スマートフォン版へ

北海道トレーニングセール最新情報!

  • 2008年06月13日(金) 19時10分
 赤本製作にあたって生産牧場や育成牧場、厩舎などを連日取材したライター陣。とっておきのエピソードや、こぼれ話など、紙面の都合で赤本には掲載されなかった情報を、赤本ライター3人による読みきりコラムで公開。第1回は、浅野靖典さんによる北海道のトレーニングセールレポートです。


 ここで紹介したおかげで自分のドラフトに悪い影響がでなければいいな……と思いつつ、5月26日〜27日に行われた北海道のトレーニングセールについて紹介していこう。

 26日の月曜日は札幌競馬場で日高軽種馬農協主催、そして27日の火曜日は浦河の軽種馬育成調教センター(BTC)で、ひだか東農協主催となっている。そのどちらを重視すべきかといえば、昨年はサトノプログレス、一昨年はイクスキューズを送り出した、浦河のトレーニングセールだろう。

 しかし今年は売れ行きが悪かった。競馬業界をとりまく不景気が一足先に訪れたのかというくらいだったが、それでもいい馬には値がつく。逆にいうと、いい馬とイマイチな馬との選別が、よりハッキリしてきたというべきだろう。

 そのなかで、第二のサトノプログレスを目指せるのが、ローレルポラリスの2006(父アグネスタキオン・牡)。調教供覧で軽快な走りをみせた馬だ。

ローレルポラリスの2006

 しかしセリでは「お台は〜」の声が続くばかりで購買者はようすを伺っている雰囲気。しばらくして、ようやく「3千万!」と声がかかった。「うーん、ちょっと開きが……」という松橋康彦鑑定人の声。すかさず「3千百万!」と声がかかり、反対側から「3千2百万!」と。

「もう少しなんですが……」と、鑑定人が語りかけると、「3千5百万!」「3千6百万!」

 ありゃ。セリが始まっていないのに、購買者同士で勝手にセリが始まっちゃってるよ。

「3千7百万!」「3千8百万!」……「もう、あとふた声なんですが」

 セリスタート希望価格がバレちゃった。しかし販売申込者は、全然値段を下げる気がないらしい。

「3千9百万!」「4千万!」「ハイ、ありがとうございます!4千万〜、4千万〜」

 やっと始まったとおもいきや、右手の席から「違う違う、3千9百万!」と声が。なんじゃそりゃ、鑑定人を困らせるなよ。ちょっとあわてた鑑定人、「失礼いたしました。少々相談を……」とセリを中断したそのとき、

「4千万!」と、左側から大きな声が。すかさず、「ハイ、いただきます。4千万〜、4千万〜……、4千万の上、ありませんか!」

 落札。

 うーむ、あれだけ開始前に競りあがったのはなんだったんだろう。と多少腑に落ちぬ感もあるセリだったが、ともあれ馬はいい素材。ほとんどマークされていないだろうから、下位で指名できるだろう。ちなみに母は芝短距離を中心に3勝。おばにアインブライドがいる血統だ。あ、社長に入る厩舎を聞いてくるのを忘れた……(汗)。

 ついでに個人的に面白そうと感じた馬をもう1頭。ティアラIIの2006(父アフリート・牡)は、永井啓弐氏が税抜1930万円で落札。

ティアラIIの2006

 骨量が豊富でダート向きとは思うが、早い時期なら芝でもイケそうな軽い跳びをしていた。こちらは祖母が北米G2ウイナー、兄のウインスヴェルトはダート中距離で5勝を挙げている。

※次回(6/20更新)は目黒貴子さんによる美浦2歳馬レポートです。

筆者:浅野靖典
 グリーンチャンネル・中央競馬中継キャスターを経て、現在は競馬関連番組・イベントでの司会、産牧場や育成牧場の取材・執筆、各地の競走馬セリ市の進行役を務める。競馬のよき語り部としての研鑽を積んでいる。

参加無料!商品総額50万円!netkeibaPOG大会「POGダービー」が開幕!

赤本×netkeiba.comコラボコーナーで「ハンデ付きPOG」データを無料公開中!

須田鷹雄+取材班が赤本紹介馬の近況や有力馬の最新情報、取材こぼれ話などを披露します!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング