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タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール開催迫る

  • 2008年04月01日(火) 23時50分
 10年ほど前まで、2歳調教セールとは北米のものとの認識があったが、世は完全に様変わりしたようだ。昨年4月にニューマーケットで行われた「タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール」から、ロンシャンのG1・ジャンルクラガルデル賞を制したリオデラプラタを筆頭に、5頭の欧州2歳重賞勝ち馬が出現。「タタソールズ・ブリーズアップセール」は、世界のどのマーケットよりも多くの重賞勝ち馬を輩出した2歳セールとなった。前出のリオデラプラタが、ジョン・ファーガソン氏によって購買されてゴドルフィンの所属馬となったように、大手の馬主さんにとっても戦力の貴重な供給源となっており、2歳セールは欧州においても、サラブレッド流通業界で確固たる地位を確立したと言えそうだ。

 そうした事情を反映したからなのか、4月16日と17日の両日にわたってニューマーケットで開催される今年の「タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール」の上場馬カタログは、相当に北米色の強いものになっている。

 理由のひとつは、ここのマーケットが急成長したのを見て、芝適性のありそうな馬ならば、北米の市場に出すよりはここに出した方が商売になる、と見た北米の販売者が増えたことが挙げられよう。

 主催者サイドから見れば、急増した上場希望馬の中から、2歳セールにおける需要が高そうな馬という観点でセレクトをしたら、結果的に北米血統が多くなったということだと思う。

 例えば上場番号2番は、昨年11月に西海岸で芝のG1ハリウッドダービーを制したデイトナの弟である。父も豪州の快速馬テイクオーバーターゲットらを出しているセルティクスイングとあれば、北米の市場に出すよりはこちらへと考えるのは、当然かもしれない。母がG1イエローリボンH・3着馬という上場番号9番の牝馬、ラモナH勝ち馬カフェラテの弟にあたる上場番号27番の牡馬、母がビヴァリーディーS・2着馬という上場番号129番の牡馬らも、その典型的な例だろう。種牡馬で言えば、昨年の英愛1000ギニーを制したフィンスケールビオが出たミスターグリーリー、欧州スプリントG1・2勝のレザルクが出たアーチらは、自身は北米供用ながら、産駒は欧州の市場に出した方が、場合によっては高値がつく可能性が高そうだ。もちろん、今年の「タタソールズ・クレイヴン・ブリーズアップセール」には、英国の市場ならではの欧州のクラシック血脈も多数上場されている。

 例えば、上場番号97番は、ニューマーケットの2歳G1ミドルパークS勝ち馬アマデウスウォルフの弟。父は、サドラーズウェルズの最有力後継馬の座をモンジューと争うガリレオだ。昨秋の1歳セールで21万ギニー(約4400万円)という高額でピンフックされており、最高価格馬候補と言われている。上場番号147番は、脚曲がりの天才少女と言われ、1000ギニーをはじめ、G1・5勝を挙げたアトラクションの妹。父は、ウィジャボードらを輩出している欧州のトップサイヤー・ケイプクロスである。上記以外にも良血馬が目白押しで、結果が今から非常に楽しみである。

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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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