今年のサウジカップでは、先に抜け出したロマンチックウォリアーを差し返し、劇的な勝利を挙げたフォーエバーヤング。いよいよ10月1日(水)、船橋・日本テレビ盃で秋の始動戦を迎え、その後はブリーダーズカップを目指します。
秋の大舞台を前に、netkeibaでは「エバヤンの新学期」と題した大特集をお届けします。第3回となる今回は、フォーエバーヤングの父・リアルスティールと母・フォエヴァーダーリングの近況を取材。両親の性格や強みを徹底調査し、エバヤンに受け継がれた“強さの源”を探ります──。
取材では、リアルスティールを繋養するブリーダーズ・スタリオン・ステーションの村尾主任と、フォエヴァーダーリングを繋養するノーザンファームの鏡厩舎長にお話を伺いました。
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(取材・構成:netkeiba編集部)
『リアルスティールの今』ブリーダーズSSインタビュー

▲リアルスティールの現在に迫る(撮影:高橋正和)
──リアルスティールの現在の近況についてお聞かせください。
村尾 種付けシーズンは6月いっぱいで終わり、現在はシーズンオフをゆったりと元気に過ごしています。
──シーズンオフの種牡馬は、1日をどのように過ごしているのでしょうか。
村尾 夏場は朝4時から8時くらいまで、4時間ほど放牧しています。北海道も暑いので、その他の時間は馬房でゆっくり過ごしています。
──ダート短距離から芝の中長距離まで、多彩な産駒たちがいますが、リアルスティールの種牡馬としての最も大きな魅力はどのような点にあるとお考えでしょうか。
村尾 リアルスティール自身と接していて感じるのは、オンとオフの切り替えが非常に上手です。闘争心をむき出しにするときもありますが、普段は冷静で穏やか、とても扱いやすい馬です。種付けに向かうときも、日常のちょっとした場面でも、“気性が激しい”という印象とは違う、“熱さ”を感じます。
──そうした性格は、レースでもプラスに働くと聞いたことがあります。
村尾 闘争心を常に出しっぱなしの馬は、力を温存できず、レースで本来の力を出し切れないこともあると思います。しかし、オンとオフをしっかり切り替えられる。これは種牡馬になった今のリアルスティールを見ていて感じることですけどね。
──産駒全体をご覧になって、リアルスティールが伝えている特徴にはどんなものがありますか。
村尾 やはりそういった気性面での良さから、レースでも自分のパフォーマンスをしっかり発揮できる馬は多いのかなと想像します。また、父自身が芝で活躍していたこともあり、産駒もキレ味があり、芝1800mから2400mで良いパフォーマンスを見せる産駒が多い印象です。

▲現役時代に芝1800mのドバイターフでG1制覇(撮影:高橋正和)
──特にフォーエバーヤングには、どんな資質が受け継がれていると感じますか。
村尾 私はフォーエバーヤングに接したことはないので一概にはいえないのですが、レースを見る限りでは、素晴らしい闘争心と勝負根性が受け継がれていると思います。サウジCでは、ロマンチックウォリアーとの激戦で「もうダメか…」と思う場面から、最後にもうひと伸びしていました。
ダートでの強さはもちろんですが