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2歳戦向き好素材ワイルドパンチ

  • 2007年06月26日(火) 23時46分
アイアンシャドー(牡 美浦・萱野浩二 父Vindication、母Prospectress)
 母Prospectressは芝向きのステイヤー的資質を母系から受け継ぎ、Mr.Prospector系ながら芝12fの米G2を制覇した。その2番仔である本馬は新種牡馬Vindicationが父。Vindicationは2歳時に北米で4戦全勝。ブリーダーズCジュヴェナイル(G1)を含めてそのすべてが圧勝で、父Seattle Slewの再来と騒がれたが、故障のため3歳シーズンを迎える前に引退した。芝・ダート兼用タイプだが、本質的には芝の中距離向きで、マイペースで逃げたらしぶとそうだ。

インダストリアル(牡 栗東・橋口弘次郎 父シンボリクリスエス、母タケハナホープ)
 半兄タケハナオペラ(父サッカーボーイ)はカブトヤマ記念(GIII)の2着馬。2000m前後を得意とした芝馬で、しぶとい末脚が武器だった。牝祖スワンズウッドグローヴはダービー馬サクラチヨノオーを筆頭に多くの名馬を送り出しており、本馬の近親にはレジェンドハンター(99年デイリー杯3歳S-GII)、フジノテンビー(00年デイリー杯3歳S-GII)がいる。母タケハナホープはこの2頭と同じくNijinsky系の父を持っているので血統構成は似ている。本馬の父は新種牡馬シンボリクリスエス。早熟タイプではないが、底力あふれる中距離配合で将来性十分。

コスモスプラッシュ(牝 美浦・谷原義明 父メジロブライト、母スプライトパッサー)
 母スプライトパッサーは現役時代に関屋記念(GIII)を勝ち、報知杯4歳牝馬特別(GII)2着、府中牝馬S(GIII)3着などの成績を残した活躍馬。名牝Busanda 2×3のメイワパッサーを父に、凱旋門賞馬サンサンを母に持つ良血だったこともあり、繁殖牝馬として大きな期待がかけられたが、現在のところマイネサンサン(06年ラジオNIKKEI賞-GIII・5着)を出した程度で成績的にはイマイチだ。本馬はメジロブライトが父。スピード不足が原因でブレイクできないでいる種牡馬だが、スプライトパッサーとの組み合わせでは、自身が抱えるアンバーシャダイとマルゼンスキーがメイワパッサーと血脈的に強く結びつくので注目できる。晩成型の中距離タイプだろう。

ゴールドストレイン(牡 美浦・稲葉隆一 父ゴールドアリュール、母サクセスストレイン)
 母サクセスストレインはクイーンC(GIII)を勝ち、フェアリーS(GIII)2着、オークス(GI)と秋華賞(GI)でともに4着となった活躍馬。前出のコスモスプラッシュと同じくサンサンの系統から出ている。父ゴールドアリュールは、フェブラリーS(GI)、東京大賞典(交流GI)、ダービーグランプリ(交流GI)、ジャパンダートダービー(交流GI)などを制した砂の王者で、種牡馬としては配合次第で芝向きの産駒を出すことも可能だろう。本馬はまさにそうしたタイプ。芝でも十分に走れるはず。中距離以上で本領を発揮し、平坦コースで特に強い。

サマーエタニティ(牝 美浦・畠山吉宏 父アドマイヤコジーン、母オールフォーゲラン)
 半姉マイネシャリマー(父ムタファーウエク)はいちょうS(OP)と芙蓉S(OP)でともに3着の成績がある。母オールフォーゲランの半姉ヤマフリアルはエリザベス女王杯(GI)2着馬。牝系の質は高い。父アドマイヤコジーンは昨年のファーストシーズンサイアーチャンピオン。仕上がりの早さ、早熟性は抜群で、2歳戦ではとくに信頼できる。母の父ジェイドロバリーも2歳戦の強さには定評がある。父母両系から仕上がりの早い血を受け継いだ本馬は、デビュー戦から能力を全開するはず。POG向きの1頭だ。

ワイルドパンチ(牡 栗東・浅見秀一 父アドマイヤベガ、母チェリーラブ)
 半兄マイネルレーニア(父グラスワンダー)は京王杯2歳S(GII)を勝ち、新潟2歳S(GIII)とアーリントンC(GIII)で3着となった活躍馬。父がアドマイヤベガに替わった本馬は配合の完成度がグンとアップした。アドマイヤベガはHyperion色の強い繁殖牝馬との交配で結果を出している。母チェリーラブは「サクラユタカオー×ノーザンテースト」という組み合わせで、Hyperion 4×5・6というクロスを持っている。1800mあたりを得意とする芝の中距離タイプで、兄が2歳重賞を勝っているように2歳戦からバリバリ走りそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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