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英国でG1優勝馬から禁止薬物発覚

  • 2006年08月08日(火) 23時50分
 6月23日のロイヤルアスコット4日目に行われた3歳牝馬による距離1マイルのG1コロネーションSを制したナニーナ(父メディシアン)から、レース後のテストで禁止薬物が検出され、優勝取り消しとなる公算が濃厚となっている。検出された薬物が何であるか、まだ正式な発表はないが、検体は現在2度めの分析にかけられているところで、ここでも1回めと同様の結果が出れば、ナニーナは失格となり、1着賞金の15万ポンドは没収。管理するジョン・ゴスデン調教師には、何らかのペナルティーが課せられることになる模様だ。

 ナニーナは、ニューマーケットの大手牧場チーヴァリーパーク・スタッドによるオーナーブリーディング・ホース。2歳9月にG1フィリーズマイルを制して、この世代のトップホースとしての地位を確立。今季緒戦の英1000ギニーは道悪に泣き大敗したが、続くコロネーションSを快勝してその実力を改めて証明した。

 管理するジョン・ゴスデン調教師によると、薬物発覚はまさしく「寝耳に水」の出来事で、原因については「何の心当たりもない」とのこと。コロネーションSの後、ナニーナは7月12日にニューマーケットで行われたG1ファルマスSに出走してラジームの2着となっているが、ゴスデン師によると、ファルマスSの前も、飼い葉や飲み水、獣医による診療行為など、すべてコロネーションSの前と同様のことが行われており、その結果としてファルマスS後のテストでは何も問題が見つからなかったことから、なぜコロネーションS後の検体から薬物が見つかったのか、「ミステリーとしか言いようがない」とコメントしている。

 一方でゴスデン師は、昨年8月にも、ノッティンガムの条件戦を勝ったミスティカルランドという管理馬から、禁止薬物のフェニルブタゾーンとオキシフェンブタゾーンが検出され、馬が失格になった上に、ゴスデン師自身も700ポンドの罰金を課せられた過去がある。この事件以降、ゴスデン厩舎の管理馬は全てHRAの監視下に置かれており、そうした状況下で起った今回の禁止薬物発覚だけに、事態は深刻なのだ。

 ゴスデン調教師自身は、業界でも人格者として知られており、意図的な不正があったとは、誰も考えていない。しかし、ゴスデン厩舎における管理プログラムのどこかに不備がある事はどうやら間違い無さそうで、1日も早い原因究明が待たれるところである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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