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グランドナショナル展望

  • 2007年04月10日(火) 23時50分
 世界で最も有名な障害戦「グランドナショナル」の開催が今週の土曜日(4月14日・エイントリー競馬場)に迫ったが、本命不在の大混戦というのが下馬評である。ブックメーカーのオッズを見ても、どの社も概ねダンドワレとポイントバロウの2頭を横並びの1番人気にしているのだが、彼らのオッズで10倍から11倍。これを筆頭にして、各社10倍台のオッズに8頭から9頭が並んでいる状態なのである。

 ダンドワレは、6歳秋から本格化し、昨シーズン末にはチェルトナムのフェスティヴァル開催で、G3ウィリアムヒル・トロフィー・ハンディキャップ・チェイスに優勝。今季は当初からグランドナショナルに的を絞って調整され、前走3月17日にダウンロイヤルで行われた一般戦を勝って、ここへ臨んできた。昨年11月にエイントリーの準重賞を使われた時には、レース中盤で他馬と接触する不利があって完走出来なかったが、無事にレースを運べていたら必ずや好勝負をしていたであろうと思わせる行きっぷりであった。

 一方のポイントバロウは、昨シーズンの愛グランドナショナルの勝ち馬だ。今シーズン前半は不調だったが、年が開けて1月にレパーズタウンで行われた距離3マイルのハンディキャップチェイスを勝って復活。続くフェアリーハウスのG2ボビージョーチェイス・3着、前走3月24日にナーヴァンで行われたハンディキャップ・ハードル・3着と、良いリズムでエイントリーに乗り込んできた。

 人気でこれに続くのが、ナンバーシックスヴァルヴァード、ヘッジハンターという、昨年のこのレースの1・2着馬だ。

 ナンバーシックスヴァルヴァードは、前走今季3戦目のG2ボビージョーチェイス・4着と、ここへ来て昇り調子だ。だが、昨年は10ストーン8ポンド(67.1kg)だったのが、今年は11ストーン3ポンド(71.2kg)まで増量されたハンデを克服できるかどうかがカギ。

 ハンデがポイントになってくるのは、ヘッジハンターも同じだ。05年のこのレースの勝ち馬であることに加えて、06年にはチェルトナムGCでも2着になっているこの超実力馬の負担重量は、昨年同様の11ストーン12ポンド(75.3kg)。このハンデを克服して自身2度目の優勝を飾ることが出来れば、グランドナショナル史上でも有数の存在としてその名を刻むことになる。

 自他ともに認める障害界の第一人者でありながら、このレース未勝利のトニー・マッコイ騎手が、悲願の初優勝をかけて今年騎乗するのが、ラミだ。05年の1月以降、前走3月16日のチェルトナムGCまで、15戦にわたって落馬のない飛越巧者。しかも、走っているレースはほとんどが距離3マイルを超える重賞で、掲示板を外したのは7着に終わった前走のチェルトナムGCだけなのだから、そのタフネスぶりには驚かさせる。昨年のこの開催では、距離25FのG2ベットフェア・ボウル・チェイスに出て3着だったラミ。この馬とのコンビで、今年こそ遂にトニー・マッコイがグランド・ナショナルの栄冠を手にするのではないかと、私は見ているのだが。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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