「有利な馬がすぐ分かる競馬場コース事典2」著者である馬ノスケと「芋づる式に期待馬を見抜く! レース回顧の新常識」著者であるヨメウマによる今週のメインレース展望。コース適性とレース回顧のコラボレーションから出走馬をチェックする。
ヨメウマ(以下、ヨメ)「先週は注目馬としたタイセイボーグが3着と好走しましたが、お互い馬券には繋がらず。コラムを読んでくれている方の参考になっていたらうれしいです。さて、今週は引き続き2歳GI朝日杯FSということで、よろしくお願いします」
馬ノスケ(以下、ノスケ)「よろしくお願いします」
ヨメ「今週は先週の阪神JFと同様に阪神マイルの2歳GIです。先週のコラムで“近年タイムが速くなってきている”と話しましたが、阪神JFは1分32秒6と速い決着時計でした。また、“馬体重の大きい馬が有利”という点でも、好走馬は全て470キロを超えていました。一方で、440kg以下だったアランカールやマーゴットラヴミーなど馬体重の軽い馬は人気しても馬券外という結果で、傾向通りでした。今週も同じような傾向で考えています。馬ノスケさんは今回どう考えていますか?」
ノスケ「はい、ヨメウマさん同様、朝日杯FSでも馬体重の大きい馬には注目しています。朝日杯FSは阪神JF同様にペースが速くなりやすい重賞で、以下の通り前半3Fの時計が短距離並みに速くなりやすい傾向です」
朝日杯FS開催年 前半3Fタイム
2023年 34.1秒
2022年 34.1秒
2021年 34.3秒
2020年 33.7秒
2019年 33.8秒
※2024年は京都開催
ノスケ「その影響もあり、朝日杯FSでもスピードを補う筋肉量の必要性から、馬体重の大きい馬が有利というのはデータでも証明されています」
【朝日杯FS 過去10年(阪神開催)】
480キロ以上
勝率10.2% 連対率20.3% 複勝率25.4%
479キロ以下
勝率3.4% 連対率6.9% 複勝率13.8%
ヨメ「ありがとうございます。では、先週同様に馬体重が大きく、速い追走ペースも苦にしない馬が狙い目ということで、さっそく注目馬に触れていきましょう」
ノスケ「初めての3頭被りですね。まずは、1番人気が想定されるアドマイヤクワッズの評価から聞いていいですか」
ヨメ「この馬に関しては、まずデイリー杯2歳Sの走破時計が2歳レコードタイムという点と、ラスト3F(12.1-11.2-11.2)の瞬発力戦で、ラスト2Fの時計だけで上位2頭が抜けた内容で評価が必要です」
ノスケ「前走に関しては相当強い内容でしたよね」
ヨメ「ただ、血統を見ていくと、父リアルスティール、母父Zoffanyという血統で、重めのパワー型な印象で、デイリー杯2歳Sの荒れた京都は適性とマッチしていたと考えています。母父Zoffanyからはサンライズジパングなど距離を伸ばせる馬も多く、朝日杯FSよりもホープフルS向きだったのではないかな。前走内容は評価していますが、本命は違う馬にしようと考えていますね。馬ノスケさん的に適性評価はどうでしょう?」
ノスケ「適性評価はヨメウマさん同様、距離はもう少し伸びた方が良いタイプだと思っています。母父Zoffanyはハービンジャーと同じDansili産駒で、母父Zoffanyからはヨメウマさんの言っていたサンライズジパングの他に、サヴォンリンナ、リカンカブールといった内回り向きの中距離馬を出しています。更にNureyev≒Sadler’s Wellsから体力や底力を補填しているので、距離は伸びた方がベストかもしれません。ただHalo≒Red Godを複数持つことでスピードもあり、リアルスティール産駒らしい完成度の高さと総合力、デイリー杯2歳Sの内容からも、ベスト距離ではなくても評価が必要と感じています」
ヨメ「概ね、適性評価が被っていて良かったです。では続いて2番人気想定のリアライズシリウスについてですが、馬ノスケさんの評価をお聞かせください」
ノスケ「恐らく適性は一番高いのではないかと考えています。父ポエティックフレアは欧州の短距離血統ですが、母母ダンスーズデトワールはフランスのマイラーで、欧州的な末脚を与える牝系を持っています。マイルで伸びのある末脚や持続力を持ち、ペースアップ戦にも対応できる血統なので、今回の阪神マイル戦はメンバー屈指の適性があると考えています。ヨメウマさん的にはいかがでしょうか?」
