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2億8000万円の快速馬フサイチレオン

  • 2006年10月17日(火) 23時49分
ダノンデインヒル(牡 美浦・藤沢和雄 父デインヒル、母Dalawara)
 母はアガ・カーン四世殿下の生産馬で、Darara(86年ヴェルメイユ賞-G1)の全妹、Darshaan(84年仏ダービー-G1)の半妹にあたる超良血。これに名種牡馬デインヒルを交配して生まれた本馬は、仮にヨーロッパで走っても血統的な注目を集めていただろう。スピード、スタミナともに備わった芝の万能型。アガ・カーン四世殿下の命名法は、ドイツ式に牝系の頭文字を代々受け継がせるというもの。Dラインの牝系から生まれた本馬は、たまたま「ダノン」の冠号を持つ馬主(株式会社ダノックス)に購買されたため、Dラインの命名が継続された。偶然とはいえ珍しい。

ニシノオトコギ(牡 美浦・杉浦宏昭 父タイキシャトル、母デユプリシト)
 半姉にニシノフラワー(92年桜花賞-GI、91年阪神3歳牝馬S-GI、92年スプリンターズS-GI)、ニシノタカラヅカ(05年ファンタジーS-GIII・3着)がいる良血。父がタイキシャトルなので軽快なスピードタイプだろう。この牝系はクズを出さないことで有名で、JRAで走った13頭のうち11頭が勝ち上がっている。仕上がりは早く、2歳戦から確実に走ってくるだろう。

ピサノデイラニ(牡 美浦・藤沢和雄 父Fusaichi Pegasus、母Tee Kay)
 有馬記念(GI)と天皇賞・秋(GI)を2連覇して2年連続JRA年度代表馬に輝いたシンボリクリスエスの半弟。父はKris S.からFusaichi Pegasusに替わった。Fusaichi Pegasus産駒はMr.Prospector系にしてはスタミナがあるものの、兄のような底力を重賞クラスで発揮できるかどうかは未知数。ダートなら1800mがベスト。

シーレイダース(牡 美浦・藤沢和雄 父Sadler's Wells、母La Pepite)
 2代母Fanfrelucheは牝馬ながらカナダの年度代表馬に輝き、米3歳牝馬チャンピオンにも選出された女傑。母La Pepiteの兄弟には、L'Enjoleur(カナダ年度代表馬2回)、La Voyageuse(カナダ3歳牝馬チャンピオン)、Medaille d'Or(カナダ2歳チャンピオン)など多数の活躍馬がいる。本馬はSadler's Wellsが父。藤沢和雄厩舎のSadler's Wells産駒はミレニアムウイングが重賞に出走した程度であまり走っているとはいえないが、夢を抱かせる血統背景であることは確か。

ジョウノパンジー(牝 美浦・古賀慎明 父タイキシャトル、母ジョウノマチエール)
 半兄ウインラディウスは京王杯スプリングC(GII)をレコード勝ちしたほか、東京新聞杯(GIII)、富士S(GIII)を快勝している。サンデーサイレンスからタイキシャトルに父が替わった本馬は、Nijinsky 4×3のインブリードを持っている。これはタイキシャトル産駒のニックスのひとつで、このパターンからウイングレットやゴールデンキャストといった活躍馬が出ている。芝向きのマイラー。

ヒシクリッパー(牝 美浦・中野隆良 父ジャングルポケット、母ヒシバラード)
 母ヒシバラードは未出走馬だが、女傑ヒシアマゾン(94年エリザベス女王杯-GI、93年阪神3歳牝馬S-GI)の娘という良血。父ジャングルポケットは今年の新種牡馬で、同じく今年から産駒を送り出しているアドマイヤコジーン、マンハッタンカフェ、タニノギムレットなどに比べると出遅れ感があったが、先々週フサイチホウオーという大物をデビューさせ、追撃態勢に入った。本馬は底力あふれる本格配合でオークス向き。

フォーミュラーワン(牡 美浦・相沢郁 父フォーティナイナー、母イサミサクラ)
 母イサミサクラは函館スプリントS(GIII)3着馬。全兄イサミペガサスは2歳夏に小倉で新馬、フェニックス賞を連勝した快速馬で、フェニックス賞では後にファルコンS(GIII)で2着となるホーマンアピールを破ってレコード勝ちを収めた。本馬も高いスピード能力を備えていると思われる。芝・ダート双方に対応可能で、仕上がりも早い。

フサイチレオン(牡 栗東・山内研二 父Gone West、母シアトルサンセット)
 セレクトセールで2億8000万円で落札された超高馬。2代母Weekend in Seattleは米年度代表馬にして名種牡馬の誉れ高いA.P.Indyの全妹。「Gone West×Belong to Me」という仕上がり早のスピード血統で、若駒の仕上げに定評のある山内研二厩舎であることを加味すると、新馬戦で勝ち負けになる公算大。NHKマイルC(GI)を狙う路線でかなりの活躍が期待できそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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