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BCの更なる拡大構想

  • 2007年01月30日(火) 23時50分
 モンマスパークで行われる今年の開催から、従来の1日開催を2日開催とし、レース数も8から11に増大されることが発表されたばかりのブリーダーズCが、更なる拡大へ向けて具体的作業に入っていることが明らかになった。

 ドバイで行われていたアジア競馬会議に出席中のブリーダーズC社最高経営責任者グレッグ・アヴィオリ氏が、1月25日に行ったスピーチで明らかにしたもので、構想通りに進めば、ブリーダーズCは2010年の開催までに、レース数16、賞金総額3000万ドル(約36億円)という、途轍もないビッグイベントになるという。

 ブリーダーズCがスタートした1984年、レース数は7つで、総賞金は1000万ドルだった。これでも当時としては超ビッグマネーで、発表された時は世界の競馬サークルをおおいに驚かせたものだったが、その後ドバイのワールドCデーが、アンダーカードを充実させ、更にレース1つ1つの賞金も増額。この間、BCの方もフィリー&メアターフの新設(99年)があったものの、ブリーダーズCクラシックは世界最高賞金レースの座をドバイワールドCに奪われ、イベントトータルの総賞金でもドバイWC開催がBC開催を上回って、「世界一の競馬のイベント」としての地位は近年、完全にドバイのものとなっていたのであった。

 ところが今年に入って、BCがイベントの拡大を発表。新たにBCダートマイル、BCフィリー&メアスプリント、BCジュヴェナイルターフという3つの100万ドルレースを創設することで、イベントトータルの総賞金が2300万ドルとなり、07年は2100万ドルで行われるドバイWC開催を抜いて、「世界最高賞金開催」の称号を奪還したのであった。

 さてそれでは、08年はどうなるか。おそらく、今度はドバイWCの主催者が開催を2日間に拡大してレース数を増やし、再び世界最高賞金開催の座を奪いにくることは必至というのが、業界内の大方の人間が見るところであった。すなわち、これを見越したBCサイドが、ライバルの機先を制する目的で、更なるイベント拡大構想をぶち上げたのだ。しかも、ドバイWC開催のまさにお膝元で行われた国際会議で発表したあたりに、BC側の露骨な敵対意識が垣間見えたと言えよう。

 2010年までに創設される新たな5競走について、具体的な言及はなかったものの、1つは間違いなく芝のスプリント戦になる模様だ。残る4競走については現在調整中とのことだが、現在BCで行われていないカテゴリーとしては、芝やダートの長距離戦、芝の2000m戦、牝馬限定のマイル戦、2歳限定のスプリント戦、2歳牝馬限定の芝のレースぐらいしかなく、このいずれかになることは間違いなさそうだ。

 さて、こうなると俄然興味深いのが、BC側の挑発的発表を受けて、ドバイWC開催側がどんな手に出てくるかだ。負けず嫌いのシェイク・モハメドのことである。08年は、ドバイWC1レースで総賞金1000万ドルとか、アンダーカードを含めて総賞金5000万ドルとか、とんでもない数字を出してくる可能性も考えられそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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