
▲フランスギャロの日本馬優遇策を解説(撮影:高橋正和)
今年も凱旋門賞(10月5日、パリロンシャン=G1・芝2400m)に向けた日本馬の動きが本格化してきた。6月1日の日本ダービーを制したクロワデュノール(牡3、栗東・斉藤崇厩舎)の関係者は同月27日、主戦の北村友一騎手とのコンビを継続したまま参戦することを表明。前哨戦としては3週前に、同じパリロンシャンで行われる2000mのG3、プランスドランジュ賞を選んだ。同レースは昨年まで3歳限定戦だったが、今年から古馬混合となる。

▲今年はダービー馬クロワデュノールも参戦を表明(撮影:下野雄規)
また、天皇賞(春)で勝ったヘデントールにアタマ差の2着だったビザンチンドリーム(牡4、同・坂口智康厩舎)の関係者も参戦を表明済みで騎手は調整中。シンエンペラー(牡4、同・矢作芳人厩舎)も12着だった前年に続く、2年連続の参戦が決まった。ビザンチンドリームは9月7日のフォワ賞(パリロンシャン、G2・芝2400m)から、シンエンペラーは9月13日のアイリッシュチャンピオンステークス(レパーズタウン、G1・芝2000m)を前哨戦に参戦する日程が有力視されている。
日本の関係者に「刺さる」異例の3施策
今回の日本馬の挑戦が、例年にも増して注目を集めるのは、レースの施行者であるフランスギャロ(FG)が、日本馬に対する3項目の優遇策を打ち出したからだ。3項目は4月25日に既に発表済みだが、形式からして異例だった。来日していたFGのアンリ・プレCOO(最高執行責任者)が東京・新橋のJRA本部で記者説明会を招集して明らかにした。プレCOOを始めとする関係者は、説明会に先立って調教師や馬主、大手生産者と接触し、新たな優遇策に関する説明と意見交換をしていた。発表に至る過程からして、FGがいかに日本を重視しているかがうかがえた。
席上、発表されたのは1.最大2頭の日本馬に対する輸送費補助 2.フォルスストレート部分の排水改善 3.前哨戦の1週前倒し──の3点。どれも日本の関係者に「刺さる」内容と言える。補助対象馬の選定は、当該年の宝塚記念終了時までのレーティング(RT)を基に行う。また、後に明らかになったが、フランス国内で行われる前哨戦への出走の可否によって満額か一部補助かが決まるという。現時点で、北米など日本以外の遠隔地からの凱旋門賞参戦は想定しにくいとは言え、補助の対象は日本馬のみ。英国やアイルランドなど欧州域内からの輸送の負担はさほど大きくないが、「公平性」という観点からの問題提起は十分に可能で、異例なのは間違いない。
近年、日本馬が実績をあげている海外レース