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GI級の超大物スパークキャンドル

  • 2007年06月05日(火) 23時46分
ヒシビスタ(牡 美浦・中野隆良 父ムーンバラッド、母ヒシバラード)
 父ムーンバラッドは今年の新種牡馬。現役時代は芝・ダートの双方で活躍し、芝ではG1タイトルに手が届かなかったものの、ダートのドバイワールドCを5馬身差で圧勝した。芝を得意とする産駒も、ダートを得意とする産駒も出すはず。いずれにしても母系にはスピードを入れたいところ。本馬は母の父がSaint Balladoなのでダート向きだろう。2代母が女傑ヒシアマゾンなので底力十分。

フォルテ(牡 栗東・田所秀孝 父アグネスタキオン、母ビューティーコンテスト)
 母ビューティーコンテストは「Singspiel×ラストタイクーン×Busted」という良質のステイヤー血統で、愛オークス馬Wemyss Bightの近親にあたる良血。アグネスタキオン産駒は仕上がりが早く、どの馬もコンスタントに走る一方、底力という点でやや物足りなさがあるので、母系に重厚なスタミナ血統を入れてこの弱点を補ったものが出世する傾向が見られる。本馬はそのパターンにあてはまっており期待できる。芝向きの中距離馬だろう。

ランチボックス(牡 栗東・浅見秀一 父シンボリクリスエス、母アローキャリー)
 母アローキャリーは13番人気で桜花賞(GI)を勝ったほか、阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)では9番人気で2着となった。コンスタントに走るわけではないが、大舞台では不思議な底力を発揮して上位に食い込む馬だった。半姉アロープラネット(父ブライアンズタイム)は新馬戦を勝ち、チューリップ賞(GIII)で4着に食い込んだ実力馬。父がシンボリクリスエスに替わった本馬は、牡馬だけに本格的な中距離タイプに育ちそう。底力があるので重賞戦線でも期待できる。

リアルヴィクトリー(牡 栗東・浅見秀一 父ダンスインザダーク、母スギノキューティー)
 母スギノキューティーは現役時代、フラワーC(GIII)を勝ったほか、ニュージーランドT4歳S(GII)とNHKマイルC(GI)でエルコンドルパサーの2、3着と、世代のトップクラスで活躍した好マイラーだった。産駒成績もまずまずで、プラチナローズ(福島2歳S-OP)とグローバルボンバー(4勝)を送り出している。本馬の父ダンスインザダークはMajestic Lightと相性がよく、この配合パターンからはこれまでにトーホウアラン(06年京都新聞杯-GII、06年中日新聞杯-GIII)、フェイトトリックス(準OP)などが誕生している。マイル前後のスピード競馬にも対応できる。

エーシングッチーフ(牡 栗東・藤原英昭 父Mr.Greeley、母Catalina)
 母Catalinaは北米で3勝。血統は素晴らしく、父Storm Catは北米ナンバーワン種牡馬、半兄Sir BeaufortはサンタアニタH(G1)、サンカルロスH(G2)などを制した。これにGone West系のMr.Greeleyを交配して誕生したのが本馬。父母両系から抜群の早熟性を受け継ぎ、2歳の早い時期からガンガン走ってくるだろう。芝で走れないことはないが、本領を発揮するのはダート。1200〜1400mあたりでは性能の違いを見せつける可能性大。

シャドウデイル(牡 栗東・藤岡健一 父アグネスワールド、母メローフルーツ)
 母メローフルーツは現役時代、札幌3歳S(GIII)を勝ち、フラワーC(GIII)で2着、桜花賞(GI)で4着となった活躍馬。父アグネスワールドも函館3歳S(GIII)、全日本3歳優駿(GII)を勝つなど早くから頭角を現し、古馬になってからフランスのアベイドロンシャン賞(G1)、イギリスのジュライC(G1)を制覇した。父母ともに2歳重賞を制している本馬は、スピード、仕上がりの早さとも申し分なく、2歳戦から走ってくるだろう。ローカル戦で注目。

スパークキャンドル(牡 美浦・藤沢和雄 父A.P.Indy、母Serena's Song)
 母Serena's Songは牝馬ながらケンタッキーダービー(G1)に挑戦したことでもわかるように、牝馬のなかではズバ抜けた実力を誇り、2歳時から4歳時にかけてG1を11勝した。無敵の誇った3歳時には西海岸から東海岸まで主要なG1を勝ちまくり、米最優秀3歳牝馬に選出された。繁殖成績も優秀で、Storm Catとの間に生まれたSophisticatはイギリスでコロネーションS(G1)を、その全弟Grand Rewardは北米でオークローンS(G2)を勝っている。これにSeattle Slew系の名種牡馬A.P.Indyを交配して誕生したのが本馬。文句なしに世界レベルの良血で、GI級に出世することはほぼ確実と思われる。デビューが待ち遠しい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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