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ダンジグ産駒、欧米で大活躍

  • 2007年05月15日(火) 23時50分
 今年の3歳世代で言うと、最もホットな種馬はダンジグだ。何を今さらと言われそうだが、北米でも欧州でも、活躍馬が目白押しなのだ。

 まず、5月5日にニューマーケットで行われた英2000ギニーでは、デビューから前走のLRジェベル賞まで無敗の4連勝を飾り2番人気に推されたユーエスレンジャーと、前年のG1デューハーストS・4着馬で3番人気に推されたハーテフが、ダンジグ産駒だった。2頭はいずれも、内外に大きく分かれた馬群の、勝ち馬とは違う方に組み込まれる不運があって好成績を残せなかったが、今後の愛2000ギニーやセントジェームスパレスSでの巻き返しが期待されている。

 同じ5月5日にチャーチルダウンズで行われたケンタッキーダービーには、ここまで6戦5勝の成績で来た産駒のハードスパンが出走。厳しいラップを刻みながら逃げ、ストリートセンスの2着に粘る健闘を見せた。今週末のプリークネスSでは、打倒ストリートセンスの一番手と目されている。

 そして5月13日にロンシャンで行われた仏2000ギニー。ここも、クールモアが送り出したアストロノーマーロイヤルと、ゴドルフィンが送り出したダイジーアと、ダンジグ産駒は2頭出し。このうち、前走今季緒戦のフォンテンブロー賞では着外に敗れて人気を落としていたアストロノーマーロイヤルが、直線一気の差し脚を繰り出して快勝。クラシック制覇を果たした。

 77年に生まれ、81年から種牡馬として繋養されたダンジグは、24シーズン目の種付けとなった04年春を最後に、種牡馬を引退(06年1月に死亡)。今年の2歳が最後の世代となる。今年の3歳世代を種付けした03年、ダンジグは26歳だったわけで、この年齢でこれだけ多彩な活躍馬を出すというのは、世界の競馬史を繙いても滅多にあることではない。実は、今年の5歳世代から、ミドルパークSやクイーンアンSを制したアドヴァロレム、ジャックルマロワ賞やムーラン賞を制したリブレッティストらを出した後、今年の4歳世代は目ぼしい活躍馬が出ず、ダンジグ時代の終焉が囁かれていただけに、3歳世代における逆襲には「さすがはダンジグ」と、関係者からも感嘆と称賛の声が挙がっているのである。

 ダンジグと言えば、繋養牧場だったクレイボーンの方針で、種付け頭数を制限していたことで知られている。人気種牡馬なら1シーズン200頭付けることも珍しくない中、ダンジグは年間種付け頭数が75頭を越えたことがない。そんな環境で、世界各国に100頭以上の重賞勝ち馬を送り出してきたダンジグ。当然のことながら、晩年は更に産駒数が少なく、今年の3歳世代で言えば、登録されているダンジグ産駒はわずか30頭しか居ないのだ。そこから、前述したような多くの活躍馬が出ているのだから、驚異としか言いようがないのだ。

 ちなみに、05年に生まれたダンジグ最終世代は27頭いる。どんな子が出現するか、これからの2歳戦が楽しみである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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