2歳トレーニングセール・ブームの火付け役となった、「バレッツ2歳マーチ・トレーニングセール」の今年の開催が、3月20日にカリフォルニア州フェアプレックスパーク内にあるバレッツ・ハインズ・パビリオンで行われた。
市況は、総売上げが34.6%アップの1934万ドル、平均価格が前年比42.3%アップの21万9773ドル、中間価格が前年比84.3%アップの14万7500ドルと、主要な指標はいずれも前年を大きく上回る大盛況に終わった。
好成績の要因は、上場馬のレベルが高かったことに尽きると思う。カタログ上の血統だけ見ても、今年の水準はここ7〜8年で最高だったのに加えて、集まった馬の出来も充分にバイヤーの財布を緩ませるだけのレベルにあった。確かに、1F=10秒を切る馬が3頭、10秒フラットが11頭、2Fの最速時計が20.8秒というバカっ速い時計の出た1回目の追い切りは、馬場が相当に速い状態であったことは間違いないが、それでも、能力がなければいかに馬場が速くても、時計は出るものではないのである。
いずれにせよ、今年マークした数字は、このマーケットが隆盛を誇っていた90年代後半に匹敵するもので、西海岸に強い市場が戻ったことは、関係者にとっては心強い限りである。
最高価格は、1回目の公開調教で2Fに最速時計となる20.8秒をマークした、上場番号147番の父オフィサー・母ルヴィーウェイドの牡馬。馬体はバランスが良く、逞しい後駆から踏み込み良くトモ脚を繰り出す歩様が印象的な馬であった。ダーレーの代理人であるジョン・ファーガソン氏が、140万ドルで購買している。
一方、2週間前の「ファシグティプトン・コールダーセール」で,14年振りという低水準に終わった日本人購買馬は、ここバレッツでも極めて少ない数字にとどまった。市場における購買は5頭で、その後1頭キャンセルが出たとの情報があるので、日本向け購買は4頭。1990年にスタートしたバレッツ・マーチセール史上、最も少ない頭数となった。
購買無しに終わったOBSフェブラリー、前年に比べて半減となったFTコールダーに続いてのこの成績を見せられると、もはや「日本人の北米2歳セール離れ」は、厳然たる事実として認めざるを得ないようだ。ただし、日本に入ってくる予定の4頭は、いずれも追い切りで水準以上の時計を出した好素質馬たちである。POG的にも無視できない馬たちであると明言しておきたい。