今季の2歳トレーニングセール・サーキットの開幕戦となる「OBSセレクト2歳セール」が、2月13日にフロリダ州オカラで開催された。
市況は、総売り上げが前年比1.0%ダウンの1283万ドル、平均価格が前年比4.1%ダウンの13万3656ドル、中間価格が前年比9.1%ダウンの11万ドル。平均価格はこれで4年連続で13万ドル台だから、マーケットとしては安定していると言えそうだが、一方で、総売上げはピーク時の99年に比べると20%以上の下落になるし、中間価格もピークだった05年に比べると17%ダウン。更に最高値が55万ドルというのも、ここ5年ではもっとも低い数字だったから、決して好況だったとは言い難い市場だった。昨年32.6%だったバイバックが今年は29.9%に下がった点は評価出来るが、相変わらず欠場馬が多く、カタログに記載された192頭のうち新たな馬主を見つけることが出来た馬は、半分の96頭しかいなかったというのは、かなり不健康な部類に入るマーケットだったと言えそうだ。
55万ドルの最高価格で購買されたのは、上場番号42番の父スモークグラッケンの牡馬。G2デモワゼルSを含めて重賞5勝しているのに加え、G1スピナウェイS・2着等の成績があるスモークンフローリックの全弟という、血統的評価は今年のOBSカタログの中でもトップ5にランクされる上場馬であった。
追いきりは、1回めが2F22.2秒で、2回めは馬場入りなし。1回めの公開調教では、2F21秒フラットをマークした馬が3頭いたから、時計的にはそれほど目立つものではなかったが、獣医検査は良好で、ある程度は高くなることが折り込みずみの1頭だった。
購買したのは、シェイク・モハメドのダーレー・ステーブル。ダーレーは現在、アメリカにおける現役馬に、同じスモークグラッケンを父にもつアフラッシュトというステークス勝ち馬がいて、モハメド殿下はカタログを見た時から、上場番号42番にはかなり御執心だったそうだ。
さて、例年2、3頭はこの市場で購買していた日本人が、今年はどんな仕入れを行ったのか。POGフリークにとっては気になるところだが、現在のところ日本人による購買と確認された馬は、なんとゼロ。昨年あたりから一時期の「マル外離れ」から脱却し、日本人による外国産馬購買頭数は再び上昇傾向にあっただけに、いささか意外な結果であった。
この後、3月6日には同じフロリダで「ファシグティプトン・コールダー」、3月20日にはカリフォルニアで「バレッツ・マーチ」と、主要な2歳セールが予定をされているが、果たして日本人はどう動くのか。マーケットが落ち着き、良質馬を正当な価格で入手できる状況が出来上がっているだけに、このまま様子見が続くのは勿体無い感じだ。ここ1、2年、日本人購買は北米から欧州にシフトしている傾向もあり、ここからの主要セールにおける日本人の動向には、海外の関係者からも注目が集まりそうである。