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アルゼンチン牝系の大物クルサード

  • 2006年07月19日(水) 12時20分
エアテムジン(牡 栗東・松田国英 父フレンチデピュティ、母アイドリームドアドリーム)
 エアシャカール(00年皐月賞-GI、00年菊花賞-GI)、エアデジャヴー(98年クイーンS-GIII、98年オークス-GI・2着)、エアサバス(04年東京スポーツ杯2歳S-GIII・4着)の半弟にあたる良血。父がフレンチデピュティに替わったので、芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。「フレンチデピュティ×Well Decorated」だけなら軽いスピードタイプというイメージだが、本馬の場合、母系の奥にHerbager、Ribotというヨーロッパのスタミナ血統が入っているので、重賞向きの底力もある。

オーシャンクルーズ(牡 栗東・昆貢 父アフリート、母ウインクパール)
 「アフリート×トニービン」という組み合わせはビッグウルフ(03年ジャパンダートダービー-GI)と同じ。ちなみにこれとまったく逆の「トニービン×アフリート」からは重賞3勝のサイドワインダーが出ている。この2つの血の組み合わせはニックスといえるだろう。本馬はさらに母系にNijinskyが入っている。アフリートとNijinskyの組み合わせは、過去にプリモディーネ(99年桜花賞-GI)、プリエミネンス(ダート重賞8勝)、リキアイタイカン(01年CBC賞-GII)、イシヤクマッハ(01年グランシャリオC-GIII)、ビッグウルフ(前出)などが出ている。本馬とビッグウルフは、2つのニックスを併せ持っており、配合的に酷似している。ダートの中距離で大成しそうだ。

クリムゾンベガ(牡 美浦・大江原哲 父アドマイヤベガ、母サンセットバレー)
 「アドマイヤベガ×グルームダンサー」という組み合わせ。アドマイヤベガはBlushing Groomと相性がよく、ストーミーカフェ(05年共同通信杯-GIII)、マイネルポライト(06年京都新聞杯-GII・3着)などがこの組み合わせから生まれている。また、ノーザンテーストとも相性がよく、キストゥヘヴン(06年桜花賞-GI)やインテレット(06年毎日杯-GIII・2着)はこの血を母系に持っている。本馬はBlushing Groom、ノーザンテーストを併せ持っているのでおもしろい。2代母スカーレットリボンは報知杯4歳牝馬特別(GII)の勝ち馬で、近親にはダイワメジャー(04年皐月賞-GI)など活躍馬多数。確実に走ってきそうだ。

クルサード(牡 栗東・角居勝彦 父ダンスインザダーク、母ポトリザリス)
 半姉ディアデラノビアはフローラS(GII)を制したほか、オークス(GI)とヴィクトリアマイル(GI)では3着となった。母ポトリザリスはアルゼンチンダービー(G1)、アルゼンチンオークス(G1)を制した女傑で、母の兄弟姉妹には3頭のG1ウィナーがいる。そのうちの1頭Potrideeは亜2歳牝馬チャンピオンに輝いている。これほどきらびやかなファミリーは世界を探してもそうあるものではない。本馬の父はダンスインザダーク。配合に欠点らしい欠点は見当たらず、来年のクラシック戦線を賑わす1頭となるかもしれない。

コメンテーター(牡 美浦・高市圭二 父クロフネ、母ファストフレンド)
 クロフネは良血の繁殖牝馬と相性がいい。フサイチリシャールの母フサイチエアデールは重賞4勝、フラムドパシオンの母カーリーパッションは女傑エアグルーヴの全妹、シェルズレイの母オイスターチケットは重賞3着馬、などなど……。本馬の母ファストフレンドは帝王賞(G1)や東京大賞典(GI)など9つのダート重賞を制した女傑。半姉ルックアミリオンは新馬戦を楽勝しており、本馬も初戦からいきなり勝負になるだろう。ダート路線でかなりの活躍が見込める。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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