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シェイク・モハメドの米軍団、またも大爆発

  • 2006年08月29日(火) 23時59分
 ドバイのシェイク・モハメドにとって、8月最後の週末は最高の日々となった。アメリカ・ニューヨーク州のアップステート・サラトガから、矢継ぎ早に朗報が飛び込んできたのである。

 まず25日(金曜日)、UAEダービーの勝ち馬ディスクリートキャット(牡3歳、父フォレストリー)が、サラトガで行われた距離7Fのオプショナル・クレイミングに出走。シェイク・モハメドだけでなく、多くの競馬ファンが待ち望んでいた復帰戦で、ディスクリートキャットは11馬身差の圧勝を演じて、大向こうを唸らせたのである。

 UAEダービーで4着に負けたインヴァソールが、その後アメリカにわたって古馬GIを3連勝。ならばこの馬はいったいどこまで強いのかと言われていたディスクリートキャット。ここは5か月振りの実戦で、しかも古馬との対戦は初めてと、レース前には不安も囁かれていたが、こうした懸念を一蹴。今後は、10月1日にベルモントパークで行われる距離1マイルのG2ジェロームHを目標に調整されることになった。

 続いて、2つのG1が行われた翌26日(土曜日)。まず、アンダーカードとして行われた7FのG1キングズビショップSを制したのが、シェイク・モハメドの子息シェイク・ラシッドが率いるザビール・レーシングの所有馬ヘニーヒューズ(牡3歳、父ヘネシー)だった。仕上がりが遅れ、今季初出走は7月1日にモンマスパークで行われたG3ジャージーショアSとなったが、ここを10馬身差で圧勝。更にキングズビショップSも2着のスターダブラーに5.1/4馬身差をつける快勝で、昨年のBCジュヴェナイルで2着となった実力が本物であることを改めて証明して見せた。次走は、10月7日にベルモントで行われる6FのG1ヴォスバーグSになる予定だ。

 ちなみに、キングズビショップSにおけるヘニーヒューズの勝ちタイムは、1分21秒96という優秀なものだったが、実は前日、ディスクリートキャットは同じ競馬場の同じ距離を1分21秒53で駆け抜けていた。競馬は時計だけでは比較出来ないが、やっぱりどうもディスクリートキャットというのは、化け物クラスという評価で間違いなさそうである。

 さて、26日のサラトガのメインは、「ミッドサマーダービー」の異名をとるG1トラヴァーズS。ここを7.1/2馬身差で圧勝したのが、シェイク・モハメドの自家生産馬バーナーディーニ(牡3歳、父エーピーインディー)だった。ご存じ、この春のプリークネスSの勝ち馬バーナーディーニ。その後ひと息入れて、前走サラトガのG2ジムダンディーSで戦線に戻って、ここを9馬身差で圧勝。そしてトラヴァーズで2度目のG1制覇と、向かうところ敵無しの快進撃である。バーナーディーニの次走は、10月7日にベルモントパークで行われる10FのG1ジョッキークラブゴールドCの予定だ。

 シェイク・モハメドにとっての「ゴールデン・ウィークエンド」。仕上げは、翌27日(日曜日)に同じサラトガで行われた、牝馬による7FのG1バレリーナBCSだった。ここを制したのもダーレイ所有のドバイエスカペイド(牝4歳、父オウサムアゲイン)で、なんと土日の3つのG1を総ナメにしてしまったのである。ドバイエスカペイドのみ次走は未定だが、残る3頭、ディスクリートキャット、ヘニーヒューズ、バーナーディーニは、順調ならいずれも、10月のベルモントパークが次走の舞台となる。

 先週末のサラトガに姿を見せなかったシェイク・モハメドだが、よほど重要な国事と日程が重ならない限りは、10月にはニューヨークに渡ることになりそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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