スマートフォン版へ

バレッツマーチセール展望

  • 2007年03月13日(火) 23時50分
 90年代以降に世界規模で起った、サラブレッド2歳市場の拡大現象を牽引役を果たした「バレッツ・マーチセール」の今年の開催が3月20日(火曜日)に迫り、その1回目の公開調教が3月12日(月曜日)に、カリフォルニア州のフェアプレックスパーク競馬場で行われた。

 トラックコンディションが抜群だったようで、なんと1F=10秒を切る馬が3頭も出現。10秒フラットが11頭、2Fの最速時計が20.8秒という、超インフレの追い切りとなった。1F=9.8秒をマークした1頭目は、上場番号51番の父バーンスタインの牝馬。父は種付け料3万ドルの中級種牡馬で、牝系も大したものではないのに、キーンランド・セプテンバーでの仕入れ価格が20万ドルもしているから、個体は相当上質なものであると想像される。フィジカルな能力も極めて高そうで、現場で実物を見るのが楽しみである。

 2頭目は、上場番号60番の父ヨハネスブルグの牡馬。昨年のキーンランド・セプテンバーにおける仕入れ値が52万5千ドルと、今年のカタログに記載された200頭の中では2番目に元手のかかっている馬で、それが最速時計をマークしたのだから、これで文句なしの最高価格馬候補になったと言えそうだ。父は初年度産駒と現3歳世代から、スキャットダディー、トーフレスバーグなど、続々とケンタッキーダービー候補を輩出している期待の若手種牡馬だ。叔父にスプリントG1ヴォスバーグS勝ち馬ボナパウがいるという、牝系も優秀である。

 3頭目は、上場番号185番の父マリブムーンの牝馬。叔父に、G1だった頃のスーパーダービーやストゥルブSで2着となったキャンディーズゴールドがいるという牝系である。これも、ファシグティプトン・サラトガにおける仕入れ価格が15万ドルだから、牝馬にしてはかなりの素材と見てよさそうだ。

 2Fにおける最速時計となる20.8秒をマークしたのは、上場番号147番の父オフィサーの牡馬。これもキーンランド・セプテンバーにおける仕入れ値が19万ドルだった馬だから、今回好時計をマークした馬たちは軒並み、コンサイナーが高い期待を持って送り込んできた馬たちだったと言えそうだ。叔父にG3ホーソーンダービー勝ち馬マイナーウィズダムがいる牝系。父は今年の3歳が初年度産駒となる若手種牡馬である。

 血統的注目馬では、昨年のG1・CCAオークス勝ち馬ワンダーレディーアンエルの弟にあたる上場番号6番の父リーズタウンの牡馬が1F=10.4秒、G1フロリダダービーやG1ブルーグラスSの勝ち馬ハーランズホリデーの弟にあたる上場番号38番の父ストームキャットの牡馬が1F=10.8秒、母がG1ジョンAモリスH勝ち馬フィットトゥースカウトという上場番号75番の父エルコリドールの牡馬が1F=10.4秒、G1デルマーデビュータント勝ち馬ワイルドフィットの全弟にあたる上場番号81番の父ワイルドワンダーの牡馬が2F=22.2秒といった時計を出している。

 バレッツマーチセールはこの後、3月18日(日曜日)に2度めの公開調教が行われた後、3月20日(火曜日)にセールが開催される予定となっている。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング