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タタソールズ・ブリーズアップセール展望

  • 2007年03月06日(火) 23時50分
 現在アメリカで進行中の、2歳トレーニングセールのワールドサーキット。その欧州ラウンドの目玉とも言うべき「タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール(4月18日・19日開催)」のカタログが完成した。

 213頭が上場予定だが、種牡馬のラインナップを見るだけでも、デインヒルダンサー、ガリレオ、グリーンデザート、メディシアン、モンジュー、ピヴォタル、サドラーズウェルズ、シングスピールといった欧州供用のトップサイヤーがずらりと並ぶだけでなく、ダンジグ、ダイナフォーマー、フサイチペガサス、ジャイアンツコウズウェイ、キングマンボ、シーキングザゴールド、ストームキャットといった北米供用のトップサイヤーたちの産駒も上場されており、過去最高と言っても過言ではない品揃えとなっていることが窺える。

 例えば、上場番号38番の父ジャイアンツコウズウェイの牡馬は、英オークス、愛ダービーを制した名牝バランチーンの弟だ。1歳時の仕入れ価格も25万ドル(約3000万円)と高く、本馬も相当の値段になることが予想される。

 上場番号54番の父キングマンボの牡馬は、母ザセヴンシーズがG1ビヴァリーディーSの2着馬。この馬も1歳時に20万ドル(約2400万円)という高値で仕入れられた馬だ。

 上場番号78番は、昨年の全米2歳牡馬チャンピオンのストリートセンスを輩出して、人気急上昇のストリートクライを父に持つ牡馬。そして母アンノコナーも、ラモナHなどG1に3勝している女傑である。

 上場番号134番の父ヨハネスブルグの牡馬は、叔母に昨年暮れの香港Cを勝ったプライド、いとこに昨年の1000ギニー勝ち馬スペシオーサがいるという、欧州でも最も活気ある牝系を背景としている。

 上場番号174番の父ロックオヴジブラルタルの牡馬は、仏1000ギニー勝ち馬ヴァレンタインワルツ、メイトロンS勝ち馬センスオヴスタイルと、姉に2頭のG1勝ち馬がいる。

 上場番号179番の父グリーンデザートの牡馬は、G1フィリーズマイル勝ち馬クリスタルミュージックをはじめ、4頭の重賞勝ち馬の弟にあたる馬だ。

 カタログには、日本になじみの血統の馬たちも何頭か混ざっている。

 例えば、上場番号7番の父イルーシヴクオリティの牡馬は、先日ドバイで行われた前哨戦で2着となって、UAEダービーの有力候補となったビクトリーテツニーの弟だ。ビクトリーテツニーの父はゴーンウェストで、本馬の父イルーシヴクオリティはゴーンウェストの直仔だから、血統的には3/4兄弟ということになる。

 上場番号26番の父デインヒルダンサーの牝馬は、祖母がG1チーヴァリーパークS勝ち馬エンブラだ。そのエンブラの娘がマイルCSなどに勝ったゼンノエルシドだから、本馬はゼンノエルシドの姪っ子にあたる。

 上場番号27番の父デインヒルダンサーの牡馬は、昨年の武蔵野S勝ち馬シーキングザベストの弟だ。母マッキーが北米における重賞2勝馬で、おじにケンタッキーダービー馬シーヒーローがいるという、良血馬である。

 上場番号80番の父ストラヴィンスキーの牡馬は、姉の子に、菊花賞馬で昨年のメルボルンCにも優勝したデルタブルースがいる。上場番号149番の父ストームキャットの牝馬は、祖母がチャンシースクワウだから、アグネスデジタル、シェルゲーム、ジャリスコライトといった活躍馬の姪にあたる馬だ。

 かつて2歳トレーニングセールはアメリカのものだったが、時代は完全に移り変わったようだ。ヨーロッパにおける2歳セールの牽引役となっているタタソールズ・ブリーズアップの今年の動向には、今まで以上に注意する必要がありそうだ。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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