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今年活躍のスワーヴリチャード産駒 特に勝ち上がる“注目の配合パターン”とは

  • 2024年04月22日(月) 18時00分

血統で振り返るフローラS


【Pick Up】アドマイヤベル:1着

 スワーヴリチャード産駒の重賞勝ち馬は4頭目。3歳世代限定の種牡馬ランキングは、血統登録頭数がわずか82頭しかいないにもかかわらず、第3位につけています。2歳は64頭、1歳は55頭とさらに減っていきますが、今年の種付けで誕生した仔は、頭数も繁殖牝馬の質もこれまでとまったく違うので、相当な活躍が見込めます。

 母ベルアリュールIIは名繁殖牝馬で、すでにアドマイヤリード(ヴィクトリアマイル)、ベルクレスタ(アルテミスS-2着)を産んでいます。母の父ニューメラスは本邦輸入種牡馬ジェイドロバリーの全弟。

 2代母マールオフェは、母方にリヴァーマンを持つケンマール産駒なので、仏チャンピオンサイアーのハイエストオナー(ケンマール×リヴァーマン)と配合構成が似ています。ハイエストオナーは瞬発力を伝える血ですが、構成がよく似たマールオフェも、おそらく似たような特長を秘めているでしょう。アドマイヤベルとその姉妹がいずれも優れた脚を使うのは、母方に入るマールオフェの影響も少なくないはずです。

 ちなみに、母方にハイエストオナーを持つスワーヴリチャード産駒は、2頭出走していずれも勝ち上がっています。アドマイヤベルはリヴァーマン5×5ですが、このクロスを持つスワーヴリチャード産駒は出走7頭中5頭が勝ち上がり、うち3頭が2勝以上を挙げています。注目したい配合パターンです。

 次走、2400mのオークスはベストディスタンスとはいえませんが、同世代の牝馬が相手なら割り引く必要はないと思います。

血統で振り返るマイラーズC


【Pick Up】ソウルラッシュ:1着

 重賞3勝目。昨年秋にマイルチャンピオンシップで2着となっており、一昨年このレースを勝ったときよりも地力が強化されています。

 母エターナルブーケはヒラボクディープ(青葉賞)の4分の3妹で、現役時代は未勝利に終わったものの、繁殖牝馬として成功し、現5歳のディオ(父リオンディーズ)は現在オープンクラスに在籍中です。

 父ルーラーシップは産駒の芝平均勝ち距離が1800mを超えており、基本的にスタミナが豊富なタイプですが、このところマイル戦での活躍が目立ち、4月に入ってからこれでマスクトディーヴァ(阪神牝馬S)、ディスペランツァ(アーリントンC)、そして本馬と、3つめのマイル重賞制覇となりました。

 母の父マンハッタンカフェは、タスティエーラ、テーオーケインズ、メイショウハリオ、テーオーロイヤル、ペプチドナイル、セラフィックコール、ミスニューヨークなど、芝・ダートを問わず多くの活躍馬が出ており注目です。じわじわと成長して高齢でも頑張るものが目に付きます。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【アイスカペイド】

 悲劇の名牝ラフィアン(NY牝馬三冠など11戦10勝)の半兄にあたる良血。「ニアークティック×ネイティヴダンサー」という組み合わせは大種牡馬ノーザンダンサーと同じで、現役時代にダート7ハロン1分20秒40、同8ハロン1分33秒60という優れたスピード能力を披露しました。良血、好配合、スピード能力という三拍子が揃っていたため、種牡馬として成功。ワイルドアゲイン、クレヴァートリックなどの後継種牡馬も存在感を示しました。クロフネの2代母の父でもあります。

 ワイルドアゲインは中距離、クレヴァートリックは短距離タイプで、前者はトランセンドの2代父、ジャスタウェイの母の父です。後者はイントゥミスチーフ(北米で5年連続チャンピオンサイアー)の母の父トリッキークリークや、ゼンノロブロイの2代母ワンスマートレディといった重要産駒を出しています。ワンスマートレディのファミリーは大成功し、ゼンノロブロイだけでなく、3歳のダート王フォーエバーヤング、同馬とともにケンタッキーダービーで人気を集めるシエラレオネなどを出しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「重賞で買うべき種牡馬は?」

 ディープインパクトの全盛時代は、JRAの平地重賞を年間37勝(2016年)するなど、他の種牡馬を大きく引き離して独走していました。しかし現在は、トップ種牡馬の力が拮抗し、飛び抜けた馬が存在しません。昨年5月以降、つまり直近1年間のJRA平地重賞を集計すると、種牡馬の重賞勝利数トップ5は以下のとおり。

1位 ロードカナロア 9勝
  キズナ     〃
  エピファネイア 〃
4位 ドゥラメンテ  8勝
5位 ルーラーシップ 7勝

 おもしろいことに、2024年の総合種牡馬ランキング(1位キズナ、2位ロードカナロア、3位エピファネイア、4位ドゥラメンテ、5位ルーラーシップ)とほぼ同じ順位です。

 この5頭に、年少のキタサンブラック、スワーヴリチャードを加えた7頭が、重賞で馬券になりやすい種牡馬ではないかと思います。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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