
▲疋田真志厩務員がナムラクレアについて語ります(撮影:大恵陽子)
高松宮記念を最後に、ナムラクレアはターフを去ります。何度も大舞台に挑み、そのたびにファンの期待を背負いながら、第一線を走り続けてきた5年間でした。
あと一歩、あと少し──。GIの舞台では、そう思わせる瞬間も何度もありました。それでも彼女が残してきたものは、勝ち負けだけでは語れない、大切なものがあります。
今回は、時に耳を絞って怒る“ツンデレ”な素顔を誰よりも知る、担当の疋田真志厩務員に、愛してやまない相棒への思いと、苦楽を共にした5年間の歩みを振り返っていただきました。
(取材・文=大恵陽子)
netkeibaでは、特別企画「#ネトケでナムラクレア引退式」を公開中です。長谷川浩大調教師と、ライバル・メイケイエールを管理した武英智調教師によるスペシャル対談をはじめ、ご担当の疋田厩務員ご提供のオフショット写真展、引退記念グッズなど、ナムラクレアの軌跡をたどるさまざまなコンテンツをご用意しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
特設ページはこちら「どこかでGIを勝てたんじゃないかという思いも…」
偉いもので、7歳。僕が担当になったのは、デビュー前のゲート試験に受かって放牧から帰ってきた時からです。馬房の隅っこで怖がって、音がするとビクビクする可憐な乙女でした。今では考えられなくて、少々のわがままを許してしまった僕の躾が良くなかったのかもしれません。毎朝、僕が厩舎に来るたびに「お前、来たんか」っていう顔をしながら耳を絞ります。馬房は自分のテリトリーだと思っていて、休んでいる時は自分の時間を邪魔されて怒ります。でも、可愛い顔を時々見せてくれることもあって、人の心を弄ぶのが上手な女の子でした。

▲疋田厩務員が近づくと耳を伏せて怒り、道具を取りに少し離れると、疋田厩務員の方にピンと耳を立てて見つめていたナムラクレア。「ツンデレ」ですと疋田厩務員は話します。(撮影:大恵陽子)
小倉2歳Sを勝った後くらいから競馬を覚えてきたことで、カッカしやすくなってきました。神経質になってきて、レースでもちょっと引っ掛かるような感じで、