
▲渋田康弘調教助手(左)と荒木裕樹彦調教助手(右)。フォーエバーヤングを支える2人の対談(撮影:大恵陽子)
今年のサウジカップでは、先に抜け出したロマンチックウォリアーを差し返し、劇的な勝利を挙げたフォーエバーヤング。いよいよ10月1日(水)、船橋・日本テレビ盃で秋の始動戦を迎え、その後はブリーダーズカップを目指します。
秋の大舞台を前に、netkeibaでは「エバヤンの新学期」と題した大特集をお届け。エバヤンの最大の理解者であり、日々のケアを担う渋田康弘調教助手と、調教で跨りコンディションを整える荒木裕樹彦調教助手による対談をはじめ、「エバヤンの父と母」の近況取材、さらにここでしか見られない「エバヤンアルバム」まで盛りだくさんの内容です。
初回は渋田助手と荒木助手の対談。前編では、二人が「記憶が飛んだ」と語る白熱のサウジカップや、移動直後から「今週、競馬でも使える」と感じるほど状態が上がっていたドバイワールドカップについて、現場ならではの視点で振り返ります。
(取材・構成:大恵陽子)
「20億円稼いで帰ってきます」出国前の約束
──昨年末、東京大賞典を勝った後は在厩調整で2月にサウジへと飛び立ちました。
渋田 レース間隔から、放牧に出せても1カ月以内。荒木くんも含めて矢作調教師と僕とで色々と話をして「馬の気持ちが変わるよりも、トレセンで」ということで在厩調整になりました。僕としては、ヤングと一緒に年を越せることがもう嬉しくって。
──やっぱりそこは特別ですか?
渋田 特別ですね。本音を言えば、在厩を希望した理由はそこだけというくらい(笑)。1月1日を一緒に迎えられるなんて、夢みたいな時間だなと思いました。
──溺愛ぶりが伝わってきます。サウジ遠征に向けての出国検疫はどんな雰囲気でしたか?
渋田 落ち着いていました。僕たちは環境の変化を一番心配していて、この時は朝イチで他の馬がまだ検疫厩舎に来ていない時に連れて行ったので、イレ込むかなと思ったんですけど、あの場所を気に入っちゃって。検疫厩舎に入った瞬間、ルンルンになっていました。
荒木 検疫の施設がいいんですよね。運動場も落ち着いて運動できる環境になっています。日本では状態がすごく上昇していくのを感じました。無事に輸送をクリアすれば大丈夫だろうし、そうであってほしいと思っていました。
渋田「20億円稼いで帰ってきます」って言ったよね。
荒木 約束しましたね。サウジCとドバイワールドC、2つ勝ちましょうって。
渋田 最初は笑っていたんですけど、サウジCを勝った時に「これ、ホントの出来事なんだ!」と思いました。だから、ドバイで負けた時は倒れちゃいました。
荒木 僕もドバイで負けたのはキツかった。
「ロマンチックウォリアーの調教師の奥さんが4コーナーでワーッて」
──悲喜こもごものサウジCとドバイワールドCを詳しく振り返っていただきましょう。まずはサウジCから