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【天皇賞(秋)】3歳馬マスカレードボールが“秋の盾”を制す 中団から鋭い末脚で差しきりGI初制覇

  • 2025年11月03日(月) 18時00分

ルメール騎手は3週連続GI制覇


重賞レース回顧

天皇賞(秋)を制したマスカレードボール(撮影:下野雄規)


 武豊騎手のメイショウタバル(父ゴールドシップ)がレースの主導権を握ってレースを作るのは多くの人びとの予測通りだった。東京の2000mらしい平均ペースか、あるいは後続に道中で脚を使わせる厳しい流れを演出するのではないか、とも思えた。

 ところが、メイショウタバルの先手主張は予測とはまったく逆の超スローペースだった。ひょっとすると、多くのファンやライバルの展開(ペース)予想を逆手に取った武豊騎手の巧妙な作戦だったかもしれない。残り1ハロンでは、最初に並んできたホウオウビスケッツ(岩田康誠騎手)、さらには一旦先頭に立ったタスティエーラ(D.レーン騎手)を差し返すように先頭を譲らなかった。このペースだから止まっていない。翻弄されて前半かかったホウオウビスケッツは13着。コスモキュランダは12着に沈んでいる。

 メイショウタバルは、最後はまだ死角のある爆発力不足のため、差し込まれて6着に沈んだが、これまでの自身の最高上がり34秒0を大幅に更新する33秒1。勝ち馬と0秒2差の1分58秒8で乗り切った。完敗には違いないが、有馬記念など、これから挑戦するビッグレースを展望できそうなしたたかな内容だった。

 レースの前後半バランスは「62秒0-56秒6(レース上がり44秒4-32秒9(最後11秒1)」だった。着順を問わず、上がり32秒台を記録した馬が14着のソールオリエンスを含め計8頭。最後方から突っ込んだシランケド(父デクラレーションオブウォー)の上がりは新潟記念のそれを0秒7も上回る31秒7となった。

 中団の馬群の中で構え、まるでライバルの動きをすべて分かっていたかのように残り1ハロンで抜け出したのは、人気の3歳馬マスカレードボール(父ドゥラメンテ)。上がりは32秒3。最速ではなく3位タイ。それで完勝は、ペース判断、絶妙な位置取り、スパート時の鋭いタイミングの差だろう。これでC.ルメール騎手の天皇賞(秋)は[6-1-2-7]となった。この週の土日2間の成績[10-2-2-3]。さらに3週連続GI制覇。

 陣営は次走に「ジャパンC」を予定している。C.ルメール騎手はエリザベス女王杯では、前3戦「13、8、15」着のステレンボッシュに騎乗の予定がある。

 坂上から2着に突っ込んだ3歳馬ミュージアムマイル(父リオンディーズ)は、C.デムーロ騎手が道中ずっと勝ったマスカレードボールを射程に入れて追走。記録に残る上がり32秒3は同じ。決して詰めが甘いわけではないが、勝ち馬がスパートした瞬間にちょっと離されたのが痛い。使える鋭い爆発力の差か。だが、左回りにはまったく心配がなかった。マスカレードボールとはこの後も好勝負が続く絶好のライバルだ。

 3着ジャスティンパレス(父ディープインパクト)は6歳の秋ながら、少しも切れ味は鈍っていなかった。1着、2着馬がスパート態勢に入ったとき、こちらはたまたま前にカベがあってエンジン全開がやや遅れたのが残念だった。昨年、4着だった天皇賞(秋)、5着だった有馬記念当時と同じ活力をキープしている。

 馬群の外から猛然と突っ込んで、2着ミュージアムマイルに迫ったシランケドはいかにも残念な0秒2差の4着だった。最後方から直線だけのレースに徹したからこその切れ味に違いなく、もう少し早めにスパートできれば…、というものでもない。スローで楽な追走が味方したが、この1年間の地力強化は驚愕に値する。

 好位追走から一旦は勝ったと思わせたのは8着タスティエーラ(父サトノクラウン)。昨年2着の天皇賞(秋)と同じような馬体に映ったが、陣営も懸念していたように、絶好調には一歩か二歩、足りなかったか。今回のペースで、あの形になってゴール寸前で鈍る日本ダービー馬ではない。タフな一族でもある。2歳戦が早まり、全体的に早くに完成されるチャンピオンも珍しくない近年だが、まだ5歳馬。ぜひ巻き返して欲しい。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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