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英ダービー形勢固まる

  • 2008年05月20日(火) 01時50分
 6月7日(土曜日にエプソム競馬場で行われる第229回エプソムダービーへ向けた前哨戦がほぼ終了し、勢力分布が明確になった。

 各国の傾向というのは不思議と似てくるもので、トライアル戦の勝ち馬がコロコロ変わって10頭以上の馬にチャンスがあると言われる日本のダービー同様、英国のダービーも近年にない大混戦模様となっている。

 ウィリアムヒル、ラドブロークスといった大手ブックメーカーが前売りの本命に掲げているのが、ダーモット・ウェルド厩舎のカジュアルコンケストだ。モイグレア・スタッドの自家生産馬で、デビューは昨年9月にレパーズタウンで行われた7Fのメイドン。ここでデビュー勝ちを飾ると、早々に2歳シーズンを終了し、今季初登場となったのが5月11日にレパーズタウンで行われた距離10FのG2愛ダービートライアルSだった。カジュアルコンケストはここでも、エイダン・オブライエン厩舎の期待馬ワシントンアーヴィングに6馬身の差をつける圧勝を演じ、一躍戦線のトップに躍り出ることになったものだ。

 父は、距離が2400mだった時代の仏ダービー勝ち馬エルナンド。種牡馬としても4000mのG1カドラン賞勝ち馬アセッサーを出しており、スタミナは豊富だ。

 ただしこのカジュアルコンケストは、現段階でダービーの登録がなく、出走するためには6月2日に設けられたエントリーステージで、7万5千ポンド(約1550万円)の追加登録料を払う必要がある。

 同じ大手ブックメーカーでもパディーパワーが1番人気にしているのが、ルーカ・クマーニ厩舎のカーテンコールだ。アイルランドのジェシカ・ハリングトン厩舎の所属馬だった2歳時、カラの8FのG2ベレスフォードS優勝がある他、G2フューチュリティS・2着の成績があるカーテンコール。フューチュリティSでカーテンコールに首差及ばぬ3着だったのが、今季の英国2000ギニー馬ヘンリーザナヴィゲイターだから、実績はかなりのものがある。

 4月23日にノッティングハムで行われた一般戦を快勝した後、5月10日にリングフィールドで行われたG3ダービートライアルSを使う予定だったが、リングフィールドの馬場が固くなったためにここを回避。このままダービーに直行することになった。

 父はつい先日種牡馬引退が発表されたばかりのサドラーズウェルズである。

 各社とも、上記2頭に次ぐ3番手の評価をしているのが、マイケル・スタウト厩舎のタータンベアラーだ。昨年11月にニューマーケットのメイドンでデビューして2着となった後、シーズンオフに入り、今年4月26日にレスターのメイドンで初勝利。続いて5月15日にヨークで行われたダービープレップのG2ダンテSに駒を進めて、ここを快勝。英国2000ギニーやキングジョージを制したゴーランの全弟(父スペクトラム)という良血が、ここへ来て開花したようである。

 以下、ダンテS・2着馬フローズンファイア(父モンジュー)、5月9日にチェスターで行われたG3ディーS勝ち馬タジャーウィード(父ダイナフォーマー)といった顔触れが続いている英国ダービー戦線。まずは、6月2日の追加登録締め切り日が、「山場」となりそうである。


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1959年(昭和34年)東京に生まれ。父親が競馬ファンで、週末の午後は必ず茶の間のテレビが競馬中継を映す家庭で育つ。1982年(昭和57年)大学を卒業しテレビ東京に入社。営業局勤務を経てスポーツ局に異動し競馬中継の製作に携わり、1988年(昭和63年)テレビ東京を退社。その後イギリスにて海外競馬に学ぶ日々を過ごし、同年、日本国外の競馬関連業務を行う有限会社「リージェント」を設立。同時期にテレビ・新聞などで解説を始め現在に至る。

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