結果を残してくれた。

 早くから準備を行っていたものの、サッカーのワールドCの余波で衛星回線の確保に手間取り、一時は放送断念かという局面もあったグリーンチャンネルの生中継だったが、関係各位の最後の努力で当該週の火曜日にようやく放送決定にこぎ着けることが出来て、本当に良かったと思う。

 アメリカンオークスの前哨戦であるハネムーンH勝ち馬で、有力馬の1頭と見られていたアティマは、前走後に飼い葉食いが上がって、陣営から「今の状態では出走を見合わせる」とのコメントが発せられ、週前半のハリウッドパーク発表の想定にも入っていなかったが、頭数が揃わないとみた陣営が急遽出走に転じた。

 ただし、そのアティマ。前走同様に逃げて、半マイル通過47.81秒、6F通過1分12.11秒というスローペースに落としながら、終盤大バテで8頭立ての8着に沈んでしまったのは、いただけない。体調が本当ではなかったようで、やはり出るべきではない馬だったようだ。

 勝ったウェイトアホワイルは、G1アッシュランドS・2着、G1ケンタッキーオークス・3着と、ダートの3歳牝馬路線のトップグループを形成する1頭で、芝も2歳時にデルマーのメイドンを5馬身差で快勝した実績のある馬だった。東海岸を本拠地としており、初コースとなるハリウッドパークの硬い芝をハンドリング出来るかどうかが心配だったが,まるで問題にすることなく、1頭だけ力の違いを見せつける競馬を見せた。

 中団より後ろから追い込むという、普段とは全く異なる競馬で2着となったアサヒライジング。鞍上のエスピノーザによれば、ゲートを出て周回コースに入るまでの直線で行き脚がつかず、1、2コーナーでもややもたつく素振りを見せたためこのような位置取りとなったようだが、スローな流れとなっただけに、普段の競馬が出来ていればと悔やまれる。結果だけ見れば大いなる好走と言えるが、内容的にはいささかもったいない敗戦であった。

 3着に粘ったのがカナダから遠征してきたアラヴェイルというのには驚かされたが、逆に言えば、地元カリフォルニア勢が余りにも負けすぎ。ドン尻に沈んだアティマだけでなく、ハネムーンH組は2着だったフォクシーソックスがここでは6着、3着だったプロクセニアがここでは7着、4着だったガリレオズスターがここでも4着と、揃って全く良いところがなかった。つまりは、今年のカリフォルニアの芝の3歳牝馬はレベルが低いということなのだろう。

 この結果は、実は前日のキャッシュコールマイルと傾向が極似している。

 御承知の如く、キャッシュコールマイルを制したのは1番人気に応えた日本馬ダンスインザムード。2着が東海岸からやってきたスウィートトーカーで、3着がアイルランドから遠征したルアスライン。地元カリフォルニア勢は、ダンスインザムードと同オッズで2番人気だったシャイニングエナジーが6着に沈んだのをはじめ、雁首を揃えて4着以下に討ち死にとなった。この段階で、今季ここまでカリフォルニアで行われた芝レースのフォームは信用出来ないという結論を導き出していれば、アメリカンオークスのトライフェクタ(75倍)は簡単にとれた馬券だった。

 それにしても、ダンスインザムードの強さたるや、牝馬に対してこの表現は適切ではないかもしれないが、まさに「横綱相撲」であった。

 この週末を終えて切に思うのが、2頭の好走が、アメリカ人バイヤーによる日本産馬購買に繋がって欲しいということ。なにしろ、父ロイヤルタッチ、母の父ミナガワマンナという配合の馬が、いきなりG1で2着に来られるほど、日本産馬の底上げは顕著なのだ。来週開催されるJRHAセレクトセールあたりで、ぜひアメリカ人による購買を見てみたいものである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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