
▲意外と知らない海外遠征の裏側を徹底解説!(提供:荒木裕樹彦助手)
近年、世界各地のレースに日本馬が参戦し好成績を収めていることはご存じの通り。今でこそ当たり前となったこの風景ですが、その裏側には環境の違う地で馬たちを支える関係者の弛まぬ努力があります。
「輸送はどのようにしてる?」「スタッフのやりくりは?」「滞在中はどのような生活をしている?」など知っているようで意外と知らないその舞台裏。そこで、目前に控えたブリーダーズカップの“日本の総大将”フォーエバーヤングを擁する矢作厩舎の荒木裕樹彦調教助手に、貴重な写真の数々とともに徹底解説していただきました。「シンエンペラーはフランス出身だからなぁ(笑)」という驚きのエピソードも!
(取材・構成:松山崇)
知っているようで知らない空輸の話
──海外遠征は空輸になりますが、その飛行機に厩務員さんや助手さんも同乗するものなのでしょうか?
荒木 基本的にはついていきます。ただ、香港やドバイなど招待される日本馬が多いレースでは、その飛行機(貨物便)に乗れる人数には限りがあるので、空港で馬が貨物便に乗るところまで見届けて、人間は普通の旅客機で現地に行くことになります。その場合、馬が到着するときには間に合わないことがほとんどなので、厩舎の別の人間が先入りして出迎えるというパターンもありますね。この秋のブリーダーズCも渋田助手が成田でお見送りして、私がデルマー競馬場で到着を待つ予定です。

▲フォーエバーヤングの米遠征も渋田助手と荒木助手のタッグで臨む(撮影:高橋正和)
──担当者が同乗できなくても大丈夫なものなのでしょうか?
荒木 大手牧場やJRAの獣医さんが全ての馬を把握した上で同乗するケースもあります。また競走馬の空輸を多く手がけているIRTという会社があって、そこのスタッフさんがすごく優秀です。競走馬の輸送だけでなく、乗馬や繁殖牝馬もしくは1歳馬の空輸も全て手掛けていて、経験値が桁違いなので、安心してお任せできます。

▲熟練のスペシャリストのアテンドで安心(提供:荒木裕樹彦助手)
──競走馬を空輸する貨物機の中はどのようになっているのでしょうか?