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偉大な兄姉に続けウィンナワルツ

  • 2006年11月14日(火) 23時48分
ウィンナワルツ(牝 栗東・森秀行 父アグネスタキオン、母ダンシングキイ)
 大繁殖牝馬ダンシングキイが遺した最後の子。兄姉にはダンスパートナー(95年オークス-GI、96年エリザベス女王杯-GI)、ダンスインザダーク(96年菊花賞-GI)、ダンスインザムード(04年桜花賞-GI、06年ヴィクトリアマイル-GI)などがいる。本馬の父はアグネスタキオンなので、兄姉(父サンデーサイレンス)とは「4分の3同血」の関係。アグネスタキオンは重厚なヨーロッパ血統や日本在来の血統が母系に入ることで産駒に大物感を付与する種牡馬で、スタミナと底力の塊ともいえるRibot系とは相性がいい。Graustarkが入る本馬は条件を満たしている。大物感十分。

オレニツイテコイ(牡 美浦・加藤征弘 父Johannesburg、母Refine)
 母Refineはアルゼンチンで生まれ、同国で2歳時に芝1000mのスプリントG1を制している。父Johannesburgは欧米双方の2歳牡馬チャンピオン(カルティエ賞とエクリプス賞)に選出された早熟の名馬で、芝・ダートを問わない。今年の2歳が初年度産駒。アメリカではすでにScat DaddyがシャンペンS(米G1)とサンフォードS(米G2)を勝って幸先のいいスタートを切った。父母両系から仕上がり早のスピードを受け継いでおり、2歳から3歳春にかけて大活躍する血統。初戦から注目したい。

グラシアス(牝 栗東・音無秀孝 父フサイチコンコルド、母ブリリアントベリー)
 カンパニー(06年大阪杯-GII、05年京阪杯-GIII)、レニングラード(04年アルゼンチン共和国杯-GII)、ニューベリー(06年京都金杯-GIII・2着)の半妹にあたる良血。父はフサイチコンコルドに替わった。全兄リアルコンコルドは青葉賞(GII)8着という成績がある。母の能力が傑出しているので、一定以上の成績を収めることは間違いないだろう。芝の中距離馬で、マイルにも2400mにも対応できる。

グランマモーゼス(牝 美浦・畠山吉宏 父ホワイトマズル、母ブルーリッジリバー)
 母ブルーリッジリバーは桜花賞(GI)2着馬。あまりレベルの高い年ではなく、その後の成績も振るわなかったが、良血馬らしくここ一番で底力を発揮した。スカーレットインクにさかのぼるこの一族は社台の看板牝系のひとつで、ダイワメジャー(04年皐月賞-GI、06年天皇賞・秋-GI)が代表馬。本馬の父ホワイトマズルは自身の個性を主張するというより母系の特徴を引き出すタイプなので、母系の良血を素直に表現した馬になると思われる。

シルキーメイン(牝 美浦・柴田政人 父Barathea、母Ode)
 母Odeはフランスで走り、エヴリ大賞典(G2)とコリーダ賞(G3)を制覇したほか、来日してジャパンC(GI)に挑み、Better Loosen Upの2着と健闘した名牝。繁殖牝馬としては目立った成績を残していない。本馬の父は愛2000ギニー馬Barathea。Odeの産駒のなかで過去いちばんデキが良かったOtaitiという馬はSadler's Wells産駒だが、本馬はSadler's Wellsの孫なので、両馬は「4分の3姉妹」の関係にある。その点に期待してみたい。芝向きの中距離馬だろう。

トーワシャトル(牡 栗東・佐山優 父タイキシャトル、母トーワダーリン)
 母トーワダーリンは重賞勝ちこそないものの、安田記念(GI)で2着となった活躍馬。これまでの産駒は、トーワトレンディー(3勝)やトーワユメジ(3勝)など、そこそこ走るけれど1000万止まり、という馬が目につく。本馬の父はタイキシャトルなのでスピード面の心配はない。父が軽いスピードタイプなので母系にあるチャイナロックは好感が持てる。この配合パターンからはテイエムリキサン(重賞2着2回)が出ている。芝向きのマイラー。

ルアシェイア(牝 栗東・浜田光正 父フジキセキ、母ファレノプシス)
 母ファレノプシスは四冠馬ナリタブライアンとほとんど血統構成が同じという良血馬で、桜花賞(GI)、秋華賞(GI)、エリザベス女王杯(GI)を勝った。ただ、残念ながらこれまでの繁殖成績は芳しくなく、デビューした2頭は現時点で9戦1勝と6戦未勝利。父はいずれもサンデーサイレンスだった。本馬の父はフジキセキ。芝・ダート兼用のマイラーだろう。

アルティマトゥーレ(牝 栗東・森秀行 父フジキセキ、母エアトゥーレ)
 母エアトゥーレは阪神牝馬S(GII)を勝ち、フランス遠征ではモーリスドギース賞(仏G1)で2着と健闘した活躍馬。2代母スキーパラダイスはムーランドロンシャン賞(仏G1)、京王杯SC(GII)の勝ち馬。申し分のない良血馬だ。「フジキセキ×トニービン」という組み合わせはドリームパスポート(06年神戸新聞杯-GII、06年きさらぎ賞-GIII)と同じ。1600〜2000mを得意とする芝馬だろう。注目したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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