ヨメ「私も高く評価していまして、特に新潟2歳Sのタイム評価です。アスコリピチェーノやセリフォスが1分33秒8で勝ち切っていますが、これを更に0.4秒上回るタイムで勝ち切っています。アスコリピチェーノは阪神JFで勝っていますし、セリフォスも朝日杯FSを2着と阪神1600mの2歳GIに繋がっています。新潟2歳Sで突き放した2着以下の馬も次走好走しているレベルの高いメンバーだったところも評価しています」
ノスケ「ありがとうございます。アドマイヤクワッズが間隔詰めた3戦目に対して、リアライズシリウスは休み明けで成長分にも期待できそうな点も良いですよね」
ヨメ「馬体重も500キロを超える大型馬ですから、注目の一頭です。3頭目のカヴァレリッツォについてはどうですか?」
ノスケ「近親にはサトノレイナスやサトノフラッグなどの中長距離馬がいる血統です。現状はサートゥルナーリアの母シーザリオの前向きさでマイルも走っていますが、本質的にはもっと距離が伸びて良いタイプに映ります。京都は中間で息も入りやすい点で中距離馬が走りやすい舞台なので、京都から阪神に替わってアドマイヤクワッズに逆転するのは難しいとは考えています。ただ、デイリー杯2歳Sの内容は強いですから、好走率は高いと思っています。ヨメウマさんの評価はどうでしょう?」
ヨメ「血統的に距離はもう少し伸びて良いタイプだと考えています。デイリー杯2歳Sは出遅れから先行して、道中力みがあったり、直線は目標にされたことなど、敗因はいろいろありますが単純に相手が強かったですね。逆転までは難しそうに思いますが2歳レコードにタイム差なし2着という内容は高く評価しています」
ノスケ「ありがとうございます。今回注目馬が3頭丸被りということで、せっかくなので他に人気しそうな馬にも少し触れていきましょう。サウジアラビアRC勝ち馬のエコロアルバについてはどうでしょう?」
ヨメ「エコロアルバに関しては、前走のラスト5F58.1秒を後方から差し切る内容だったので、能力は高く評価しています。ただ、東京で出遅れて追走できずのレースからスタートから速くなる阪神へ変わるのは下げ要素。また、前走は左手前に変えてから良く伸びているので、手前の違いで出遅れや追走できずという可能性を考えると、初の右回りはリスクがあると考えています。馬ノスケさんが注目馬から外した理由は、どういったところでしょうか?」
ノスケ「ヨメウマさん同様に、追走力や出遅れるリスクが大きいという点です。先週も出遅れリスクと追走力不足のアランカールが人気して凡走しているように、阪神マイルの2歳GIではペースアップ戦に対応する必要があります。それらを考えると、能力は高く評価しつつも、差し遅れるリスクは大きいと考えています」
ヨメ「ありがとうございます。では最後にルメール騎手鞍上で少し人気もしそうなダイヤモンドノットについてお聞かせください」
ノスケ「今回初の延長マイル戦になりますが、母母ウィキウィキからは、マカヒキ、ゾンニッヒ、ウーリリなどのマイル〜中距離馬を出していて、父も体力長所のブリックスアンドモルタル産駒なことからも、マイル延長は対応可能だと思います。京王杯2歳Sがメンバーレベル低調だったので、人気馬の中では評価は低めにしましたが、メンバーレベル低調とはいえ抜けた内容だったので、能力が低いとまでは言い切れない一頭と考えています。ヨメウマさん的にはどうですか?」
ヨメ「京王杯2歳Sの後半5Fが57.2秒は過去5年でダントツの後半力でした。パンジャタワーで57.5秒、コラソンビートで57.7秒だったと考えると後半力は高評価です。注目馬にしなかった理由は、先週のマーゴットラヴミーの様にスピードで押すタイプの馬が先週あまり走れていなかった点です。少し評価を下げましたが能力評価はしている一頭です」
ノスケ「ありがとうございました。今回は注目馬3頭が全く同じということで、コラムの推奨馬に困りますが、お互い見解が同意で熱量も高かったリアライズシリウスを1番手として推奨する形で問題ないでしょうかね?」
ヨメ「はい、問題ありません! 今週もありがとうございました」
※枠やオッズなどの直前情報によって、指数は変動します。最終見解は「ウマい馬券」内で掲載されますので、以下のボタンからご覧ください。