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1億7000万円の良血馬クリスタルウイング

  • 2007年11月13日(火) 23時46分
 キングオブカルト(牡 栗東・池江泰寿 父Kingmambo、母Sumoto)
 半兄にCompton Admiral(99年エクリプスS-英G1、99年クレイヴンS-英G3)、Summoner(01年クイーンエリザベス2世S-英G1)と2頭のG1馬がいる良血。これらの父はSuave Dancer、Inchinorで、本馬の父はKingmambo。種牡馬の格という点から見れば本馬のほうが上だ。母の父Mtotoは、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)など3つのG1を制し、凱旋門賞でもトニービンの2着となった晩成型のステイヤー。スケールの大きな2400m向きの本格配合で大物感が漂う。日本の高速馬場に対応できればかなり楽しみな存在。

 グロリアスメモリー(牝 栗東・大久保龍志 父アドマイヤベガ、母マジカルウーマン)
 半兄のドラゴンファイヤーはシリウスS(GIII)を、同じく半兄のナイキアースワークはユニコーンS(GIII)を勝っている。母マジカルウーマンの半兄ブラボーグリーンは京阪杯(GIII)の勝ち馬。なかなか華やかな牝系だ。ドラゴンとナイキの父はブライアンズタイムで、本馬はアドマイヤベガ。まったくタイプが違う。こちらはおそらく芝にも対応できるはず。距離はマイル前後がよさそう。

 スガホマレ(牡 美浦・高市圭二 父アグネスデジタル、母タカノセクレタリー)
 半姉カワカミプリンセスはオークス(GI)、秋華賞(GI)を勝った名牝。ただ、それ以外の兄姉は、競走馬としてデビューした3頭の合計成績が[0-0-0-10]で極度の不振をかこっている。本馬の父アグネスデジタルは今年の新種牡馬で、エイムアットビップ(07年ファンタジーS-GIII・2着)を出すなど上々の滑り出しを見せている。芝向きの中距離タイプだろう。

 トーセンソフィア(牡 美浦・宗像義忠 父ジャングルポケット、母クラフティワイフ)
 ビッグショウリ(95年マイラーズC-GII)、ビッグテースト(03年中山グランドジャンプ-J・GI)、スパイキュール(ダート7戦全勝)、キョウエイフォルテ(99年シリウスS-GIII・3着)、クラフティゴールド(98年小倉3歳S-GIII・3着)の半弟にあたる良血。全兄バトルバニヤンも現在5戦2勝とまずまずの成績を挙げている。本馬も一定以上の出世は間違いなさそう。芝の中距離タイプ。

 トーセンファンタス(牡 美浦・大久保洋吉 父アグネスタキオン、母ファンジカ)
 半兄にハイアーゲーム(04年青葉賞-GII)、ファイトクラブ(06年中京記念-GIII・5着)がいる良血。全姉ダノンフローラは出遅れ癖があり出世を阻まれているが、秘めた能力はかなりのもの。本馬は母系にゲイメセンが入るのでMissy Baba 5×5のクロスを持つ。同パターン(アグネスタキオン+ゲイメセン)の配合馬にはマイネルソリスト(06年ラジオNIKKEI杯2歳S-GIII・4着、06年デイリー杯2歳S-GII・5着)がいる。血統の質、配合ともに申し分ないので将来性が高い。

 ブライティアダンス(牝 栗東・橋口弘次郎 父ダンスインザダーク、母スプリングネヴァー)
 全兄にダイタクバートラム(03年阪神大賞典-GII、04年ステイヤーズS-GII、04年北九州記念-GIII)、半兄にダイタクリーヴァ(00年スプリングS-GIIなど重賞5勝)がいる良血。本馬は牝馬なのでマイル向きのスピードや切れ味も備わっているだろう。ダンスインザダークはセックスバイアスが露骨に表れる種牡馬で、牡馬の連対率17.6%に対し、牝馬は12.1%しかない。心配なのはこの点のみ。

 マゼラン(牡 栗東・角居勝彦 父クロフネ、母ポトリザリス)
 半姉ディアデラノビアはフローラS(GII)、京都牝馬S(GIII)を制したほか、オークス(GI)とヴィクトリアマイル(GI)で3着となった。母ポトリザリスはアルゼンチンダービー(G1)、アルゼンチンオークス(G1)を制した女傑で、母の兄弟姉妹には3頭のG1ウィナーがいる。そのうちの1頭Potrideeは亜2歳牝馬チャンピオンに輝いている。近年のアルゼンチンを代表する名牝系に属しており、ポテンシャルはきわめて高い。クロフネ産駒なので芝・ダート兼用のマイラーだろう。

 アウロラプラネット(牝 栗東・音無秀孝 父アグネスタキオン、母グリーンプラネット)
 母グリーンプラネットは中山牝馬S(GIII)の2着馬。その半弟に高松宮記念(GI)を含めて重賞を5勝したサニングデールがいる。これにアグネスタキオンを付けて誕生したのが本馬。血統の質は高く、素軽さも感じられるので高確率で走ってくるはず。仕上がりが早そうなので新馬戦から期待できる。2000m以下の芝で本領発揮。

 クリスタルウイング(牡 美浦・藤沢和雄 父アドマイヤベガ、母フェアリードール)
 2005年のセレクトセールで1億7000万円の値段がついた良血馬。母フェアリードールは名繁殖牝馬で、これまでにトゥザヴィクトリー(01年エリザベス女王杯-GI)、サイレントディール(03年武蔵野S-GIII)、ビーポジティブ(02年クイーン賞-GIII)などを産んでいる。これらの父はサンデーサイレンスで、本馬の父はサンデー産駒のアドマイヤベガなので、厳密には4分の3弟ということになる。アドマイヤベガ産駒は母系にTudor Minstrelを含んだものが成功する傾向が見られるので、その条件に当てはまる本馬はおもしろい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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