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晩成型の大物ゴーストライター

  • 2006年09月19日(火) 23時49分
ヤマノキングアロー(牡 美浦・的場均 父クロフネ、母シスターソノ)
 女傑ロジータ(南関東四冠馬)の孫にあたり、レギュラーメンバー(01年JBCクラシック-GI、01年川崎記念-GI、00年ダービーグランプリ-GI)の半弟にあたる良血。近親にはカネツフルーヴ(02年帝王賞-GI、03年川崎記念-GI)、イブキガバメント(02年鳴尾記念-GIII、02年朝日チャレンジC-GIII)、アクイレジア(04年ジャパンダートダービー-GI・2着)、オースミサンデー(97年弥生賞-GII・2着)など活躍馬が多数。父がクロフネなので本領を発揮するのはダートだろう。将来性十分。

ロッタ(牝 美浦・稗田研二 父ティンバーカントリー、母タイランツフェイム)
 マイネルアラバンサ(06年青葉賞-GII・2着、06年毎日杯・GIII・3着)の半妹。父はスペシャルウィークからティンバーカントリーに替わった。母の父がブレイヴェストローマンなのでダート向きだろう。母系にNever Bendを持つティンバー産駒は成功しており、ムガムチュウ(01年ダービーグランプリ-GI、00年北海道3歳優駿-GIII)、ヤマカツリリー(03年フィリーズレビュー-GII)などの活躍馬が出ている。力強い中距離血統で、高齢までタフに活躍しそう。

ワイルドキャット(牡 栗東・鶴留明雄 父マリエンバード、母スプリンターキャット)
 半姉にテンザンデザート(00年ファンタジーS-GIII・2着)、タガノラフレシア(アイビーS-OP)がいる。スピードと仕上がりの早さに関してハイレベルな資質を伝える一族なので、父マリエンバードがズブい中長距離血統であることを差し引いても、早い段階から走ってきそう。1600〜1800mあたりが適距離だろう。母の父がStorm Catで、父方にNijinskyを持つという配合パターンは、現在2戦2勝のオースミダイドウ(野路菊S)と同じ。Storm Catの父Storm BirdとNijinskyは近似血脈で、両者を併せ持つと効果がある。

ゴーストライター(牡 栗東・橋口弘次郎 父マンハッタンカフェ、母ユーザーヒストリー)
 父マンハッタンカフェは新種牡馬。いまのところ5頭が勝ち上がっている。晩成型と見られていただけに、秋競馬の序盤でこれだけ走るのは嬉しい誤算だろう。5頭のうち3頭は芝1800〜2000mで勝っており、中長距離タイプという評価は間違いない。母ユーザーヒストリーはJRAで3勝。父Mr.Prospector、母User Friendly(英オークス、愛オークス、英セントレジャー)という超良血で、2000m以上を得意とした。前述のとおり、マンハッタンカフェ産駒は意外に早い時期から動けるという傾向が見られるので、本馬も2歳戦から活躍できないわけではないだろうが、本質的には成長の遅いステイヤータイプで、おそらく3歳夏を過ぎてから本格化するだろう。ドイツの名牝Suleika 4×5は素晴らしい。

ダノンオーガスタ(牡 栗東・音無秀孝 父Green Desert、母Alexander Three D)
 母Alexander Three Dはイギリスで14ハロン132ヤードのパークヒルS(G3)を勝ったステイヤー。その半姉Golden ApplesはイエローリボンS(G1)、ビヴァリーD.S(G1)など北米で3つのG1を制した名牝。母系の質はきわめて高い。父Green DesertはDanzig系のスピード血統で、日本ではシンコウフォレスト(98年高松宮記念-GI)、メジロダーリング(01年アイビスサマーダッシュ-GIII、函館スプリントS-GIII)の父として知られている。芝でもダートでも、晴れても降っても安定したスピードを発揮するのが長所。本馬はおそらく芝向きのマイラーだろう。母がスタミナタイプなので2000m以下ならこなせるはず。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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