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中長距離で注目したい超良血アグネスフリーダム

  • 2007年07月17日(火) 23時46分
エーシンラージェス(牝 栗東・野元昭 父Gulch、母La Soberbia)
 母La Soberbiaはアルゼンチンで3つのG1を含めてGレースを5勝、1996年に同国の最優秀古牝馬に選出された名牝。アメリカに移り、ブラウンベスH(G3)でも3着と健闘している。Kingmamboを父に持つ半姉エーシンラッキーは中央で4戦未勝利。母の父はBallymoss系、2代母の父はセントクレスピン系と、スタミナ色の強い母系だけに、スピード色の強いMr.Prospector系のGulchを父に持つ本馬には魅力を感じる。芝・ダート兼用タイプだろう。

ギンザセシボン(牝 美浦・松永康利 父アドマイヤコジーン、母プリンセスコウベ)
 父アドマイヤコジーンは昨年の新種牡馬チャンピオン。2歳戦で圧倒的な強さを発揮し、特に小倉などのローカル新馬戦では逆らえない。本馬は、母の父が優れたマイラー血統であるラストタイクーンなので、マイル以下のスピード競馬で早くから頭角を現してくるはず。2代母ラッキーデージはシンブラウン(83年阪神大賞典)、シンチェスト(87年京都記念-GII)、テイエムジャンボ(96年京都記念-GII、96年京都金杯-GIII)の兄弟にあたる良血。母系の奥にはスタミナ血脈が並んでいるので一介のスピード馬ではないはず。

スズノエイユウ(牡 美浦・高橋裕 父タイキシャトル、母アグネスヴァーチ)
 母アグネスヴァーチはムーヴオブサンデー(04年フィリーズレビュー-GII)の半姉。現役時代は芝の中距離を得意とし、1000万下で活躍した。本馬はタイキシャトルが父。芝向きのマイラー配合で底力がある。Nijinskyのクロスを持つタイキシャトル産駒にはゴールデンキャスト(04、05年セントウルS-GIII)、ウイングレット(05年中山牝馬S-GIII)などがおり、優れた成績を挙げている。仕上がり早でPOG向き。

スパーブ(牝 栗東・梅田康雄 父アラムシャー、母グッドルックス)
 父アラムシャーは現役時代、愛ダービー(G1)とキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)を連勝した名馬。今年の2歳が初年度産駒となる。サイアーラインはDanzig系ながら代を経てステイヤー化しているので、配合をする際には母方からいかにスピード血脈の取り込むか、ということが課題になる。本馬は母の父が快速Mr.Prospectorなので悪くない。2代母Lady's Secretは牝馬ながら米年度代表馬に輝いた女傑。芝・ダート兼用の中距離タイプだろう。

ポイントベクトル(牡 美浦・杉浦宏昭 父アドマイヤベガ、母マッチポイント)
 半兄にトウカイポイント(02年マイルCS-GI、02年中山記念-GII)、パープルエビス(00年スプリングS-GII・2着)がいる良血。本馬はアドマイヤベガを父に持ち、2代母の父がノーザンテースト。アドマイヤベガはHyperion色の強い牝馬と相性がいいので、ノーザンテーストともフィットしている。この組み合わせからはキストゥヘヴン(06年桜花賞-GI)、インテレット(07年アメリカJCC-GII・2着)などが出ている。ポテンシャルの高い好配合馬だ。芝の中距離向き。

アグネスファスト(牝 栗東・長浜博之 父アグネスタキオン、母ファイトガリバー)
 母ファイトガリバーは桜花賞馬。父アグネスタキオンは素軽いスピードをコンスタントに伝えるので、繁殖牝馬にスピードを求める必要がない。むしろ重厚な血を積極的に取り入れることで底力を補給し、ハイレベルな産駒を誕生させていく。本馬は母系にダイナガリバー、ファラモンドといった図太いスタミナ血統が入り、配合的なレベルが高い。半姉トップエクセレントは500万下で2着の成績がある。重賞クラスに出世しても不思議はない。

アグネスフリーダム(牡 栗東・長浜博之 父ダンスインザダーク、母アグネスフローラ)
 アグネスタキオン(01年皐月賞-GI)、アグネスフライト(00年ダービー-GI)の半弟にあたる超良血。上記の2頭はサンデー産駒で、本馬はダンスインザダーク産駒なので、厳密にいえば「4分の3弟」ということになる。母系の切れ味や仕上がりの早さといった特長がどの程度伝わっているのか未知数だが、ふつうに解釈すれば芝の中長距離タイプで、ダービーや菊花賞に向いているだろう。新馬戦でいい勝ち方をするようなら大いに期待できる。

アズマクロリス(牝 栗東・藤岡健一 父ダンスインザダーク、母オースミシャイン)
 半姉アズマサンダース(父サンデーサイレンス)は京都牝馬S(GIII)を勝ち、桜花賞(GI)で2着となった活躍馬。母オースミシャインは中山牝馬S(GIII)の2着馬。母系のポテンシャルは高い。本馬はダンスインザダークを父に持つので、厳密にいえばアズマサンダースの「4分の3妹」ということになる。堂々たるステイヤー血統で早い時期から活躍するというわけにはいかないだろうが、距離が延びるにしたがって本領を発揮するはず。オークス向き。

エアジャメヴー(牝 栗東・松田博資 父シンボリクリスエス、母エアデジャヴー)
 半姉エアメサイア(05年秋華賞-GI、05年ローズS-GII)、半兄エアシェイディ(05年アメリカJCC-GII・2着、07年中山記念-GII・2着)と上が走っており、母エアデジャヴーもクイーンS(GIII)を勝ち、オークス(GI)で2着となった活躍馬。父シンボリクリスエスは今年の2歳世代が初年度産駒で、現在のところ12走して2着が6回となかなか片目が開かないが、晩成型だと思われるので長い目で見たい。芝の中距離向きでオークスに出られればおもしろそう。

エアメギド(牡 栗東・角居勝彦 父ウォーエンブレム、母アイドリームドアドリーム)
 エアシャカール(00年皐月賞-GI、00年菊花賞-GI)、エアデジャヴー(98年クイーンS-GIII、98年オークス-GI・2着)、エアサバス(04年東京スポーツ杯2歳S-GIII・4着)の半弟にあたる良血。父がウォーエンブレムに替わったので、どちらかといえばダートのほうがいいが、芝でダメというタイプではない。中距離向き。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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