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【拝啓、小牧さん】「心から楽しんで競馬に乗っている姿を見続けていたいです」最愛の後輩騎手から手紙

  • 2025年05月20日(火) 18時01分
太論

▲“中央時代の相棒”ガンバルフトシの口取りに騎手2人!?(提供:小牧太)


園田に移籍して約9か月。兵庫リーディングのトップをひた走る小牧騎手に、あるジョッキーからメッセージが届きました。

今回の『太論』では、そのメッセージに応える形で、小牧騎手が“頑張る理由”を吐露。JRA関係者との心温まるやり取りも明かしてくれました。また、中央時代の相棒・ガンバルフトシが、永井孝典騎手の手綱で2連勝! はたしてその胸中は!?

(取材・構成=不破由妃子)

ガンバルフトシが園田で2連勝!「自分が乗っていなくてもうれしくて」



──今回の『太論』は、ちょっと趣向を変えまして…。ある方から、小牧さん宛にメッセージをいただいています。



 早いもので、小牧さんが園田に移籍して9か月が経ちました。

 最初こそ、小牧さんのいないトレセンに慣れず、「寂しいな…」と思うこともありましたが、ちょっとしたことでもLINEをくれたり、食事に誘ってくれたり、交流レース(3月25日・黒船賞)で一緒に乗る機会もあったりして、今では小牧さんの活躍が励みになっています。

 4月1日には、園田でふたつ乗せてもらい、1日を通して古巣に戻った小牧さんを近くで見ていたのですが、心から仕事を楽しんでいることが伝わってきて、僕も頑張ろうと思えたし、何よりすごくうれしかったです。「仕事を楽しむ」というのはすごく難しいことですが、僕の目に映った小牧さんは本当に楽しそうでした。

 そんな姿を見て、「やっぱりJRA時代の最後のほうは、ちょっともがいていたのかな」と今さらながら思い出したりもしますが、当時から小牧さんはどんなときでも行動あるのみで、決して立ち止まることなく、できることはすべて実行してきた方。

 だからこそ、園田に戻るというアイデアも閃いたんでしょうし、こうして実際に道を切り開き、今では兵庫リーディングで堂々の1位ですからね。本当にすごい。この状況を作ったのは、小牧さんの“人としての強さ”なんだろうなぁとしみじみ思っているところです。

 移籍したばかりの頃は、「リーディングを目指すつもりはない」とおっしゃっていましたが、ここまできたら、今年はぜひ狙ってほしいです。絶対に獲ってほしい! そうすれば、「60歳で引退」という考えも変わるのでは…と、ちょっと期待しています(笑)。

 一緒に乗りたいのはもちろんですが、心から楽しんで競馬に乗っている小牧さんをまだまだ見続けていたい。だから、辞める辞める詐欺、大歓迎です!




小牧 川須やな(笑)。

──はい。こうしてときどきJRAのジョッキーからメッセージをいただいて、この場でエールの交換をしていただくのはどうかなぁと。その第一弾が川須栄彦騎手です。川須騎手に限らず、小牧さんの活躍を遠くから応援している方がとても多い。彼らが今の小牧さんをどんなふうに見ているのか、また、彼らからの言葉を受けて、小牧さんが何を感じるのか。そういった心のやり取りをご紹介していければと思いまして。

小牧 「励みになっています」という言葉が一番うれしいねぇ。そう思ってもらえる存在になりたくて頑張っているから。だからこそ、恥ずかしい競馬、だらしのない競馬はできんなといつも思っているし、結果を出していかなアカンなと思って乗っている。僕にとって、そう言ってもらえるのが一番のモチベーションやね。

──同郷の四位(洋文調教師)さんも、毎週小牧さんの活躍をチェックされているそうですよ。「なんかうれしいよね」とおっしゃっていました。

小牧 それはうれしいねぇ。(武)豊くんもね、すごく気に掛けてくれている。先週の土曜日は、障害の重賞(京都ハイジャンプ)があったから、京都競馬場まで加矢太の応援に行っていたんだけどね、調教師さんたちが「リーディングですね」とか話しかけてきてくれて。みんなよう見てくれてるんやなぁと思って、改めて頑張らなと思えたわ。

──川須騎手といえば、先のかしわ記念をシャマルで連覇。ずーっと近くで見てきた後輩ですが、小牧さんの目に今の川須騎手はどう映っていますか?

太論

▲小牧騎手と一緒に騎乗した黒船賞では優勝した川須騎手(撮影:稲葉訓也)



小牧 シャマルという相棒がいるのはいいことやね。そこから広げていってほしいなと思うけど、普段のレースで勝ち負けの馬にはなかなか乗せてもらえへん。10番人気以下の馬で結果を出せと言われても、なかなか難しいものがあるからねぇ。だから、僕が60歳で引退して調教師になったらね、「園田にくれば?」って冗談半分で言うてんねん。「それも選択肢のひとつやし、俺がリーディングを獲らせてやるから」って。彼はなんせ腕がいいからね、トップを目指せる可能性は十分にある。

──ただ、川須騎手からのメッセージを見てもわかる通り、小牧さんにはまだまだ乗り続けてほしいという気持ちが強いみたいですよ。

小牧 いやぁ、それは無理やね(苦笑)。いいときに辞めたいし。

──あともうひとつ、今年は絶対にリーディングを獲ってほしいと。

小牧 まぁここまできたらね。ダメ元で一生懸命乗って行きたいと思ってます。

──そういえば、以前は中央所属で現在は園田所属のガンバルフトシが2連勝していて。主戦は小牧さんではなく永井孝典騎手ですが、netkeibaの掲示板には、「小牧さん乗らないの?」というコメントがちらほら。

小牧 乗ろうかなぁって考えていたんやけど、結果を出しているのは永井くんやからね。

──小牧さんは別の馬に乗ってガンバルフトシの2連勝を間近で見たわけですが、やはり小牧さんが乗っていた当時と変わってきたところがありますか?

小牧 いやぁ、あんな脚を使えるんやなと思って。けっこう強いねん(笑)。スピードに長けたタイプではないはずなんやけど、1200mが合ったんかな。

──5月6日の初勝利の際は、小牧さんの内からシューッと上がっていきましたからね。

小牧 そうそう。馬もだいぶしっかりしてきたんちゃうかな。ガンバルフトシの初勝利も2勝目も僕は4着だったんやけど、あの馬が勝ったことがうれしくてね。一緒に写真を撮りたくて、記念撮影に入れてもらいました(笑)。

──小牧さん、主役のような立ち位置に(笑)。

小牧 なかなかいないよね。自分の勝負服を着て、ほかのジョッキーが勝った馬の写真に収まるなんて(笑)。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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